nAmBAr.00-02「ローニャの恋愛指南」
「あのさー、涙交じりにナデナデされても、今一つ雰囲気が出て無いと思うんだけどなん…」
「あ、ごめん…」
私はローニャの尤もなツッコミで我に返ると撫でる動作を止めてしまった。まあそれも渡りに船か、私から動作を止める筋書きが思い浮かばなかったので致し方の無い事だ。
「あんまり台座をお座なりにしててもいい結末が待っているとも思えないしね…。如雨露が復帰してしまう前にニパ君を元に戻さないとね。はい」
そう言って星を一つ頭から外して渡して来る彼女。星? 私は涙まみれ鼻水まみれになってしまっているがこの星で何をしろと…。
「涙拭いて鼻かむの。ちーんして。元々あーしの星ってただの飾りじゃ無くてこう言う時用の便利アイテムなんだよね。ニパ君もあーしも今の所そう言うシチュエーションに陥って無いけど怪我の治療にも多分有効な筈。て言うか、そっちが本分でこんな下世話な事の処理に用途が向く方が不自然な気がする…。うーん、まあ凸凹コンビなあーし達らしいっちゃらしいのかも知れないけど…。どうせあんまり致命傷だと無理な訳で、そうならなかった僥倖を噛み締める意味でも思い切ってやっちゃって、ちーんって」
「わ、分かった…」
言われるままそれで涙を拭き、鼻をかむ。そうしている間も「せっかくのいい男が台無し」だの「女の子口説く様なモーションでそれは減点」だの厳しい恋愛指南が飛んでいるがとりあえず聞き流しておく事にする、いやちょっと待て。いい男と言う事は少しは脈有りで考えてもいいのだろうか…。そんな隙有り発言をここぞとばかり無自覚で挟み込むローニャもどうかと思うが私はそれで今までの或る意味二番手仲間への共感で陰鬱としていた感覚が晴れやかになった。
「で、これはどうしたら…す、捨てる?」
「捨てる訳無いでしょ、それあちきの体の一部なんだから。別に理屈の上ではその星は幾ら汚れようが亜空に繋がってて元通りになれる機構が有るんだよん。その元通り化能力が人の傷をも恢復出来る根源。と言ってもばっちぃイメージは拭えないしそんなの触りたく無いから戻す時はニパ君があちきの頭に直接戻して」
「う、うん…」
私はローニャの頭に星を返した。星はローニャの頭の上に来ると自然と私を離れその不思議な浮遊力の力場に収まった。きっと私が休んでいた地点に置かれた目印の分もこうやっていつか元に戻るのだろう。
「で、もっかい撫でても良いよん? て言うか、撫でる! あんな鼻たれ小僧に撫で回された実績なんてこのローニャ様のプライドが許さないんだから。ほら、今ならロマンティックと言えなくも無い顔付きな訳だから、チャンスチャンス」
「お、おお…じゃ、遠慮無く」
「えへへ…」
私は誘導されるがまま、このままごとの様な恋愛指南に沿って行動していた。もし台座に意思が有ったら、放置プレイ状態に憤怒して如雨露復帰からの強制的な種子凍結に至って居ても可笑しくはなさそうだが幸いそうは成って居ない。




