第二十六章《作戦会議》
「あっ、お久しぶりです。」
私は時雨さんたちのところを訪ねた。
「始まりの魔法使いさん。」
「この前はごめんなさい。」
「気にしてないよ。」
「本当にすみませんでした。」
「いいって、それより上がって。」
「はい……。」
そして、みんなが集まった。
「今度はどうする?」
「魔法使い撲滅計画決行まで二週間。」
「二週間か……。」
「じゃあ、とりあえずみんなの能力をまとめよ。」
「うん。」
「私は光魔法、炎魔法。」
「時雨が水魔法、植物治癒魔法。」
「琉夏が氷魔法、風魔法。」
「悠生さんが風魔法、回復魔法。」
「うん。」
「それで、奏多と伊藤さんは……。」
「俺はまだわからない。」
「僕は……使えない。」
「えっ?」
心眼通話
「僕が魔法使いなことは秘密にしてて。」
「あぁ、わかった。」
「てか、俺は伊藤じゃなくて青木龍二!」
「お前は何でもいいだろ。」
「ひどっ!」
「そして……始まりの魔法使いさん。」
「私?」
「あなたはどんな魔法が使えるんですか?」
「わからないんです。」
「えっ?」
「自分のことはあまりわかりません。」
「……。」
「わかっていることは死ぬとタイムスリップすること、仮面が取れると暴走すること。」
「死ぬとタイムスリップ……。」
「はい。」
「それって、いつの時代に行くの?」
「わかりません。」
「じゃあ、次に死んだらどこに行くかも?」
「わかりませんねー。」
「わからないことだらけだ……。」
「すみません。」
「いや、謝らなくていいよ。」
「それより、仮面が取れると暴走するっていうのは?」
「はい。私の魔力が制御できなくなります。」
「じゃあ、戦っている途中に仮面が取れたら危ないんじゃ……。」
「その通りです。」
「だったら、絶対に仮面を取られないようにしないと。」
「はい。」
「……でも、能力がわからないんじゃ、作戦に組み込みづらいな。」
「そうですね。」
「じゃあ、まずはできることを確認してみよう。」
「どうやって?」
「魔法を使ってみるとか?」
「やってみます。」
始まりの魔法使いさんは、少し離れた場所に立った。
「……。」
「……。」
「……何も起きないね。」
「そうですねー。」
「えぇ……。」
「すみません。」
「だから謝らなくていいって!」
「でも、何かできるはずなんです。」
「何か?」
「昔から……魔法を使う方法だけは、なぜか知っていました。」
「じゃあ、やってみよう。」
「はい。」
始まりの魔法使いさんは、ゆっくりと手を前に出した。
「――神楽舞。」
その瞬間。
ふわっ。
周囲に淡い光が広がった。
「えっ……?」
「何これ?」
「魔法……なのか?」
「わかりません。」
「本人もわからないのかよ!」
「でも……。」
始まりの魔法使いさんが光に触れる。
すると、光が一瞬だけ形を変えた。
「……今、何か見えなかった?」
「うん。」
「私にも見えました。」
「何だったんだ?」
「……過去、だと思います。」
「過去?」
「はい。」
「もしかして……記憶を見る魔法?」
「それも、わかりません。」
「またわからないのか……。」
「すみません。」
「だから謝らなくていいって!」
みんなが少し笑った。
「まあ、能力についてはこれから調べていこう。」
「うん。」
「それより、問題は二週間後だ。」
空気が変わった。
「魔法使い撲滅計画。」
「中枢装置を破壊しないといけない。」
「でも、第七研究区画には浄化機関の人たちがいる。」
「正面から行ったら、まず無理だね。」
「だったら、こっそり侵入するしかない。」
「でも、どうやって?」
「私の光幻鏡で姿を隠すことはできるよ。」
「ただし、長時間は無理。」
「なら、短時間で中枢装置まで行く必要がある。」
「そして、装置を破壊する。」
「……。」
「問題は、その後だね。」
「浄化機関に気づかれたら、逃げられない。」
「だったら――」
悠生さんが口を開いた。
「俺が浄化機関の内部から道を作る。」
「お兄ちゃん?」
「俺は元々、捕縛部の人間だったからな。施設の構造はある程度わかる。」
「じゃあ、俺も手伝う。」
伊藤さん……いや、青木さんが手を挙げた。
「お前は何ができるんだ?」
「それは……。」
「まだ魔法がわからないんだったな。」
「うん……。」
「じゃあ、俺たちが役割を分担しよう。」
私はみんなを見た。
「二週間後――」
「中枢装置を破壊する。」
「そして……」
「魔法使い撲滅計画を止める。」
その瞬間、始まりの魔法使いさんが静かに口を開いた。
「……それだけでは、終わらないと思います。」
「え?」
「浄化機関が、なぜここまで魔法使いを嫌うのか。」
「……。」
「それを知らなければ、また同じことが起こるかもしれません。」
「……そうだね。」
「だから私は――」
始まりの魔法使いさんは、狐の仮面に触れた。
「中枢装置を壊すだけではなく、浄化機関の真実も知りたいです。」
「うん。一緒に確かめよう。」
「はい。」




