第三十五章《理想郷機関(ユートピア)》
僕たちは始まりの魔法使い、と片割れと一緒に暮らしていた。
「片割れさん。起きてください!」
「……いやじゃ、まだ眠い。」
「もー、しっかりしてください。」
「ねぇ、リゲル。」
「何?」
「賑やかになったねー。」
「そうだねー。」
僕たちは普通に暮らしていた。
黎華のいない日常は寂しかった。
でも、始まりの魔法使いと片割れが太陽と月のように僕たちを照らしてくれた。
そんなある日……。
「魔法使いがいると聞いてきた。」
誰?
また、捕まっちゃうの?
「そんなものはいません。」
いやだよ。
もう失いたくない。
「我々は魔法使いを保護して助ける機関です。」
保護?
助ける?
敵じゃない?
その組織は理想機関の前の組織の理想郷機関だった。
「私たちの理想を叶えませんか?」
「理想……。」
「はい、今まで魔法使いは危ないとか言われてきました。でも、そんなことはないんですよ。」
「……。」
「私たちだって、自由に生きたい。そんな理想を叶える機関です。」
「……でも。」
「僕たちは大丈夫です。」
「いいんですか?」
「はい。」
「そうですか。それは残念です。」
「すみません。」
「いえいえ、いつでも力になるので困ったら言ってください。」
「ありがとうございます。」
「それでは。」
その人は帰って行った。
「本当に、あの人は僕たちを助けてくれるのかな?」
「わからない。でも……信じてみたいとは思ったよ。」
この時の理想郷機関は魔法使いを助けることしかしていなかった。
だが……。
どこかで変わってしまった。
それは三年後に起こってしまった。




