IF第70話 VS大悪霊4(決着)
それと同じくしてシシラの仲間たちがシシラを守るために応戦する。シシラは天使を召喚するために二つの魔力を練り、詠唱を始める。何故、自分の頭の中に天使を召喚する術式があるのだろうと不思議に思うこともあるのだが、今するべきことに集中する。ガミオ達を信じて。
「どけ! 【デビルスラッシュ】!」
「いかせん! 【ホーリーライトスラッシュ】!」
「ちっ! こいつにも聖女と同じ魔法が!」
「大人しくしろ! 【ホーリーライトバインド】!」
「グヌッ! おのれ!」
魔物たちは大悪霊の力で強くなっていたが、シシラの仲間たちはそれ以上に強くなっていた。大悪霊もガミオに苦戦を強いられた挙げ句に動きを封じられる。もうシシラに近づくことはできない。
「ま、まだだ、【デビルシュート】!」
「【ホーリーライトウォール】!」
「何!?」
大悪霊はなんとかしてシシラに向かって手を向けて魔法を放った。だが、それもシシラの味方が形成した魔法の結界に阻まれる。そうしている間にもシシラ達の勝利の鍵が形成されていった。
そして、シシラは両手を広げる。美しく輝きながら。
「……【サモンエンジェル】!」
シシラは召喚魔法を完遂した。シシラの真上に大きな魔法陣が描かれて別の次元に繋がり、勝利の鍵がそこからやってくる。
「ア、アア……貴様っ!」
大悪霊が呻く。魔法陣から現れた勝利の鍵――大きな金色のカブトムシに乗って現れた赤い髪で金色の瞳の美しい淑女の姿――守護天使ビトールがそこに現れたのだから。
「「「「「守護天使ビトール!」」」」」
守護天使ビトールの降臨。初めて天使を見たシシラとガミオ達は目を離せないでいた。天使どころか女神と呼んでもいいほどに神々しく感じてしまう。ただ、肝心の天使は大悪霊をじっと見据えていた。
『アポルターガイスト』
「ッ!?」
『貴方を封印することしかできなかったのは、わたくしの失敗でした。あの時はたとえ聖女の力が足りなくても、わたくし自身と引き換えでも倒しておくべきだったと後悔しています。いずれ時の流れで封印が解けてしまうと分かっていましたから』
「フンッ! 下等な人間の愚かな欲望がワタシを呼び起こしたようなものナノダ!」
事実だった。大悪霊アポルターガイストはユームとアビスの愚行のはてに復活した。
『それも事実ですが、わたくしの予想を超えて聖女の戦いが伝えられてきました。そのおかげで貴方は、わたくしの思った以上に長く封印されていました。もう永遠に封印は解かれないのかと思うくらいに』
「そ、それがどうしたノダ!」
『人間は愚かなことをします。それ以上に互いに思いやって助け合うことができます。だからこそシシラは聖女として世界――大切な人達を守るべく、わたくしを召喚しました』
天使はシシラに微笑む。シシラとガミオ達の努力の末に大悪霊に対抗できる天使が召喚されたことも事実。それを天使はよく知っている。
『そんな彼らを理不尽な悪意によって脅かす貴方の存在は許しません。今度こそ引導を渡します』
「そんなこと黙って許せるわけがないのだ! 【スーパーデビルカッター】!」
大悪霊は剣と盾を合体させて天使に向かって投げつけた。真っ黒な魔力を纏って高速回転しながら天使に向かうが、寸前で止まった。
「何っ!?」
『今のわたくしは完全な状態で召喚されています。こんな攻撃が通用するはずがありません』
「お、おのれぇ……足が動かんノダ!?」
天使の眼が光ると止まっていた剣と盾は消滅した。大悪霊は恥を忍んで逃げよう思ったが、足が動かないことに気づく。すでに天使に何かしらの魔法をかけられていたようだ。
『貴方を滅します。シシラ、お願いします』
「勿論です天使様」
シシラと天使は一緒に魔法を放つ。大悪霊を倒すために。
「や、やめろぉ……っ!」
『【エンジェルシュート】!』
「【ディメンションホーリーライトシュート】!」
シシラと天使の手から光り輝く光線が放たれる。シシラの光線は金と銀を降りませて輝き、天使の光線は白く輝き、それが混じり合って大悪霊に浴びせていった。
「ぐあああああああああああああああああああっ!!」
光線を浴びせ続けられる大悪霊は装甲が剥がれ黒いモヤに、黒いモヤから消えゆく黒い粒子へとなっていく。本当に滅せられているのだ。
ただ、消滅する間際に叫んだ。
「いつか、ワタシは……世界一迷惑な奴として蘇るのだぁっ!!」
己が迷惑な存在であることを叫ぶ。それが大悪霊アポルターガイストの最後だった。




