核
人間でありながら国に"兵器"と認定された者達。
妖精や神をその身に宿し、その力を自由自在に扱い、生まれながら人ならざる力持ちを持つ。
ある者は国があった場所に広大な湖を作ったと言われ、ある者は国に事態を地図から消し、国の人間だけを殺したと言われている。
三大国家の一つ、魔界連合国家はその核を合計9つ保有し、その中でも飛び抜けて強いと言われているのが魔王直属兵、四天王と呼ばれている。
数千年から最強と歌われ、君臨した魔王とその四天王。
これまで理不尽な理由で戦争を起こし、滅ぼされた国は数しれず、誰もがこの魔界連合国家に逆らうことが出来なかった。
しかし近年、その四天王の一角を無惨に焼き殺した少女が居た。
名を、カイン。
【太陽】と呼ばれ恐れられる"朕"と呼ばれる国家の保有する核の一つである。
5歳の若さで火の巫女となり、その翌年に突然朕に責めてきた四天王の一人を焼き殺し、その部下である数万の魔族をたった一人で鏖殺し、10歳で正式に世界で核に認定された。
陸王獣ベヒモスの討伐、飛来する巨大隕石の破壊、三大国家の1つであった要塞国家カストラを焼け野原にし、カストラの保有する核5つを全て殺した正真正銘の災害。
今、その少女は四天王を殺した姿、煉獄処女になっていた。
「こう見えて結構フィリアとも外で遊んだ。ガキの遊びはよく知ってる」
「太陽の豪炎に焼かれろ"日の中の火に現れる"」
次の瞬間、少女を中心とした辺り一帯に炎が燃え上がり、点にまで届く火柱ができた。
男の足元にも火が上がり、男がたっていた場所にも巨大な火柱ができていた。
「···············!」
しかし男は消えており、どこにも居ない。
「照らせ"世を照らす光"」
カインの頭上に巨大な太陽が現れ、周りの砂を溶かしてゆく。
既にこの広大な砂漠、アスラ朝の気温は100度を超え、特にカインの周囲の気温は計り知れず、砂が溶岩となり溶け、彼女はその溶岩の上を平然とたっていた。
(常人なら既に戦える環境じゃない。だけど··············)
気温はさらに上がる。
まるでここに太陽があるかのように、気温は上がって行き、砂漠の生物達を尽く焼き殺していった。
普通なら既に相手は死んでいるはず。
しかし、男の姿も死体も見つからない。
まるで自分の目の前にいるようで、しかしはてしなく遠くにいるようにも感じる。
「鬼ごっこでもするか」
「ッ!? 」
男の声が聞こえたのは自身の真後ろから。
既に背後を取られていた。
「安心しろ、もう姿は消さん。俺もそこまで大人気ない男じゃねぇから」
男は姿を消すと言っていたが、そんな生易しいものでは無い。
恐らく何かのスキルだろうか、存在が全く感じなかった。
「少し興が乗ってきたな、特別にもし俺に触れられたら、お前の望むものを何でもやる」
「何でも···············」
その言葉に、少女は大きく反応した。
もし、もしもそれがこの男自身と私が答えたら··········。
「あぁ、言っとくが俺自身は無しだ。俺は既に既婚者で、妻に俺自身をあげちまった。命もいいんだが···············呪いでな、どうやっても俺は死ねないらしい」
「そうですか」
少し期待していたが、まぁ当然の保険だろう。
「たが、それじゃつまらん。そうだな···············俺の心臓をやる」
「···············ッ!」
「なに、負けた途端やっぱり辞めるなどとずるい事はしない。どうだ?」
「···············その言葉は嘘偽りないと証明できますか?」
「俺は今の言葉に『契』を立てた。代償は俺自身の奴隷堕ちだ」
契。
またの名を対価
相手との誓いを立てる際、最も簡単であり、最も重い災をもたらす。
相手との誓いを立て、相手がそれを納得した後に契という単語、言葉を使った瞬間、それはどんな状況だろうと、どんな事があろうと発動し、その瞬間対価は自身の脳内に直接浮かぶ。
今回契を破った時、男に降り注ぐ災は奴隷堕ち。
つまり死に等しい。
私達の狙いはこの男自身ではなくこの男の心臓。
自らカインの目的である心臓を自ら差し出すというのはカイン自信には魅力的な提案だった。
もし破ったとしても、奴隷となり彼の全てを所有する権利を得られる。
どちらに転んでもこちらには好都合だ。
普通ならば好機として喜ぶべきなのだろう。
しかし、私の中ではそれ以上に大きな感情が燃え盛っていた。
「舐め腐りやがって」
「所詮ガキの遊びだからな」
「····················」
私の怒りに、男はバッサリと答えた。
「これでも同じことを言えるかッ!?」
するとカインに魔力が集まる。
「"照らせ"【日霊炎炎亭】」
そして彼女が作ったのは、カインの魔力とイフリートの魔力を最大まで圧縮し作り出した、人工太陽だった。
「太陽に灼かれろ」
「ちったァ遊びらしくなってきたな」




