nAmBAr.10「子供の発想」
私はこの”廊下”を登りながらその字面からは考え辛い困難さに心を砕かれ始めていた。
「にしてもこれで廊下ってどう言う了見なんだ? 到底そんな平和な響きの構造物には思えないんだが」
と、飛行妖精をしているローニャの冷静なツッコミがそこで入る。
「考えたんだけど、飴廊下にしてもこれまでの命名にしても多分子供視点なんだよね。地球のご家庭では良く有るんじゃん、狭い廊下の両方の壁を両手両足で登って行く奴。フレイムシュートは太陽との睨めっこで、アームロック化の空間ルービックキューブ…はちょっと分かんないけど、でもその基本は子供なら誰でもやる奴の究極変則型に我々は難儀させられていると」
「ああ~そう言う…。はいはい、遊具としての廊下の側面ね…」
「壁と言う側面だけに、ね」
「はぁ…いいなあローニャ」
「ん? 辛過ぎてあーしの美貌に癒しを求め始めた感じ?」
「んな訳有るか、飛行出来て羨ましいなって事だよ」
「あはは、フレーフレー、ニパ君! フレーフレー、ニパ君!」
見様見真似でだろうがチアガールめいたモーションで私の応援をし始めた。それを見て私は飴廊下の攻略を再開したが、しかしなんだろう、段々と柱の粘性が落ちて来ている様な…。
「ウッ!」
ズル、っと手が滑る。最初この柱に落下を防いで貰った時はかなりの粘性が有り私はそれに命を救われた訳だが、その時点と比べると今のこの粘性の弱さは同じでは有り得ない。錯覚では無い、これで登り続けるのは無理だ。
「あ、ニパ君大丈夫?」
「いや、大丈夫だが多分この飴は段々と登る為の粘度が低下しているな」
「あー実際の口の中での飴が小さく擦り減って行くみたいな現象がここでも起きていると言う事か、ニパ君は食べた事無いだろうけど」
「なるほど、初恋の君が見出されるまでの幼い経験の中に飴を食べた記憶が入っていると言う話か」
「そうなるね、それはともかくそうか…じゃああちきの活躍フェイズが来たのかな? これは」
「と言うと?」
「隣の手近な飴廊下にニパ君を連れてく位は出来ると思うよん。飴の粘性が弱っている今なら引き剝がすのもそう苦労はしないと思うし」
「そうか、ならなる早で頼むよ、そろそろもう現状維持だけでも辛くなり始めている」
「オッケー、じゃちょっと頑張ってみるよん」
そう言ってローニャは私の事を飴廊下から引き剥がそうとしたが…。
「おおう!? こ、これは深刻に重い…ニパ君ダイエットしないと…」
「ダイエットも糞も生まれてこの方なんも食ってねえよ…。で、手を離しても行けそうかローニャ。なんか大分先行き心配そうなリアクションなんだが」




