nAmBAr.21-01「二人の寝顔」
またサビが終わり通常ラインに戻る。丁度レースで言うカーブドリフトが終わり直線での速度を稼ぐ時間帯だ。私も特に奇を衒う事無く縦横無尽とは行かないまでもゆったりとしたこの曲の調子に合ったベースライン構築に終始していた。
ローニャは目をつぶっている。内面から湧き出る想いを乗せる時人は瞳を閉じる、例えばキス、例えば黙祷。キスをする時目を開けている人間だけは信用するなとは良く出来た言葉だ、私は微妙にエッチな事を考えてしまいベースラインを間違えた。ローニャが薄目を開けてこっちを見たがバレたのかどうかはよく分からない、そのまま瞳を閉じて歌唱の続きに耽っている。
歌が段々とまた開花させよう、と言う方向に向かって居る、私はベースラインの音階を微妙に上げる。当てずっぽうで開けても上手くは行かないだろう、どうするのか。サビ。鳥はどうも開き方を調整する事にした様だ、虹を作りたいのだきっと。上手く行った、虹は出来た。だが…それをまた開けっ広げにした段階で七方向への光の崩壊が始まってしまい慌てふためく小鳥。小鳥はまた閉じようとしている、だが光は長時間虹形態時身を発散させていた影響かなかなかその小鳥の意志に対して素直になろうとはしない。小鳥は苦戦する、苦戦するが前回閉じた時よりは時間を掛けようやくそれを再度封じ込められた。つまり歌詞の終わりの際々まで小鳥は封印作業をしていた、歌詞に余韻が無かった。ベースラインも前回とは少し異なった流れとなった、まあメロディライン自体に変化は無いが私に出来る事と言えばこの位だろう。
二サビ終わりからは間奏パートに入るのは定番だが間奏…? 嫌な予感しかしない。ローニャも丁度嫌味ったらしくこっちを見てニヤニヤし歌って居る。おい信用出来ない人間化してないか…?
歌がピタリと止む。こっちの出番だとばかり何やら投げキッスを始めた。畜生、バレてやがった…! ええいままよ、とベースソロを敢行する。自分なりに七色の飛散が成功するといいね、と言う希望を乗せて。ローニャは小鳥の真似をしてそこら辺でダンスしていたのだがソロ後半になると寝始めた。聞いてくれよおい…。まあ、なんか意図が有るんだろうが…。
ローニャの寝顔。今の物は正確にはそうではないのだろうが私はローニャの寝顔を試練の合間合間における停滞の間とでも言うべき世界にて間近で見た。20歳世界に入る前は特にローニャの睡眠は長かった。あれは一体何故長かった? 分からないが、ローニャには私が目覚めるよりちょっと前の景色が有ったのかも知れない、ずっと子の寝顔を見守る母の様な…。そう思うとこの嘘で在ろう寝顔。それも愛おしく思えて来る。私は、また思考フェイズに入ってベースラインを間違えたのだがローニャは眉一つ動かさなかった。
空想交じりの扉絵気味と言う事でw2




