IF第57話 それぞれの処罰
悪魔が倒されてから翌日、王宮は半壊していたが国の重鎮達(ユームを除く)は会議室に集まって今後の方針について話し合っていた。悪魔の出現に関する国民達に向けての説明、聖女アビスと公爵家の処分などが話のメインだ。
特に、聖女アビスの問題は酷すぎるため、アビスの処分は長かった。聖女の座を下ろすのは間違いないが、厳しい再教育では生ぬるいから当分牢に入れるべきだとか最悪死刑にするべきとまで言われていた。だが、アビスが聖属性という希少な魔力を持っているのも事実であるため、不満は多かったが聖女の座をおろしたうえで厳しい再教育という処分が決定した。
ただし、アビスの生家のアリゲイタ公爵家は子爵まで降ろされることが決まった。アビスを極端に贔屓したばかりかシシラを蔑ろにしたせいで隣国に取られてしまった痛手は大きく、また悪魔の出現は故意ではなかったとはいえアビスが原因だったこともあり、責任を取る形で爵位降下となった。アリゲイタ家の当主はも反発したが、アビスのしてきたことを言われて黙るしかできなかった。
ついでに、ユームの王太子剥奪は確定した。
「――ふん、アリゲイタ家とアビスの処分が軽い以外は予想通りの結果になったな」
「悪魔が現れて隣国の聖女がそれを倒してくれた。それを国民と諸外国に伝えるのは当然のことです。都合の悪い部分だけは説明を省くようですが」
「仕方ないこともあるが……全部に納得はできないな……」
ガミオ達もジュンメウキ王国の会議のことは聞いていた。勿論、最終的な決定――聖女アビスとアリゲイタ家の処分内容もだ。ガミオ達としてはもっと厳しい処分を望んでいたために、生ぬるい処分になったことが気に入らない。たとえ、極力混乱を避けるためでもだ。
「ユーム王子の王太子剥奪……当然だな。よりにもよってシシラを貶めて婚約破棄までしたんだからな」
「その王子は悪魔が倒された後で聖女アビスともども軟禁されたようですが……何かあったようですね」
「シシラが目覚めて十分回復したらすぐに国に戻ろう。元凶である悪魔が倒された以上、害虫騒ぎも治まるだろう」
ガミオは眠るシシラを見つめながら言った。その直後、医務室の外が騒がしくなった。どうやら、また誰かがシシラに会おうと必死になっているようだ。
「シシラに会わせろ! 僕は彼女の元婚約者だ!」
「なりませんぞ殿下!」
「部屋に戻ってください!」
ガミオは不快そうに顔を歪める。騒がしくしている人物はガミオにとって一番嫌いな男だったからだ。
「……この声は……」
「ユーム王子と思われます」
「分かっている……なんて不愉快なんだ……」
「私が追い返しましょうか?」
「いや、ここは俺が出るよ。奴には俺から言ってやりたいことがあるからな」
ガミオは医務室から出る。するとすぐにユームと目があって、声を掛けられる。
「ガミオ王子! いいところであった!」
「なんだ……」
「いますぐにシシラに会わせてくれ!」
ガミオの予想通り、ユームの目的はシシラだった。会いたいという理由は分かってしまうだけに顔をしかめざるを得ない。ユームの方も切羽詰まったような顔を隠そうともしないのだから遠慮するつもりはない。
「駄目だ」
「何故だ!? 会うだけなら何も問題ないだろう!?」
「それはまともな者だったらの話だ。明らかにまともなとは言えない王子に会わせるわけにはいかないだろう?」
「なっ!?」
ガミオが言うにはユーム王子はまともじゃない……と理解した瞬間、ユームは悔しさで顔を歪めるがガミオは続いてユームを蔑み始める。




