新武器の世界へようこそ!
「魔導」と「科学」の融合。
ドリッシュが扱う幻の金属「エーテリウム」を骨格に、ハーベルの脳内にある「銃」という概念が形を成していく。
三日の試作、一週間の改良…。
こだわり抜いた果てに完成したのは、魔法を弾丸として撃ち出す、塔の歴史を塗り替える魔導銃だった。
職人の少女との別れ、そして最強の相棒の誕生。
「……この柄、メチャクチャ軽いな」
ハーベルが手にしたのは、ドリッシュが「エーテリウム」と呼ぶドワーフ秘伝の金属。
魔力伝導率が極めて高く、羽根のように軽い…。
「相談なんだけど、ドリッシュ。この金属を使って『銃』を作りたいんだ」
「ジュ……? 何それ、聞いたこともないけど……面白そうじゃない!」
ハーベルの図面を覗き込むドリッシュの目が、職人特有の鋭い光を帯びる。
そこから三日三晩、彼女は工房に籠もり、試行錯誤を繰り返した。
三日後…。
工房を訪ねると、ドリッシュはヨダレを垂らしながら作業台で爆睡していた。
「……ドリッシュ、お疲れ様…」
「ふぇっ!? ……あ、ハーベル! できた、できたよ!」
飛び起きた彼女が差し出したのは、無骨ながらも美しさを秘めた試作品。
キュイーーーン…ドシュ!ドシュ!
ハーベルはそれを手に取り、外の的に向けて魔力の弾丸を放つ。
「……凄い。俺が片手間に作ったものとは次元が違う。引き金の遊びも、重心も完璧だ…」
「へへっ、当然でしょ! でも……まだだわ。今の魔力伝導なら、もっと出力を絞り出せる。ハーベル、あと一週間待って。最高の一挺に仕上げてあげる!」
「一週間!? 先を急いでるんだけど……」
「ダメ! 妥協したものを私の店から出すわけにはいかないの!」
職人の魂に火がついたドリッシュは、ハーベルの腕をガッチリと掴んで離さなかった。
さらに一週間後……。
ついに完成したその武器は、もはや「道具」ではなく「芸術品」の域に達していた。
褐色に輝く流線型のボディ。
エーテリウムの繊細な彫刻。
「名前……つけてもいいかな。――《Ethereal Ember SR99》
(エーテリアル・エンバー SR99)」
「カッコいい……! さあ、撃ってみてよ!」
ワクワクを隠せないドリッシュに見守られ、ハーベルは新銃を構える。
キューーーキュイーーーン!
シュッシュッシュッシュシュン……。
実弾の召喚射撃だけではない。
この銃の真骨頂は、銃口の先に展開される魔方陣だった。
「展開!雷撃――放て!」
無詠唱で放たれた雷光が、遥か彼方の岩を一瞬で消し飛ばした。
「なんだこれ……魔力消費が極限まで抑えられてる。それに、杖としても完璧な補助をしてくれるのか!」
「スゴいでしょ? 私の技術とあんたのアイデアの結晶よ!」
誇らしげに胸を張るドリッシュ。
そのあまりの健気さと熱意に、ハーベルは思わず彼女を抱きしめていた。
「本当にありがとう、ドリッシュ」
「あ……う、うん。……えへへ」
ドリッシュは顔を真っ赤にし、少し照れくさそうに、そっとハーベルの頬にキスをした。
「……! ド、ドリッシュ。実は俺、故郷に妻が……」
「わ、分かってるわよ! 悪気はなかったの、つい、勢いで! ……もう、照れさせないでよ」
別れの時間。
ドリッシュから特製のホルスターを受け取り、ハーベルは塔の管理者や街の仕組みについて尋ねた。
「私たちはね、この塔で暮らしてるわけじゃないの。ドワーフの郷から『仕事』としてこの階層に来てるだけ。……だから、いつかあんたが塔をクリアして、地上に戻ることがあったら……」
ドリッシュは潤んだ瞳で、力強くハーベルの右手を握った。
「その時は、ドワーフの郷まで会いに来て。もっと凄い武器を作って待ってるから!」
「ああ、約束するよ」
ハーベルはブリッツを肩に乗せ、再び光の階段へ。
腰に下げた《Ethereal Ember SR99》の重みを感じながら、彼は次なる試練へと意識を切り替えた。
一方、一階から「超特急」でフラグを回収し始めたレオンも、すでに中層階まで迫っていた。
ついに手に入れたハーベル専用の最強武器!
物理弾と魔法を使い分け、無詠唱で連射する。まさに「魔導王」に相応しい戦闘スタイルが見えてきました。
一方、爆速で追い上げるレオン。
次なる階層は、力押しが通用しない精神の迷い道。
銃を手にしたハーベルが、己の「心」と対峙します。




