第二十一章《突入》
まだ、太陽の昇らない午前三時。
辺りは静まり返っていた。
「じゃあ、行くぞ。」
「うん。」
「奏多を取り戻す!」
「うん!」
「浄化機関本部はここから北に十km。日の出とともに突入だ。」
「了解。」
まだ空は暗い。
十月なので少し冷え込んでいた。
そして、午前五時五十八分。
日の出とともに突入した。
敵にバレないように通気口から侵入した。
「時雨、心菜。ついてきてるか?」
「うん。」
しばらくすると広い部屋に出た。
「ここが浄化機関。」
「なんか普通だね。」
ガチャッ!
「誰か来た?」
「心菜!頼んだ!」
「オーケー!」
光幻鏡
「あれ?奏多は、多分時雨たちは通気口から来るって言ってたんだけど違ったか?」
「そのうち来ると思います。」
この二人は敵?
「あっ、お兄ちゃん……。」
「へ?てことは悠生さん?」
じゃあ、魔法を解除して。
「うわー!びっくりした!」
「急にで出るなよ。心臓に悪い。」
「あ、すみません。」
「お、お兄ちゃん?」
「時雨なのか?」
「うん。」
「久しぶりだな。」
「うん。」
「照れてないでよ二人とも!」
「あはは。」
「苦笑いかーい!」
「だって、俺、記憶ないもん。」
「私もまだ小さかったから記憶が曖昧。」
「グヮー!」
「お兄ちゃん!大丈夫?」
「急にどうした?」
「刹那さーん!」
「悠生さん!」
「えっ?この人の本名って悠生なの?」
「そうですよ。てか今はそれどころじゃない!」
「そうだった。」
「あっ、あー!」
「お兄ちゃん?」
「思い出した……全部……。」
「本当に?」
「ああ。父さんも、母さんも……そして、お前のことも。」
「お兄ちゃん……。」
悠生は自分の腕を見つめた。
「……そうだ。」
「お兄ちゃん?」
「腕に埋め込まれているチップ……。」
「チップ?」
「これを取り出せば……俺はまた魔法が使える!」
「でも、どうやって?」
「琉夏、氷のナイフを作ってくれ。」
「えっ、でも……。」
「いいから。」
「あっ、はい。」
氷武創成
「俺は風魔法の他に回復魔法も使えるんだ。」
ジャキッ!
「痛い!結構痛いな。あ、これがチップか?」
それは二mmくらいの小さな機械だった。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「あーなんか力が湧いてくる。それに呪文も思い出した!」
聖癒
「痛みが引いてく。」
「大丈夫ですか?」
「お前もやるか?伊藤?」
「お願いします!」
「行くぞー!」
ジャキッ!
「いったー!痛い痛い痛い。」
「チップを取ってと。」
「痛い痛い痛い痛い。」
「わかったから、ちょっと黙れ。」
聖癒
「痛みが引いてくる〜。」
「お前は反応がデカいな。」
「へへへ。」
「お前は何の魔法が使えるんだ?」
「分かりません。でも、そのうち思い出すと思います。」
「そうか。」
「じゃあ、ゆっくりしてる時間はないから早く行こー!」
「あぁ、奏多が無事だといいんだが」
今のところ順調だけど……嫌な予感がする。




