第二話
大地を乗せてバスは走り続けた。
大地が目を覚ますと、そこはもうかつての景色では無かった。
柔らかいシートはもう無い。無骨なアスファルトに転がっていた。
困惑して大地は立ち上がった。
世界は彼の知っていた世界とは全く違うものだった。
どこを見回せど野獣の暴れた後のような崩壊した街。
空に鳥さえ無く、代わりに無機質なドローンが飛来していた。
腹が減り、喉も渇いた。
生への執着から大地は必死にドローンにアピールした。
「お願いです!食べ物、飲み物をください!」
両手を振り、叫んだ。叫び続けた。
ドローンへのアピールは成功した。しかしそれは決して喜ばしいことでは無かった。
ドローンに取り付けられた大きな眼の様に飛び出したカメラ。
怪しく光った。まるでビデオカメラの様だった。
少しの頭痛がした。
本能的に大地は恐怖を覚え、駆け出した。
その本能は正しかった。
同時に、ドローンから放たれた一発の小型ミサイルが大地の足元を爆破したのだ。
走り出していなければ今頃塵と化していたに違いない。
しかしそのミサイルの威力は高かった。火傷の痛みと共に激しく吹き飛ばされ、砕けた大地へと叩きつけられてしまった。
◇
しばらくの気絶の後、ようやく大地は瓦礫のなかで目を覚ました。
奇跡的に彼は一命を取り留めた。
...しかし、彼の右足は大きなダメージを負ってしまった。
痛む足を抑え、あてもなく大地はこの崩壊した世界を孤独に進んだ。
ドローンの羽音が聞こえるたび、瓦礫に身を埋め。
◇
二時間も歩き続けた後、ついに大地はまだ人類の痕跡のある住宅街だったと思われる跡に着き、うつ伏せに倒れ込んだ。
極度の疲労、精神的苦痛、空腹、あまりに多いダメージでスッカリエネルギーを使い果たしてしまったのだ。
意識が薄れる中、信じた覚えもない神の様な影が見えた。そんな気がした。
薄れる意識の中、一言。
「なにか、のませて」
その神は反応した。
「アイスティーしか無かったけどいいかな?」
力無く頷いた。




