IF第69話 VS大悪霊3
「「「「「【アースバレットシュート】!」」」」」
「ヌウッ!」
岩の弾丸が水鉄砲のように大悪霊に向かって撃ち出される。何事かと見ればギューキをはじめとするバッファロード王国の仲間たちがこちらに向かって走ってくる姿があった。どうやら他の魔物たちを倒して助けに来たようだ。
「ギューキさん!」
「お前達、無事だったのか!」
「はい! お二人は下がって回復を優先してください! 我々が奴の注意を引きます!」
「それならシシラだけでいい……俺は戦える……!」
ギューキと仲間たちが助けに来てくれたことでガミオは奮い立ち、消耗した体で再び剣を大悪霊に向ける。ギューキ達も消耗が激しいが残った力もシシラの回復と戦いに捧げる覚悟でいた。
「引き離した連中か。小賢しいノダ!」
「大悪霊、私達は最後まで諦めずに戦います。国と世界を守るために」
「そうだ、たとえこの命尽きようとも……守りたいものがある限り、俺達人間は理不尽な悪意に抗い続ける!」
「貴様ラ……!」
決して諦めないシシラ達と悪意を向け続ける大悪霊が対峙する。その時、シシラの二つの指輪が輝きだした。それと同じくして大悪霊の後方にあった天使像の破片も輝き始める。
「指輪が……」
「な、何だ?」
「こ、この魔力は、聖属性の魔力ナノダ!?」
「「「「「っ!?」」」」」
破壊されたはずの天使像の破片から聖属性の魔力が発生した。それもかなりの魔力量。シシラは天使像の魔力には覚えがあった。
(あれは……アビスの魔力? どうして?)
シシラは知らなかったことだが、アビスは天使像を倒す直前に無理やり魔力を注いでいた。それが今、溢れ出しているのだ。何かの力によって。
「何が起こっている!? これも天使の仕業ナノダ!?」
「ッ!?」
大悪霊が動揺した直後、天使像に宿っていたアビスの魔力は光の粒子となりシシラの指輪に吸い込まれていった。そしてそのままシシラの体に循環してシシラの体を癒やし、強くする。
「ナッ!? 天使像の魔力が聖女に!?」
「し、シシラ!?」
「……感じます。聖属性の魔力、それが私に馴染んでいく。【ホーリーライトディメンションヒール&バフ】!」
「「「「「ッッ!!??」」」」」
シシラは回復魔法を使った。それも金と銀の光が輝く大きな魔法陣を形成して味方全員にかけた。これまでのシシラの回復魔法とは違う。更に発展させたものだ。
「これは……」
「今までと違う……」
「回復して、力がみなぎる!」
「今までの何よりも癒やされる!」
「シシラが、更にすごくなった!」
眼の前の聖女の変化に大悪霊は信じられない限りだった。光属性と聖属性の魔力を同時に持ち、魔力を交えて魔法を使う聖女など見たことがなかったからだ。
「そ、そんな馬鹿な……こんな聖女が、あり得ないノダ……! こうなったらもう一度、【デビルカッター】!」
「【ホーリーライトディスペル】!」
大悪霊は危機感を感じてもう一度大地を割った魔法を放ったが、その直後にシシラが魔法を放って打ち消してしまった。
「わ、ワタシの魔法が……!」
「……光属性と聖属性の魔力、これこそが真の……最初の聖女の力なのですね。今なら分かります。この状態の私なら天使を召喚することだってできる!」
「シシラ!? そんなことが!?」
「何だと!?」
聖女伝説では、原初の聖女が天使を召喚して大悪霊を封印したと言われているが、天使を召喚する方法は伝わっていなかった。封印術のみが伝われていたため、天使の話は眉唾だという説もあったほどだ。
だが、今のシシラは天使を召喚できると確信を持って発言した。その言葉に大悪霊はひどく狼狽する。
「そ、そそそそんなことさせないノダ! 今のワタシの全力で阻止ししてやるノダッ! 魔物どもよ一緒に戦え!」
大悪霊が剣を持った手を挙げると魔物たちが集まってシシラ達に向かっていく。大悪霊とともに。
「シシラを守るぞ! 皆、大悪霊と魔物どもを近づけさせるな!」
「天使を召喚します。大悪霊を封印……いえ、大悪霊を倒します!」




