第三十四章《一人が二人に》
黎華の魂はまだ、その場にいた。
「私、死んじゃったのかな?」
その場には泣き崩れているリゲルとベテルギウスがいた。
「二人とも……泣かないで。」
その時、黎華の今までの思い出が一気にフラッシュバックしてきた。
「魔法使いめ。」
「気味が悪い。」
「倒せー!」
「魔法をこの世にもたらしたお前が悪い。」
そっか……。
私が魔法使いだったからこんなことになったんだ。
私がいなかったらよかったんだ。
「黎華……死んじゃダメ!」
「いかないで。」
リゲル……ベテルギウス……。
まだ、生きたい。
死にたくない。
「怖い。」
「近づくな。」
やめて!
「お前は誰からも愛されない!そして、一生その魔法という呪いに付き纏われるだろうな!」
……魔法のせい?
私はまだ……。
その瞬間。
黎華の体の破片が集まり始めた。
「リゲル見て。」
「……?」
「黎華が。」
「二つに集まってる?」
「……うん。」
片方からは希望が。
もう片方からは絶望が溢れていた。
「どうなっちゃうの?」
「わからない。」
しばらくするとその二つになった破片は人型になった。
そして、白い狐の仮面の少女と黒い狐の仮面の少女となった。
その時、白い狐の仮面の少女が目を覚ました。
「……黎華?」
「私は……誰?」
「黎華じゃないの?」
「わからないでも……懐かしい響き。」
白い狐の仮面を被った少女は涙を流した。
「なんでだろう?悲しくないはず……。」
しばらくして、黒い狐の仮面の少女も目を覚ました。
「ここはどこじゃ?」
「……黎華?」
「黎華というやつは知らん。」
「黎華じゃない?黎華はどこに行っちゃったの?」
「すまぬ、わからん。」
「黎華……黎華!」
僕たちはまた、泣いた。
黎華はもう……。
そんな予感がしたから。
でも、僕たちは前を向かなきゃ行けない。
黎華も僕たちがずっと泣いてると安心できないと思うから。
「わしは誰なんじゃ?」
そう聞かれた時。
僕たちはお互い向き合って言った。
「あなたたちは……始まりの魔法使い。」
「始まりの魔法使い?」
「うん。」
「黒い狐の仮面の人は片割れ。」
「片割れか。」
「あなたたちは魔法使いを助けてあげて。」
「助ける?どうやって。」
「それは……わからない。」
「わからないんじゃどうしようもできんぞ。」
「そんなことはない……黎華がそうだったから。」
僕たちは笑った。
もう黎華には会えないけど……。
僕たちは黎華が生きれなかった分まで生きる。
そう強く誓い合った。
「……ありがとう、二人とも。」
と呟く。
その声は誰にも届かず、黎華の魂は星の光に溶けていく――。




