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鉄(くろがね)ウォーロック  作者: 峰川康人
第一部

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38/102

インターミッション-3

「それでは四人について纏めましょうか」


 スクリーンには四人のウォーロックについて一枚の資料に纏められる。


――名前:陸島 鉄明

――適性:大地

――魔法:単独で修行をしており、それでいて成長が早い。また、身体能力もあってか忍者候補の流山椿を決闘にて撃破するほどの戦闘力を有している。

――課題:過去の事件が原因か、他者とのコミュニケーションをあまりとらない。組織に入るにあたっての障害になりかねない。橘樹の家で育っているのならそこを頼りにする可能性があるが今のところ不明


――名前:鼠川 淳吾

――適性:水

――魔法:まだまだ修行中。流山からの報告によれば上達こそしているものの大きく伸びるというほどではない。しかし、集中力などは悪くはないとのこと

――課題:将来をどうするか。戦闘などから無縁の部署や組織に配属させたりするのもありか


――名前:蛇島 光

――適性:炎

――魔法:上記二人に比べるとまだまだ修行開始から日が浅いので何とも言えない。しかし魔法発動時に魔力が暴走しているのでまずはそれを抑えることが課題となる。

――課題:先ほどの魔力暴走。なお、燦央院曰くそれならば修行次第である


――名前:鴉田 春一

――適性:風

――魔法:パートナーである外崎菖蒲とコンタクトを取ったばかりなので習得はまだ。

――課題:少々ムードメーカー気質。それは悪いことではないがいずれはトラブルの引き金になるのではというくらい?


「こんなところですかね、校長先生から何かありますか?」


「……これだけ説明すれば事足りたのでは?」


「身もふたもないこと言わないでくださいよ校長先生。というか無理です。ていうかこれだけじゃわからないですよ」


「フフフ。冗談ですよ」


 その後、質疑応答などの時間を設けたが特段目立ったことはなく会議は終了した。

 会議後、校舎の校長室にて。校長が自身のタスクを一人こなしていた時。


「失礼します」


 そう言って一人の女性が入ってくる。陸島たちのクラス担任をしている早瀬梓だった。


「おや早瀬先生。どうしました?」


「あの……陸島君のことで気になったのですが」


「どれがです?」


「ど、どれっていわれますと……あ!」


 早瀬は何かを思いだした。


「えっと……噂というか。逆奈義家と彼がトラブルを起こしたって話、あの場ではしませんでしたよね?」


「ええ。そうですね。何分、向こうから秘密にしてほしいと泣きつかれたので」


 それは、四月前半の事。

 陸島鉄明は相原紫苑をめぐって逆奈義家の連中ともめごとに巻き込まれた。その際彼は魔力を暴走させて鉄の魔法を行使。結果として次期当主候補の逆奈義未来の腕を切り落とすという事態を引き起こした。


「泣きつかれたって……で、その折なんですけど……。彼、魔法が暴走していたとか」


「暴走?」


「ええ。噂じゃあ鉄の魔法を行使したと」


「はあ。それをどこで?」


「以前、逆奈義家の人達と会う機会があったのですが……その人たちが話をしていたのです。あの男は鉄の魔法が使えると」


「鉄の魔法……ですか」


「ええ。定かではありませんがもしそうなら彼は六番街の隔離所に置かれてもおかしくないのでは?」


「その事なんですがね。恐らくは彼の固有魔法と思われます」


「固有魔法ですか?」


「ええ」


 固有魔法。

 基本的な魔法や、四属性の魔法とは違って魔術師それぞれが個別に扱えるという魔法。種類は豊富だが人によっては毒を作り起こしたり、対象を気絶させるなどというものがある。


「それで鉄の魔法が使えたように見えた……と?」


「ええ。でもそれだと説明がつかないんですよね」


「といいますと?」


「固有魔法というのは術者がある程度魔法を収めることで自身と向き合って初めて自分の魔法というのを無意識の内に習得できる……こうですよね?」


「ええ。大自然の四大属性に触れることで内なる自分を触発させ、磨き上げ、やがて内にある自分だけの魔法を習得する。自分だけと言っても方向性や威力が同じときはあるにはありますが」


 校長先生の説明を聞き、早瀬は首を傾ける。


「だとしたら余計謎ですよね。どうやって彼はいきなり固有魔法にたどり着いたんでしょう?」


「わかりませんね。何せ相手はウォーロック。前例がほとんどないのですから」


「校長先生もわからないのだと私でもちょっと……」


「ああ、気にしないでください先生。私も長く生きてますがこういう機会は本当になかった。せっかく四人も目の前に現れた。ならば色々と試してみましょう」


「ですね。どこまで行こうが所詮は生徒と教師の関係。ならばそこからということですね!!」


 早瀬の導き出した答えに校長はにっこりと笑った。

 そして校長に挨拶をして早瀬はその場を立ち去った。


「それにしても精霊ですか……」


 校長は考え込む。

 今まで魔女として長いこと生きてきたが精霊という存在は見たことはなかった。

 精霊。五つの属性にそれぞれ存在する意志ある魔法とでもいうべき存在。一つにして全て。全てにして一つとされるそれは魔術師たちにとって神聖にして忌避されている。その力を振るえば地震、洪水を、嵐を、大火災を自在に振るえるという。


(鉄の精霊。もし本当にその類に憑かれているというのなら……最悪の場合は討たねばなりませんね。陸島君を)

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