第3章 6話
家に帰ると、この僕をここまで育ててくれた榊部長には感謝しているが、弥生のこれからは弥生の側にいたいから、会社を辞めて京都に戻り、弥生を一生守りたいから会社を辞める事を決意した。昴は中学の時に弥生からプレゼントされた万年筆を持ち【退職願】と書き始めた時スマホが鳴った。大事な時に誰が電話をかけてきたのって苛つきながらスマホを見たらめぐみだったから、仕方なく電話に出て「もしもし、めぐみちゃん急に電話してきて珍しいな。なんかあったの?」と話したら、めぐみちゃんは心配した声をしながらも「なんかあったの? じゃないわ。昴君会社を辞めるって本当?」と問いかけた。
昴はしばらく黙って彩月だけじゃなくてもうめぐみちゃんまで知られているのかと諦めて「本当だよ。会社辞めるつもりだよ」と正直に答えたら、めぐみは急に「辞める理由はある程度、察しはつくけど、今辞めたら後悔するよ。せっかく昴君も夢かなって今の会社に入ってるでしょ」と大声で叫んだ。昴はその声に驚きながらも「そうだよ。弥生の事で辞めるつもりだよ。もちろん船に乗りたいと言う夢も大事だけど、それ以上に僕にとって一番大切な事はやっぱり弥生なんだ……」と言われた瞬間、めぐみは完全に振られたなと思いながらも昴君らしいなと思って「そこまで決意しているなら、もう何も言わないよ。でも、昴君が会社を辞めて私の店で働かせてって言ってきても雇わないからね。雇う余裕も無いから」と言いながらも、めぐみは昴君、最後の当てにしてもいいよ。頼んできたら雇ってあげようと考えていた。
「理解してくれてありがとう。分かったよ。出来るだけめぐみちゃんには迷惑かけ無いようにする」とめぐみに背中を押された感じで「心配してくれてありがとうな」と電話を切った。
めぐみは「プープープー……」と鳴った途端、涙腺が崩壊して涙が溢れきた。やはり昴君は昴君だったな私の恋は終わったけれど、自分の事より弥生の側に居てあげたい気持ちが、私にも伝わってきて会社を辞めないでって強く言えなかったな。昴君らしい決断とめぐみは夜空を見ながら思った。昴君は茨な道で大変と思うがこれからは一人の友人として昴君を応援するよとめぐみも決意を固めた。さようなら昴君、そしてこれからもよろしくね、昴君。
昴は、再び万年筆を持ち、一大決心して【私事ですがこの度、一身上の都合により、来たる二XXX年□月△日を持って、退職いたしたくここにお願い申し上げます】と書いた。明日榊部長に渡そうって思って書いたすぐに封筒に入れ【退職願】と書いて鞄に入れた。
辞める決心しているのにせっかく榊部長に【航海賞】推薦してもらって受賞してもらったのに、こんな形で【退職願】を出すなんて会社よりも僕をここまで育ててくれた榊部長に申し訳ない気持ちでいっぱいでなかなか寝付けなくて結局朝まで起きていた。このまま出勤して「おはようございます」と言ったら同僚が「目にクマが出来ているよ。寝てないの?」と聞いてきた。「ちょっと昨日は寝られなかった」と空元気で答えた。
タイミングを見て榊部長の席に向かった。榊部長の目の前に改めて姿勢を正し「ちょっとお話があります」と緊張した気味の声で言った。「また改まって話は何ですか」と聞いてきた。




