8.ウォーアント
おかげさまで1,000PV突破しました!
体長1メートルほどの、リスともネズミともつかない生き物が、身体を四分割されて地面に転がった。
『オウルディラを倒しました。〈紅線〉がLv.6に上がりました』
祠を離れて半日あまり。
モンスターとの戦いにも少しずつ慣れてきた。
これまでに戦ったモンスターは、最初に遭遇したデスホッパーが一番多く、あとは今倒したオウルディラ。他に三つ目の蜥蜴みたいな「キリンクス」というのがいたけれど、どれも〈紅線〉で倒すことができている。
あたりの景色は相変わらず、大人の背よりも高く生い茂る草また草。その中を、わずかに細くつけられた踏み分け道を歩いていく。
何というか、自分が小人にでもなった気分だ。バッタもリスもサイズ感がおかしいし……。
と。
前方右手から、何かが草をかき分ける音が近づいてきた。
咄嗟に脇の草むらに飛び込み、目だけを出してそちらを窺う。
最初に見えたのは、仰向けになったデスホッパーの頭部だった。
やがて全身を現したデスホッパーの死骸の下では、コンクリートの欠片を思わせる灰色のアリがうようよと蠢いている。
私は慌てて顔を引っ込めた。
いや無理。あれは無理。
あんなのに全身たかられたら、と想像しただけで吐きそうになる。
アリの行列は道に出ると、デスホッパーの死骸を先に立てて、私が来た方へとぞろぞろ歩き出した。
私は一抱えもありそうな草の陰にしゃがみこみ、両手で必死に口を押えて彼らが通り過ぎるのを待つ。
固い紙をこすり合わせるような、シャカシャカという足音が近づき、やがて少しずつ遠ざかっていった。
私は肩で息をつき、立ち上がろうとして……。
中腰のまま凍りついた。
目の前に、一匹のアリがいたからだ。
え。こいつ、いつの間に!?
てか〈防衛線〉、ちゃんと仕事して?
足元を嗅ぎまわる犬のように、アリは私の周りをぐるぐる回りながら、私の膝のあたりを触覚でさかんにつついている。
そういえば、前世のドキュメンタリー番組か何かで、アリは視覚が極端に弱く、嗅覚だか触覚だかで獲物を見つけるって言ってたような。
ていうか。
最初のデスホッパーの時も思ったけれど、何で〈防衛線〉が発動しないん?
私、ちゃんとONにしてあるよね。
こっそりステータスを見てみたから間違いない。
〈防衛線〉【ON】Lv.5 敵意に対し自動で〈境界線〉を引く
敵意に対し。
あー、なるほど。
相手に敵意がないと発動しないんだ、このスキル。
(道理で、デスホッパーの時も最初は出なかったわけだ)
てことは、今のところ、このアリに私をどうこうする気はないわけね。オーケーオーケー。
と、それまで私をつんつんしていたアリが、やおら頭を下げてお尻を前方に突き出した。
『〈防衛線〉が発動します』
アリの身体が真っ二つになった。
『ウォーアント(偵察相)を倒しました。〈防衛線〉がLv.6に上がりました』
Oh…………。
感謝の気持ちを込めて、お昼休みにもう一話投稿します♪




