nAmBAr.00-01「天使と悪魔が囁く」
「ん、ニパ君泣いちゃってるね? どったの、今になって取った選択が怖くなっちゃったとか?」
「え…」
気付けばローニャは台座から手を引いている。どうも私は不良達に感じ入ってしまったらしい。目の前に一番手が恋したイデアが居て、二番手の多くもその女性なり男性なりに惹かれていただろう。そんな時、一番手を切り捨てる選択をすると一番手の影たるイデアはどうなる? 一緒に死んでしまうのか、それとも二番手と一緒に再度の休眠期間に入るに留まるのか。どちらにしろ二番手は、イデアとの日々を喪う。たとえ試練内での短い心音の共演期間だとしてもだ。それに宇宙に散らばると言うイメージの中でまたそのイデアと巡り合わせる可能性など砂粒程も無さそうなスケールの話に思える。イデアと、一緒に居たい。それぞれの試練の中で様々な都合は有った筈だが、果たして人類の為にどちらが優秀な選択肢か答えが明示されていない中でそんな想いを切り捨ててまで思い切ってその道を取った彼らを優等生、不良の括りで語っていい物なのか。
ただそれでも目の前に居る私の一番手のイデア、ローニャは、私の事を皮肉のつもりかも知れないが優等生としてくれた。その定義に水を差すつもりは無い。私は、イデアたるローニャと考えをシンクロさせ、正しき道、優れた道を選択出来た。それ以上の事は考えたく無い。彼ら仲間を簡単に否定して堪るものか。
「ああ、これは武者震いの類と取ってくれていいよ」
「ふーん、なんだか不安だなあ…」
私の気を知ってか知らでか、ローニャが頭に手を回しながらのんびりとそんな事を言う。つまり、私の本当の決断タイミングを待っているんだろう。私に全権をくれている。往こう、触ろう、とは私から進んで言ったが、まだ引き下がれるよ、と言う彼女のゆとり、優しさが今のこの時間の意味。左様なら、に繋がる言葉をこれにてご免ではなく私もそうしように改変出来る最後のチャンスだよ、と。私のその脳裏におけるローニャの言葉には語尾が無かった。飽くまでシリアス、実際のローニャなら付けていてくれても可笑しく無さそうな物を。私の頭に居るローニャを私と言う二番手のイデアと呼んでいいとするなら、彼女は言うだろう、銀河の道こそ優等生の道だと。目の前のローニャ、そして心に住まう彼女。天使と悪魔の囁き、そしてその上でどちらが天使でどちらが悪魔なのか…。それを確かめたくて、私は気付けばローニャの頭を撫でていた。
「うえ!? に、ニパ君どうしちゃったの? あーしの頭を撫で、って言うかあちきの頭って簡単に撫でられる様な頭だったんだ、お星様群もニパ君の手を避ける様に受け入れ態勢万全って何実況してんのあーし!? あわわ…」
ローニャは先程見せた赤面とは比べ物にならないトマト状態になりながら一人称をあっちこっちに行かせて慌てふためいている。私は私で涙の跡を拭ってすら居ない。かなりのカオスが構築しているこの光景の終わり処も全く読めないまま、私は涙を拭って男としての情けなさを回避すべき状況を無視してローニャの頭を撫で続けた。
刻一刻と変わるニパ君の服の開閉状況(謎




