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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン28【試練の塔編】

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逆行と共鳴

第90階層を越え、試練は「力」ではなく「理(ことわり)」の領域へ。


逆転する重力、視界を奪う暗闇。


ハーベルは道中で集めた「ガラクタ」と呼ばれたアーティファクトたちを使い、一つずつ世界の理を紐解いていく。

そして、闇の中で開花する新たな力。

「目に見えるものだけが、真実じゃない――」

挿絵(By みてみん)


「……やっと93階か。精神的にガリガリ削られるな」

「しっかりしろ、ハーベル! 俺がいるだろ?」

ブリッツが足元に体を擦り寄せ、励ますように見上げてくる。

ハーベルは苦笑して相棒を肩に乗せた。


93階の番人が命じたのは、アーティファクト【風のブーツ】の装備。

扉を開けた瞬間、ハーベルの体はフワリと浮き上がった。


「……上下だけじゃない。多方向からの不規則な重力変動か」

まるで無重力の海。だが、ハーベルには味方がいた。


「みんな、力を貸して」

ブーツに宿る風の微精霊たちと共鳴する。精霊魔法を習得しているハーベルにとって、彼らの導きを読み取るのは容易だった。


荒れ狂う重力波をサーフィンのように滑り、複雑な立体パズルを解き明かしていく。


最後は、高速回転しながら襲い来る鋼鉄のキューブ。

「最後だけ戦闘かよ! ……いや、違うな」

脇腹を切り裂かれながらも、ハーベルは冷静に《解析》スキルを試みる。

ブリッツの助言で、敵の変形パターンに法則を見出した。


「そこだ――《グレイシャル・ロック》!」

キューブ状に閉じた一瞬を狙い、氷の封印で固定した。

それを祭壇へ嵌め込むと、荒れ狂う重力がピタリと止まり、道が開かれた。


ドガガガガガガ…。


続く94階。


今度は可愛いドワーフの少女が立ち塞がる。

「次は【エコーストーン】が必要よ。……この先、光は一切届かないから」


【共鳴の道】


文字通り、視界は完全な「無」。

頼れるのは手に持った金属棒でエコーストーンを叩いた時の反響音だけだ。


『チリン…チーン……』


音が波紋となって広がり、脳内に青白いワイヤーフレームの景色が浮かび上がる。


だが、暗闇には「音」に反応する捕食者が潜んでいた。


風を切る音と共に、ハーベルの頬を鋭い何かがかすめる。

「……音を鳴らせば周囲は見える。でも、同時に敵に位置を教えることになるのか」

ハーベルは目を閉じ、深く集中した。


(薬剤師は、五感を研ぎ澄まして薬効を、患者の微細な変化を読み取る……。目に見える情報に頼るな。魔力の『揺らぎ』を掴んだ…)


「……見えた!」

暗闇の奥、熱源のように蠢く小さな魔力の塊。


ハーベルは新銃《エーテリアル・エンバー》を構え、ブリッツに合図を送る。

「ブリッツ、鳴らせ!」


『チリン…チーン!』


反響音が空間を定義した瞬間、ハーベルの無詠唱魔弾が闇を貫き、伏兵たちを一掃した。


そして、最後は部屋全体を覆うほど巨大な「影蜘蛛」。

音すら吸い込む広大な空間で、ハーベルは自らの魔力探知を限界まで広げる。


天井から音もなく降りてくる死の気配。


「正面、上空――《プロミネンス・バースト》!!」

銃口から放たれた極大の火球が、闇の中に巨大な蜘蛛の姿を焼き出した。


「そこだ、連射(バースト)!」

魔弾の雨が燃え上がる蜘蛛を粉砕し、迷宮に再び静寂が訪れる。


「……目が見えないって、こんなに不便なんだな。でもおかげで、魔力の『気配』を掴むコツが分かったよ」

出口の光を浴びながら、ハーベルは一つ成長した己の手を見つめた。



パズルと暗闇、二つの難関を突破!


ハーベルはアーティファクトを使いこなし、ついに五感を超えた魔力探知をモノにしました。

一方で、レオンも別のルートで驚異的な攻略を見せているはず……。


次なる試練は、美しくも恐ろしい「霧」の階層。


アーティファクト【霧の指輪】が、かつてない奇跡を起こします。


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