nAmBAr.10「命の足跡」
「おーい」
私はその後休息していると、焦燥した様子のローニャからそう呼び掛けられた。
「なんだ、偵察中に何か見つけたの?」
「見つけたって言うか、その、なんか違和感が有ったんだよ」
と語尾も付けずに心臓の辺りを押さえてみせるローニャ。ピンチから救ってくれたのが心音なら、何かしがの危機的状況を知らせてくれるのも心音と言う事か。生きる上での”ベース”となる、我々を突き動かす衝動の鼓動、それが一体ローニャに何を感知させたと言うのか。
「今までは空間がタイミングに応じて切り替わって来た。でもこの2歳世界は何処となく雰囲気が違うね、あーし達が行動する事で切り替わりを導く必要がある、と言うか。で、心音の警告が有ったんだ、ここから先、一人で来たら危ないよ、って言う感じの。多分あのエリアにニパ君と一緒に行ったら何かが始まると思う、アメロッカとかフレワーミッシュ由来の何か。準備が出来たら教えて、あーしはもうあのビビッと来る怖気だけで疲れちゃったからニパ君の準備が出来てても休み~」
「なんだ、それじゃ結局準備をするのはそっちなんじゃないのか」
「ご名答~、あはは、あーしんど」
多分ローニャが心音の不穏さに応じて感知した未来図はそう生易しい物では無かったのだろう、私はそれ以上何も告げず、次なる試練への英気を養うローニャの呼吸をそばに居て肌で感じていた。今はもう2歳世界、我々の旅程もそう長くは残されて居ない。であればその一呼吸一呼吸を今はただ感じていたい、休憩時間もそれならば長い方がいいには違いない。ただそれは、目的達成に向け動いて来た我々の在り方からすれば不埒な考え方に過ぎず、とても口に出す事は憚られた。
「長かった様で、短かったよね、あちき達の旅路さ。これからの事が成功するかはまだ分かんないけど、どっちにしてもよろしくだ、相棒」
が、それに関する沈黙は相方に破られた様だ。グータッチ待ちをしている。私はそれに応じる事に吝かでは無く、すぐさまグータッチを返し、そこでローニャはにんまりと笑ってくれた。これでいい。この瞬間があったと言う事実だけで、私は生の喜びを叫ぼう、心音の一心不乱なベースラインを奏でて見せよう。この何もかもが行き先不透明な環境下にあって、確かな事が二つ。それは、成功不成功関係なく、イバの生と言う着地点に向け、二人の努力の軌跡があったと言う事。そして私の空虚だった心の銀河には、生まれたての恋の花が宿った、と言う事。この二つを二人分の篝火として、我々は刻む、この誰も他に刻む者の現れる事の無い地にて、命の足跡を。
立ってるイメージは無かったけどまあこれはこれで
4-1にしても最初の膝枕シーンを参照したんですが背景のブレにはあまり突っ込まずお願いしますw
(ちなみにこれの背景に関しては何も指定せず出て来た物)




