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鉄(くろがね)ウォーロック  作者: 峰川康人
第一部

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67/123

11-8

「コンテスト入賞?」


「ええ。過去のアイツについて吉川と調べてたんですの。そしたらこんなのが――」


 燦央院は事前の調査で鴉田に関する記事を見つけ、蛇島とスマートフォン経由でそれを見ていた。

 一方で戦いの方はというと先ほどの攻撃から煙は晴れたものの、陸島の姿は見えず審判からの指示もないので彼はどこかに隠れた可能性があると推察される。

 爆発、鴉田に関する情報、姿を見せない陸島。

 流れ込む戦闘の情報に相原は体を揺らす。


「大丈夫かな……陸島君」


「まあアイツなら大丈夫でしょう。そう簡単にはくたばりませんから」


「うん。でも鴉田君がまさかあんなのを用意していたなんて思いもしなくて……」


「ああ、あれかい。パートナーのアタシも驚いたよ。まさかあんなものを秘密裏にくみ上げていたなんてね」


 外崎が相原と流山の会話に参加する。


「ドローンに関しては自腹で、魔術道具の結晶に関しても同じ。でもあの兵器の仕様に関してはアイツ自身でくみ上げたみたいだよ」


「ええー噓でしょ?どーみても金で設計してもらったようにしか見えませんよ」


「いや、その通りだね」


 流山の疑惑を向ける声を二川が否定する。


「約束の日に鴉田の坊やは設計図を手にして店を訪れた。どうやらあの一週間で必要な道具、内部構造、それを作るための部品を自分で模索していたみたいだね。同業者や島の連中に聞いたけどアイツが兵器の設計に関して何か聞きに来たということはなかったみたいだよ」


「ええ!?じゃあアイツはすべてを自分で考案してアレを作り上げたっていうんですか!?嘘でしょう!?」


「まあ確かに信じられないかもしれないけど。でもアイツは現にそれを作って見せた。そして今日それを使っている。これは事実だろ?」


「おばあさんの言うとおりですね。鴉田のヤツ、魔力を電力とかに置き換えてあの武器を設計したみたい。向けるべきベクトルとかどうやったらその通りになるのかってのを毎日あの小屋で計算と実証を繰り返してたよ。そんで島の森に試作一号機を持ち込んでそれで実証してたんだ」


「えー……ただのスケベじゃなかったんですか」


 外崎の説明に流山は信じらないと否定したがっていた。


「待ってくれ。入賞どころか優勝じゃないか!このロボットを作ったというのか!?」


「ええ。機械工作が趣味のようですわね。それにしてもとんでもないものを作りましたわねアイツ」


 蛇島と燦央院は互いに抜かれた度肝の原因を発見し、さらにもう一枚の度肝を抜かれようとしていた。


「これは……ありえるかもしれませんわね」


 燦央院は驚きを失っていない顔で笑った。


「いや無理」


 燦央院の期待を外崎が一刀両断を決める。


「何故ですの!?貴方と鴉田の絆の結晶ですのよ!?」


「その言い方キモイ。あれ殆ど鴉田の成果。アタシはテストに付き合っただけ。細かい調整とか設計とかは全部アイツがやってる。ちなみにドローンに関してはカメラ内蔵でパソコン経由で監視情報を受け取ってるってさ」


「まあそうだったんですの――」


 外崎の説明を聞きいれた瞬間、再び爆発は起こった。

 鴉田による第二射。それがまた、森を抉る。


「う、うわあ……えげつねーです」


 流山は彼の放つ攻撃にまた戦慄を覚える。


「っていうか陸島のヤツはどこに行った……?」


 蛇島の言うことはもっともだった。

 最初の攻撃以降、陸島は姿をモニターに一切見せていない。鼠川は煙吹く光景を見てあっと声を出す。


「鴉田君が攻撃したってことは陸島君の位置がわかってるってことだよね?」


 鼠川の気づきに蛇島は納得する。


「確かに。先ほどからたまに画面に映っているあの三基のドローンで追跡。そして発見したらその場所を砲撃。シンプルだが悪くないな。近づこうものならあれで吹き飛ばせばいい」


「それで終わればいいけどね」


 外崎は画面の向こうをただじっと見ていた。

 まだ見えぬ勝負の行方は果たしていかなる結末を迎えるのか?







――なんつーもん作りやがった


 二つ目の抉れた大地を見て陸島は乾いた笑いを上げる。


(どうやら俺を倒すための準備とやらは十分に済ませてきたようだな。この模擬戦を仕掛けてきたのは間違いではなかったらしい。あの砲撃は魔術道具によるものだろう。そしてさっきのドローン。あれは俺の位置を特定するために飛ばされた機材。あれで場所を特定したのち、攻撃をするというシンプルな作戦。欠点があるとすれば連射が聞かないという事だろうな)


 先ほどの二つの攻撃から陸島は鴉田の攻撃について長所と短所を分析する。


(となるとまずやるべきことはヤツをどうにかしたいが恐らくあのドローンで先に場所特定からの砲撃が早いだろう。奴の居場所は恐らく――)


 陸島はある山の方を見る。

 正確には森林エリアの中で隆起して山のように高い位置を木々の合間から見た。


(あそこだ。あの位置からなら砲撃ができる。しかも近づくにつれて木々の間隔が離れている。ドローンによる発見はさらに容易になるだろう。ならば今は近づかない方が良い。ドローンの電池切れなんぞ待っていたら日が暮れる。というか――)


 陸島はスマートフォンを手に取って画面を見る。

 今回の決闘についてまとめられたルール一覧のうち、一つの文を見た。


――本決闘は制限時間二時間とする。それが過ぎた場合、挑戦者である鴉田春一の勝利とする


(ちゃっかり自分が優位になるルール入れやがって……!それ以外には特段目立つルールはないからいいが。ならばまずはあのドローン三機。アイツをどうにかしないと――)


 辺りを自在に飛ぶドローン達から視線を変えて、周囲を見る。

 その目は物を探す目だ。


(蔦の魔法じゃ捉えられんだろう。となると……)


 陸島が手に取ったのは焦げたにおいのする一本の木の枝。

 先ほどの衝撃で折れた枝だ。


(アレしかないか。それで活路を切り開き、ヤツの首を落とす!!)


 枝をぎゅっと握る。

 そこに力を、大地の魔力を送り込みながら。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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