第3話 大地とカチコチ脳
かき氷の食べ過ぎの頭キーーンってあれどうにもならない苦しみですよね。
「がっ……、ごほっ、う、頭が……!」
ダイチはこめかみを両手で押さえ、文字通り机に突っ伏していた。脳ミソがカチコチに凍りついたかのような激痛に耐えながら、スプーンを動かし続けた。
(これが……ヒントの代償かよ……!)
ガチガチと震える手で、必死に氷の山を削り、口へ運び続けた。――しかし。
「ふぅ。ごちそうさま。やっぱりお祭りのイチゴ味は鉄板ね」
ふいに、対面からそんな涼しげな声が聞こえた。
ダイチが涙目で顔を上げると、そこには信じられない光景があった。
少女の目の前にあるかき氷は、上のほうがほんの少し綺麗にすくわれているだけで、九割以上が手つかずのまま残っている。
「……は? お前、全然、食って……」
「え? 私、ただかき氷が『食べたかった』だけって言ったじゃない。お腹いっぱい食べたいなんて一言も言ってないわよ?」
少女はハンカチでちょんと唇を拭うと、さっさと丸椅子から腰を上げた。煽るだけ煽って自分を極限まで追い込ませておいて、自分はほんの少し味わっただけで満足してゲームを放棄する。
「お前……っ、ふざけんなよ……!」
「はいはい、怒ると余計に頭に響くわよ。もういいわ、さっさと行くわよ、ダイチ」
少女はダイチを一瞥することもなく、くるりと背を向けた。その足は、迷いなく群衆をかき分け、さっきスプーンで指し示した山の上の巨大な鳥居へと向かっていく。
「待て……! ゲホッ、おい、待てって……!」
ダイチは痛む頭を押さえ、冷え切ったお腹を引きずりながら、慌てて椅子を蹴って立ち上がった。本当に、どこまでも理不尽で、意地悪で、マイペースな奴だ。
だけど、暗闇に消えていくあの華奢な後ろ姿を見失ったら、俺はこの世界で、本当に一人きりになってしまう。
がんばれーダイチ!




