nAmBAr.02「探すべき祝詞」
次の空間は始めから地平の安定が約束されている様な都合のいい空間では無く、私は中空に投げ出される形となっていた。
「うおお!?」
急遽降り掛かって来た災難をどうにかすべく私は四肢をがむしゃらに動かし、そして落下する私の横に整然とした柱が有ったのでそちらに手を伸ばしてみる。すると私の体はその接触した右手を契機に自由落下を辞める事が出来た。べた付きの感覚、ただの柱では無い。
「一安心ってとこか…しかしなんだ今度の試練は。いきなりご挨拶じゃないか」
「ふぃーニパ君お疲れ様。あちきは今回こうして浮いて楽させて貰うけど…。これは『飴廊下』と言う異空間の様だね。アームロック化と大分響きが近いね、アメロッカ、アームローカ…まあまだ今考えてどうにかなる事じゃなさそうな感じでは有るけど、核心に近付いているのは間違いなさそう」
「イバの命の危機回避に関する、か?」
「そう、多分イバは幼い頃に自己の核となる何かそれこそ『祝詞』の様な物を脳裏で復唱なり反芻なりしていた筈なんだ。それがさっきのアメロッカだかアームローカだかまだ今は霧の中だけど、その響きの根源たる世界を肯定する為の、愛する為のキーワードを見つけ出す事、これがあーし達の次の大きなステップになって来ると思う」
「なるほどね、世界を肯定って事は即ち死の否定か。もっと言えば命を揺さぶろうとする全てへの拒絶反応。俺達はイバの死の宿命をなんとかしようって想いの為にこうして種々の活動を行っているが、その受け手側からすれば自分の命の行方を簡単に弄られるのは真っ平御免だっつってこう言う拒絶心めいた反応が返って来ているって訳だ」
「単純に人ひとりの命を救うには山有り谷有りなんだって話でも有るだろうけどね。まあこう言う事なら次もフレイムシュートの響きに近い祝詞由来のアスレチックが待っているんだろう。どうニパ君? 柱は登れそうかなん?」
そう言いつつローニャは上方を見やる。透明度の高い方のシャボン泡の壁が今回も上空に蓋をしている。その問い掛けに応える様に私は宙ぶらりんだった左手を右手の上の位置に持って行く。上手く行きそうだ、この粘性なら私の体は上方に持って行けるだろう。
「オッケーそうだ、それに粘性を発揮するのは俺の肌部分に対してだけみたいだ。服もちょっと触ってしまった部分が有ったが特に巻き込まれている気配がない」
「良かった~ニパ君持ち上げながらあーしが頑張りを見せないと行けないといけないかと思って。そうなったら何が待っているか分からない次のフレイムシュート2のチャプターで疲れ切ったあーしはトドメを刺され兼ねないからね」
「結局自分の心配かよ…」
「まあまあ、あちきもニパ君のサポーターとして元気元気で居なきゃいけない訳ですし? そこら辺の自己管理含めて見れてやっと一人前の相棒と言えるんだと思うよん」
「はいはい、そう言う事にしておきますよ…」




