全王会議
風と土が古の物語を運ぶ森、ウィスパーウッド。
そこにある湖畔の別荘に、ついに六カ国の王が集結した。
過去の過ちを認めたメルキドの涙、そしてハーベルとレオンの熱い誓い。
全てが揃った神器を手に、一行は伝説の空中楼閣「エレメンタル・スパイア」を目指す。
いよいよ新章、開幕!!
Whisperwood: (ウィスパーウッド)
土の大精霊テラガイアの加護を受け、木々が秘密を囁く神秘の森。
湖畔に佇む瀟洒な別荘の円卓に、六人のソブリンが席を並べていた。
エリスが口を開こうとしたその時、ムーンヘブンの王・メルキドが勢いよく立ち上がった。
「エリス殿、話を遮る無礼を許してほしい。……その前に、どうしても伝えたいことがある」
かつての尊大さは消え失せ、その表情には深い悔悟の念が浮かんでいた。
「私は自らの科学に溺れ、思い上がり、取り返しのつかない過ちを犯した。特にハーベル君、レオン君……君たちの厚意を裏切ろうとした私を、どうか許してほしい…」
メルキドは二人に、そして円卓の全員に向けて、絞り出すような声で謝罪し、深々と頭を下げた。
「メルキドさん、もういいですよ。国が元に戻った、それが全てです」
「……ああ。魔王軍をぶっ飛ばす時、あんたの科学の力が必要になるんだ。期待してるぜ」
二人の屈託のない言葉に、メルキドは目元を拭い、再び椅子に座した。
エリスが凛とした声で会議の開始を告げる。
「では、これより全王会議を始めます。議題は――『エレメンタル・スパイア』の攻略、および次代の魔導王について」
魔王軍の幹部に抗う唯一の手段、それは世界の頂点たる「魔導王」の座。
エリス、アクシア、サリエル、そしてメルキドは、自らは王の座を目指さず、適格者を支援する立場を表明した。
「俺は目指すよ。この世界を、誰も悲しまない場所に作り変えるために!」
「僕もだ。僕が王になっても文句ないだろ、ハーベル?」
ハーベルとレオンが不敵に笑い合い、ガッシリと肘をぶつけて拳を合わせた。
二人の絆に、円卓からは温かな拍手が送られた。
「よし、決まりね! 各自、ソーサリーエレメントへ戻り、宝玉と神器を捧げなさい。神獣たちがあなたたちを空のスパイアへと導いてくれるはずよ!」
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
【ルミナラ】の聖域にて。
「ハーベル、気をつけてね……!」
「ああ。行ってくるよ、ネル」
ハーベルはネルを強く抱き寄せ、その額に優しくキスを落とした。
《聖獅子の宝玉》と《天光の鎧》を捧げると、虹色の輝きと共に、黄金のたてがみを持つ威風堂々たる「聖獅子」が現れた。
「ハーベルよ。汝の魂の輝き、しかと見届けた。我が背に乗るがいい」
「よろしく、聖獅子!」
聖獅子は力強く空を蹴り、一気に雲海を突き抜けて上昇していく。
受ける風の心地よさに、ハーベルは魔導王への決意を新たにした。
到着した「エレメンタル・スパイア」の入り口には、すでにレオンたち五人が揃っていた。
すると、重厚な扉の前に陣取っていた小柄な人影が声をかけてくる。
「おい、そこらの人間ども! 待ちわびたぞ」
現れたのは、頑強な体躯を持つドワーフの老人だった。
「俺はこの塔の管理人だ。……さあ、命知らずの『ルミナス・クエスト』に挑戦するか? それとも、宝玉と神器を置いて尻尾を巻いて逃げ出すか。どっちだ?」
ドワーフはニヤリと笑い、二つの条件を提示した。
「入り口を開けてほしければ、二つの誓いを立てろ。……一つ、引き返すことは許されん。二つ、汝らの『魂の輝き』を糧として差し出す覚悟を決めろ。……どうする?」
ハーベルは一歩前に出ると、迷いなくドワーフの瞳を見据えた。
物語は、最も過酷で、最も輝かしい試練へと突入する。
ついに六つの宝玉と神器が共鳴し、試練の塔の扉が開きました。
メルキドの和解を経て、物語はいよいよ「試練の塔編」へ!
ドワーフが課す「二つの条件」の真の意味とは?
そして、塔の内部で待ち受ける最初の試練とは一体!?




