第二十二章《脱出》
「じゃあ、バレないように慎重に行こう。」
「うん。」
「お兄ちゃん、奏多が捕まってるのってどこ?」
「ここの通路を真っ直ぐ行って突き当たりを右だ。」
「わかった。」
そして、部屋の前についた。
「開けるよ。」
「う、うん。」
心菜がゆっくりとドアを開けた。
その中には前の二人組が立っていた。
「あ、遅かったな〜!待ちくたびれたぜ。」
「ねえー。」
「この前の二人組!」
「俺の名は神崎櫂。」
「私は桜井美琴!」
「覚えておけっ!」
「でも、ここで殺しちゃうけどね〜。」
「なんかあいつ見覚えないか?」
「確かに。」
「あれ〜?天城刹那さんじゃないっすか。何してるんですか〜?」
「うるさい!黙れ。」
「反抗するなら容赦しないからな。」
「来る!」
雷獄
バチィッ!!
電気の檻が、俺たちを取り囲んだ。
「また、これか。」
「その魔法はもう通用しない!」
氷壁
電気の檻を包むように、氷が一気に広がっていく。
美琴は笑っていた。
「そんなことしたら感電するんじゃない?」
「ふふっ、甘いな狙うのは電気じゃない。」
琉夏は冷静に檻の周囲を凍らせていく。
「檻そのものを固定する。」
ピキッ……!
電気の檻が氷に覆われ、動きが止まった。
「えー!嘘でしょ。」
「敵が動揺している。今だ!」
「うん!」
五人は氷を砕いて外へ飛び出した。
「危ねぇー。」
「琉夏、ありがとな。」
「礼には及びません。それより早く奏多を助けないと。」
「そうだな。」
「調子に乗ってんじゃないわよー!」
雷刃
四方八方に雷の刃が飛んできた。
「痛い。」
「時雨!大丈夫か?」
「うん、ちょっとかすっただけ。」
「逃がさないわよ、ネズミども!」
紫電
電撃が心菜の足元に落ちた。
「うわっ!」
「今のが直撃したら結構まずい?」
「あぁ、最悪、心停止だ。」
「ちっ、雑魚のくせに、今度は手を抜かないで一気に潰してあげる。」
紫電乱舞
「今度は高速で繰り出してきた!」
「まずい、これを全部避けるのは……。」
絶縁結界
バチッ!
紫電が全て消えた。
「な、何が?」
「何が起こったの?」
「弱いものいじめは楽しかったですか?」
そこには巫女服を着て、狐の仮面を付けた、同い年ぐらいの少女が立っていた。
「あなたは?」
「話は後でお願いします。」
「何か増えた?まぁ気にせず……!」
紫電乱舞
「そんな攻撃は効きません。」
その少女に近づいた紫電は消えていった。
「今、この人、魔法を使ってなかった。」
「みなさん、ちょっと下がっててください。」
「な、何する気!?」
その少女は静かに前へ出た。
「――神楽舞。」
スッ――。
巫女服の袖を翻し、少女が舞う。
「な、何よ……!」
「――破邪。おやすみなさい。」
絶対守護!
「こっちは攻撃を無効化できる!」
少女が袖を振る。
「無駄です。」
次の瞬間、美琴と櫂はその場に倒れた。
バタン。
「圧倒……圧倒的な力だ。」
「みなさん大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございます。」
「では、今のうちに脱出しますか。」
「あ、あのー、この部屋に仲間が閉じ込められていて……。」
「そうでしたか。なら、その人も助けて帰りましょう。」
そして、私たちは奏多を連れて帰ることができた。
「あなたは何者ですか?」
「私は……始まりの魔法使い。」
「始まりの魔法使い?」
「ええ。私はこの世界で最初の魔法使い。そして、それは呪いだった。」
「呪い?」
「この話はまた今度しましょう。では、さようなら。」
そう言って、少女は静かにその場を去っていった。
「……不思議な人だったね。」
「うん。」
「でも、今は考えてる場合じゃない。」
「そうだな。まずは奏多を休ませよう。」
「みなさん……。」
奏多が申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいませんでした!」
「えっ?」
「僕のせいで、みんなを危険な目に遭わせてしまって……。」
「謝らないで。」
時雨が静かに言った。
「奏多は悪くない。」
「でも……。」
「いいから。」
「はい……。」
その表情には、少しだけ安心したような笑顔が浮かんでいた。
――こうして、私たちは奏多を取り戻すことができた。
だけど、あの少女が残した言葉が頭から離れなかった。
『私は、この世界で最初の魔法使い。そして、それは呪いだった。』
「始まりの魔法使い……。」
私は小さく呟いた。
あの人は一体、何者だったのだろう。
そして――
「呪い」って、一体何を意味しているのだろう。
その答えを、私たちはまだ知らなかった。
だけど――この出会いが、世界の運命を大きく変えることになるなんて、この時の私たちはまだ知る由もなかった。




