第四章《終わった日常、始まる戦い》
帰り道、大雨が降っていた。
雨が降っているからか、風が冷たかった。
そして、家に着いた。
しかし、家は封鎖されていた。
あの日と同じ光景だ……。
涙が溢れてきた。
同時に少し安心した。
やっと家族のもとに行ける。
黒いスーツを着た男たちが何人も立っていた。
その中の一人が、ゆっくりと私を見た。
「監視対象 No.百三十二……白水、確認、確保を開始する。大人しくすれば、痛くはしない。さぁ、こっちへこい。」
私は連れて行かれる準備はできていた。
「絶対に連れて行かせない!」
どこからか声が聞こえた。
「誰?」
「しーちゃん!目瞑ってて!」
「えっ、心菜?」
「いいから、早く!」
「う、うん。」
「光幕 — 光の膜で敵の視界を遮る魔法。」
「ギャァ、眩しい!」
敵の悲鳴が聞こえた。
「しーちゃん、今のうちに逃げるよ!」
「うん、てか心菜、魔法使えたんだね!」
「隠しててごめんね。」
「ううん、ありがと。」
敵の一人が、こちらに銃口を向けた。
雨音の中に、小さな金属音が響く。
「逃がすな!」
次の瞬間――
「させない。氷壁 — 氷の壁を作り攻撃を防ぐ魔法。」
「あっ、琉夏ありがとう。」
「えっ……琉夏まで、魔法使えたの?」
「まぁな、お互い様だろ。」
「今のうちに逃げよー!」
「こらー、待てお前たち!」
そして私たちは森に逃げ込んだ。
「ふー、危なかったねー。」
「あぁ、気づかれないように今日はここで過ごすか。」
「ごめんね、二人とも、巻き込んじゃって。」
「いいって。」
琉夏は少しだけ目を伏せた。
「俺たちも組織の奴らに家族が連れ去られたしな。」
「えっ、そうなんだ……。」
「そういえばさ、二人とも何の魔法使えるの?」
「私は光魔法が得意! あと炎もちょっと使えるよ。」
「俺は氷がメインだ。風も使える。」
「しーちゃんは?」
「私は……水魔法。それと植物を癒やしたり、成長させる魔法も使える。」
心菜が小さな炎を灯す。琉夏は氷の魔法で雨風を遮る壁を作り、火が消えないようにした。
焚き火を三人で囲みながら、お互いの過去や魔法について少しずつ話した。
不安は消えなかった。
それでも、一人ではないと思えた夜だった。
私たちは『浄化機関』に復讐を誓った。
今までの私は、ただ怖くて逃げていた。
大切な人を失って、何もできなかった。
でも……もう違う。
私には、隣にいてくれる仲間がいる。
もう、逃げるだけの私じゃない。
今度は私が仲間と共に、ヴェールに立ち向かう。
雨はまだ降り続いていた。だけど――私の心に灯った炎は、もう消えることはない。あの日、失ったものを取り戻すために。私の戦いは、ここから始まる。




