↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『魔法が嫌われる世界で』 ―それでも私たちは、魔法を信じる―  作者: 淺桜雫音
第二部 魔法使い撲滅計画
PR
30/40

第三十章《新たな脅威》

翌日。

私たちは駄菓子屋に集まっていた。

「うーん……。」

「どうしたの?時雨。」

「次の作戦を考えてるんだけど……。」

「中枢装置は壊した。」

「でも、浄化機関(ヴェール)はまだ残ってる。」

「うん。」

「だから、次はどうするのかなって。」

「そうだね……。」

みんなで考える。

「もう一度、浄化機関(ヴェール)に侵入する?」

「さすがに危険じゃない?」

「でも、あのまま放っておくわけにもいかないよね。」

「うーん……。」

「焦る必要はないぞ。」

狐黒さんが言った。

「え?」

「先日、中枢装置を壊したばかりじゃ。」

「じゃあ、少し休んでもいいってこと?」

「そうじゃ。」

「でも、浄化機関(ヴェール)が何をしてくるか分からないよ?」

「だからこそ、今は情報を集めるべきじゃ。」

「情報……。」

狐黒さんが口を開く。

「おぬしたちは浄化機関《ヴェール》について、ほとんど何も知らぬ。」

「確かに。」

「ならば、まず敵を知ることじゃ。」

「どうやって?」

「昔のことを調べるのも一つの手じゃな。」

「昔?」

狐黒さんが続ける。

「浄化機関(ヴェール)は、昔から存在している。」

「どのくらい?」

「数万年じゃ。」

「……数万年。」

私たちは顔を見合わせた。

「そんなに昔から?」

「うむ。」

「じゃあ、魔法使いへの迫害も数万年前から?」

「それは違う。」

「え?」

「浄化機関(ヴェール)が最初から今のような組織だったわけではない。」

「じゃあ、昔は何だったの?」

「……。」

狐黒さんが黙る。

「狐黒?」

「それは――。」

「……。」

「まだ話す時ではない。」

「えー!」

心菜が声を上げる。

「そこまで言ったなら教えてよー!」

「すまぬの。」

「気になるー!」

「わしも昔のことはあまり話したくないんじゃ。」

「そうなの?」

「うむ。」

狐黒さんが静かに言った。

「過去には、忘れたいこともあるからの。」

「……。」

私はそれ以上聞かなかった。

すると、心菜が口を開いた。

「じゃあ、今は情報を集めるとして……。」

「うん。」

「具体的にはどうする?」

「まずは浄化機関(ヴェール)の資料を探してみよう。」

「資料?」

「昔の記録とか。」

「でも、そんなもの簡単に見つかるかな?」

「やってみないと分からないよ。」

「じゃあ、決まり!」

心菜が立ち上がった。

「次の作戦は――」

「情報収集!」

「おー!」

みんなで手を上げる。

「……なんか、戦うより地味だね。」

「まあ、そういう時もあるよ。」

私は少し笑った。

まだ、私たちは何も知らない。

浄化機関《ヴェール》が何のために存在するのか。

数万年前に何があったのか。

そして――。

狐白さんと狐黒さんが、なぜ一人の人間から二人になったのか。

分からないことだらけだ。

でも。

「絶対に、家族を助けよう。」

「うん!」

「そうだね。」

私たちは、次の一歩を踏み出すことにした。

まだ知らない真実へ向かって。

そのときだった。

「……!」

突然、狐黒さんが立ち上がった。

「どうしたの?」

「静かに。」

「え?」

「何かおる。」

私たちは一斉に周囲を見回した。

「誰もいないよ?」

「いや。」

狐黒さんは店の外を見つめる。

「いる。」

「どこ?」

「……屋根の上じゃ。」

「屋根?」

私は外へ出た。

そして、空を見上げる。

「……誰もいない。」

「もう行ったようじゃな。」

「えっ?」

「でも、間違いない。」

狐黒さんの表情が少し険しくなった。

「誰かがわしらを見ていた。」

「浄化機関(ヴェール)?」

「おそらくな。」

「じゃあ、もう私たちの場所がバレたの?」

「そう考えた方がいい。」

「……。」

みんなが黙り込む。

そのとき。

「ピピッ……。」

どこからか、小さな電子音が聞こえた。

「何?」

奏多が周囲を探す。

「……これだ。」

奏多が地面から小さな機械を拾った。

「盗聴器?」

「いや、違う。」

奏多は機械を調べる。

「これは……追跡装置だ。」

「追跡装置!?」

「うん。」

「じゃあ、浄化機関(ヴェール)がここを――」

「違う。」

奏多が遮った。

「これ、浄化機関(ヴェール)の一般的な機械じゃない。」

「え?」

「見たことのない構造だ。」

「じゃあ、誰が作ったの?」

「分からない。」

奏多は機械を見つめる。

「でも、一つだけ分かる。」

「何?」

「僕たちは昨日から、監視されていた。」

「……。」

嫌な予感がした。

その頃。

浄化機関《ヴェール》。

「報告します。」

「どうした?」

「例の場所を発見しました。」

「そうか。」

「ですが、妙なことが。」

「何だ?」

「監視していたところ、別の反応が確認されました。」

「別の反応?」

「はい。」

リゲルが振り返る。

「どんな反応ですか?」

「解析不能です。」

「……解析不能?」

ベテルギウスが窓の外を見る。

「もしかすると……。」

「何か知っているのか?」

「いや。」

ベテルギウスは静かに笑った。

「ただ、少し懐かしい気がしただけです。」

リゲルも空を見上げる。

「……まさか。」

二人の視線の先。

そこには、昼間でも薄く見える星が一つ輝いていた。

そして――。

「始まりの魔法使い。」

「片割れ。」

二人が同時に呟いた。

「まだ、生きていたんですね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。