↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン28【試練の塔編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
531/537

霧の秘密

第95階…。

ついに残る試練もあとわずか。


深い霧に覆われた森で、ハーベルを待ち受けていたのは「姿の見えない狙撃手」だった。


毒矢に倒れた主を守るため、霊獣ブリッツがその小さな体で矢の雨に立ち向かう。


絆が試される霧の森。

そこで手にする「秘密のアイテム」が、未来の扉を開く鍵となる。

挿絵(By みてみん)


「……やっと95階か」

「相棒、あと少しだぜ!」

ブリッツの激励に頷きながら、ハーベルは門番のドワーフと対峙していた。


「若いの、アーティファクト【霧の指輪】は持っているな? 使いどころを間違えるなよ。……さもないと、霧の迷宮から二度と出られなくなるぞ」

扉の先は、1メートル先も見えない濃霧の世界。


「さっきの暗闇よりはマシだが……【霧の指輪】は一度使うと五分間は再使用できない。本当に視界が必要な時まで温存しないと」

ハーベルは手探りで、慎重に歩を進めた。


――シュッ! シュッ!


霧を切り裂く鋭い音が響く。

「ハーベル、矢だ! たくさん飛んできてるぞ!」

「……数が多いな。ブリッツ、後ろに隠れて!」

狙撃手の正体は、霧の中でも正確な視力を誇るネズミ人間「ホフビット」。


ハーベルは《エーテリアル・エンバー》を構え、魔力探知で応戦する。

だが、敵は次々と予備の武器を補充し、攻撃は止まない。


「……彼らも仕事なんだ。命までは奪いたくないけど……っ!」

不意に、一本の矢がハーベルの肩をかすめた。


「……あれ、急に目の前が……真っ暗に……」

「ハーベル!? クソ、毒矢か!」

視界が歪み、ハーベルはその場に崩れ落ちた。


意識が遠のく中、響き続けるのは無情な矢の音だけだった。


……ぽつん、ぽつんと、温かい雫が頬に落ちて目が覚めた。


「……雨? いや……血か?」

目を開けたハーベルが見たのは、ボロボロになりながら自分に覆いかぶさっているブリッツだった。


「お……起きたか、相棒。……おせーよ」

「ブリッツ! お前、その体……!」

ブリッツは飛来するすべての矢をその小さな尻尾で叩き落とし、毒に侵されたハーベルに魔力を注ぎ続けていたのだ。


自分自身の防護を捨てて…。


「……悪かった。もう大丈夫だ。――《フェニックス・レストレーション》!!」

ハーベルの怒りと魔力が虹色の光となり、ブリッツの傷を瞬時に癒していく。


「……あいつら、まだ撃ってくるか」

霧の向こうから放たれる執拗な追撃。

ハーベルの瞳から優しさが消え、鋭い冷徹さが宿った。


「殺しはしない。……だが、強制退場だ。――《設定》、弾丸定義変更。高濃度麻酔薬充填!」

《エーテリアル・エンバー》から放たれた無数の光弾が、霧の中の魔力を正確に撃ち抜く。


ズキューーン、ズキューーン…。


悲鳴すら上がらず、ホフビットたちは次々と眠りの底へ沈んでいった。


「……ふぅ。最初からこれを使えばよかったな」

「全くだぜ! 俺の苦労を考えろよ!」

ブリッツに頭をポカリと叩かれ、ハーベルは苦笑いした。


へへッ…。


その後、温存していた【霧の指輪】を使用し、霧の奥に隠された秘密の空洞を発見する。


そこにあったのは、古びた一冊の魔導書。


「……何語だこれ。今は読めないけど、何か重要なことが書いてありそうだ」

ハーベルはその魔導書を手に取り、最深部の祭壇へと捧げた。


カチリッ…。


世界の歯車が噛み合う音がして、次の階層への扉が姿を現す。

「ブリッツ。……さっきは、本当にありがとうな」

「……ふん。相棒なんだから当たり前だろ」

照れくさそうに尻尾を振るブリッツを抱き上げ、ハーベルは霧の晴れた森を後にした。

だが、ハーベルは気づいていなかった。

祭壇に捧げたはずの魔導書が、なぜか《無限収納袋》の中に「戻って」きていることに――。



ブリッツの熱い献身回でした!

ハーベルの新技「麻酔弾」も、元薬剤師らしい面白いスキルですね。


そして手に入れた謎の魔導書…。


次なる試練は、美しくも残酷な精神攻撃が待つ「花園」です。


100階まで残り、あと5階。二人の歩みは止まりません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。