nAmBAr.01「話(わ)に和(わ)にニパック」
2歳世界への到着。今までの20歳、10歳世界とそうは変わらない或る意味見慣れた光景。私は相次ぐ試練の連続でくたくたになっていた。それは気丈に振舞っているローニャとて変わりは無いだろう。そこで私はローニャの語尾を種明かしをされた時の様な明るい癒しを求めこう切り出した。
「いやあ散々な目に合い続けているが、こう、プレゼントとしてと言うかあだ名の様なニパじゃない本名も欲しいな」
「本名? ふっふーん」
本名と聞いてローニャの口角が上がる。どうも先回りして考えている何かしがは有った様だ。
「えっ、考えてくれてたのかよ」
「本名はガトー君って決めてたんだよん。その心は、3+9=12でアリガトー→アリガート→アリゲーター。12、まあなんてーか、こんなとこまで来ちゃう位だもんね、一番手と二番手、なんだかんだ仲良いじゃん?
であーしもそこには付き合おうと思ってて。イバの初恋の人代理の黒子みたいな立ち位置で活躍させて貰っているからクロコダイルがあちきサイド。あちきがローニャで、あーしが黒子? またの名をローニャ・黒子・ダイアモンドとかもアリかもね」
そこでローニャは両手の指を駆使してハートマークの変形でダイアマークを作って見せる。
「ダイアモンドとは大きく出たな。しかも一センテンスの中でのあーしとあちきの入り乱れもみっともなく無い形で実現してしまってるし。面白くねー」
「はっはっは、ニパ君のからかいを先手必勝で潰して行くのがあーしスタイルあちきの流儀ってね」
「なんだ、結局呼んでくれないのかガトーとは」
「まあご褒美の名前だからそこはね。ニパ君だってダイアちゃんとはいきなり呼びたくはならないでしょ? そこは等価交換の関係性だよん」
「黒子ちゃん」
「うわ、黒子の意味を話した上でのそれって性格悪っ。ニパ君なんてニバ君で十分だったわ」
うぐ、今まで呼ばれて来た名前が失われた痛みが私を襲う。
「あー悪かったよ、イバと並ぶ汚い語感の名前は勘弁してくれダイアさん」
「ふふっ、これで本名部分を呼び合った回数1対1だね、蔑称部分もだけど」
「そうだな。ってローニャはローニャで本名っぽいけどな」
「うん? まあそこはダイアが真の名って事で」
「うお、俺とはなんか格の違う感」
「じゃ懇親会の宴もたけなわですが、そろそろあーしの任務に向かいますよん。ちょっくら2歳世界を偵察して来る。またそれをやる前に空間変異の発動が有ってもまずいしね」
そう言い終えるとローニャの口元は強く結ばれた。そう、我々は遊びでこの世界に居る訳では無い、一番手イバのレスキュー隊としての本懐を遂げられねば、存在している意味が無い。和気あいあいとした交流は、その助けとなるスパイス程度の意味に留めて置くのが賢い選択と言えるだろう。




