IF第67話 VS大悪霊1
シシラ達が森の中心にたどり着いた時には、すでに恐ろしいことが起こっていた。
「こ、これは……!」
「我が国の、騎士団が……!」
封印の祠に何十人ものバッファロード王国の騎士たちの死体が倒れていたのだ。おそらく、バッファロード王国側の戦力として大森林に攻め込んでいた騎士達だったのだろうが、それが今、シシラとガミオ達の眼の前で死んでしまっていた。
大悪霊に殺されたのだ。
「なんてこと……! 先に着いて、大悪霊に……!」
「お、おのれぇっ!」
シシラは悲惨な光景に涙し、ガミオは怒りに震え剣を持つ手に過剰な力を込める。他の者達も叫んだり大地を叩いたり涙する者がいた。
そんな彼らを嘲笑うかのように、元凶が現れる。
「クククッ、どうやら今代の聖女とその仲間たちが揃ったようナノダ」
「「「「「ッッ!!??」」」」」
死体を足蹴にしながら悍ましい姿の騎士のような何かが現れる。むき出しの赤い頭蓋骨に額の白い角が一本、ボロボロの白いマントに黒い鎧の胴体、禍々しい剣と刺々しい盾を武装という異形の騎士のような何か――大悪霊だ。
「あ、貴方が……!」
「貴様が……!」
「そう、このワタシこそが大悪霊アポルターガイスト、ナノダ!」
現れた異形――大悪霊を眼の前にしたシシラ達はすぐさま戦う姿勢に入った。あらゆる攻撃から身を守る結界を張り、味方にバフ、遠距離攻撃、そしてシシラが封印の魔法の構築を始める。
「見事な連携――あの時の聖女たちにも引けを取らぬ……だからこそ、こちらも容赦しないノダ。【デビルカッター】!」
大悪霊が剣を振ると巨大な斬撃が大地を切り裂きながらシシラ達を守る結界を一撃で破壊した。それだけにとどまらず、切り裂かれた大地が割れてシシラ達は二手に分断されてしまった。しかも、大地の割れ目はかまり大きかった。
「うわああああ!」
「きゃああああ!」
「シシラ! 掴まれ!」
大地の割れ目に大勢の仲間達が落ちていってしまった。シシラも落ちそうになったが、ガミオがシシラの手を掴み引っ張り上げてなんとか助けた。
「シシラ! 無事か!」
「殿下こそ!」
「不味いです、殿下! 戦力を失いました!」
分断された戦力、シシラ達は他の者達と引き離された形となった。圧倒的に不利な状況にされたが、それだけでは終わらない。
「聖女はワタシ自らが滅ぼしてくれる! 他の雑魚は魔物の相手をするノダ!」
大悪霊の合図で魔物たちが現れる。魔物たちは分断された戦力と戦い、大悪霊自身はシシラの前に飛び込んできた。
「大悪霊……!」
「さあ、邪魔な連中は省いてやったノダ。これで心置きなく聖女を葬ってくれるノダ」
「そんなことはさせん! 【サンダーシュート】!」
「無駄ダ!」
ガミオは強力な魔法をぶつけけたが大悪霊は剣で振るっただけで弾いてしまった。しかし、その隙にシシラが魔法をぶつける。
「【フォトンライト】!」
「ッ!」
悪魔を苦しめて追い詰めた光の粒子の魔法。大悪霊にそれが放たれたが、大悪霊は盾を構える。すると、光の粒子は盾に集約して、大悪霊はその盾を光の粒子ごとどこかへ投げ捨てた。
「そんな!」
「見た目に反して強力な魔法ナノダ。私を弱らせた後で封印するつもりだったようだが残念ナノダ」
「なら直接戦って倒す!」
「無駄ナノダ!」
ガミオは剣で大悪霊に戦いを挑む。シシラの支援魔法で全体的に強化されているガミオは普段の何倍も強い。シシラもガミオに加勢するが、それでも総合的に大悪霊の力には及ばない。
「くっ、【サンダースラッシュ】!」
「【デビルスラッシュ】!」
「クソ! うおおおおおお!」
「【ライトファング】!」
「【デビルシュート】!」
「きゃああああ!」
大悪霊の剣はガミオの技と魔法を押し返し、悪魔を倒したシシラの魔法すら大悪霊の手から放たれた黒い熱線で相殺されてしまう。




