表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
41/60

第41話 殿下の目論見に驚愕する!

「――というわけだ」


 殿下から語られた内容。

 それはルドルフ・リンドバーグがアリストレア皇国に国の情報を横流ししているという大変な犯罪行為だった。


「まさかあいつ、そんなにもやばいことまでしていたなんて……」


「うむ。だが中々確証が掴めずにいた。だからルドルフはしばらく泳がせていたのだ」


 という殿下の言葉で思い出す。

 あたしが王宮裁判を掛けられたあの時、今はまだ彼の悪評が広まってはまずい、というのはこのことだったのね。


「リアナくんとの離縁騒動後、私は部下である竜騎士団の団長にしばらくルドルフに関する調査を任せていた。その折、つい先日ルドルフがアリストレア皇国の者と密会し、やりとりしているその現場をようやく掴んだらしい」


「そうだったんですね。しかし何故あたしのお父様たちにルドルフを煽らせたのです?」


「ああすればルドルフは必ずアリストレアの手の者に頼ると踏んだからだ。ルドルフの行動にリンドバーグ家は関与していない。奴が頼れる後ろ盾はそれしかないからだ」


「なるほど。その後ろ盾って言うのは一体なんなのです?」


「アリストレア皇国筆頭侯爵家であるグニンガム家だ」


「なッ……!?」


 ディセイヤお父様が驚きのあまり声をあげた。


 あたしも一応名前くらいは聞いたことがある。とはいえ知っているのはアリストレア皇国の大貴族だということぐらい、だが。


「となると、まさかルドルフは例の集団を……!?」


「そうだディセイヤ殿。おそらくルドルフはそれらを使ってメヴィウス家に報復にくるだろう」


 殿下とお父様は神妙な面持ちで会話を進めている。


「ね、ねえちょっと! あたしには話が見えないんですけど。その集団ってなんなんですか?」


「通称、黒薔薇(くろばら)と呼ばれる隠密集団で、暗殺に特化した武力団体だ。グニンガム家はその集団の総指揮をし、その者たちを諜報員として各国へ送っている」


「あ、暗殺!?」


 あたしも驚きのあまり声を荒げた。


「そうだリアナ。私もメヴィウスの田舎に住んでいながらも、黒薔薇(くろばら)に関するいくつかの噂話は聞いたことがあってな。戦闘や殺しのスペシャリストが集められているらしく、狙われたターゲットはほぼ間違いなく殺害されるらしい……」


 ディセイヤお父様が顔を青ざめさせてそう言った。


「だが、それが狙いだ。ルドルフが報復に黒薔薇を動かしてくるのなら、ルドルフも含めて国に仇なす者どもを捕らえる」


「し、しかし一体どうするのです!? 我がメヴィウス領の騎士団は規模も小さく、戦闘経験も少ないです!」


「安心して欲しいディセイヤ殿。その為に私とリアナくんがいる」


「「え!?」」


 あたしとお父様は同時にはてな顔をした。


「リアナくんの魔力なら、この事態を容易く解決してしまえるだろう。私は最初からそれを目算に入れていた」


「ちょちょ、ちょっと殿下! あたし、なんにもできませんよ!?」


「そんなことはない。リアナくんには素晴らしい魔力がある」


「ま、魔力ったって、あたしには魔法のひとつも扱えませんよ?」


「そうですわアルファリオ殿下! うちのリアナちゃんは剣術も魔術も得意ではございません!」


 あたしが危ない目にあうかもしれないと思ったのか、キャスティお母様がそう心配してくれた。


「お二人はまだ知らぬのだ。リアナくんが如何に優れた人物なのかをな」


 殿下はふふふ、と笑う。


 でもあたしにも殿下の言っている意味がいまいちわかりかねる。


「それをこれから証明させよう。ディセイヤ殿、さきほど屋敷に上がる前に結構な広さの庭が窺えたので、そちらに皆来てもらえるだろうか?」


「そ、それは構いませんが、一体何が何やら……」


「なぁに、来てもらえればわかる。リアナくんの素質について、な」


 殿下にそう促され、あたしたちはよくわからないまま言うことを聞いた。


 ――そして。


 両親や弟たちの他、メヴィウス家に仕えるメイドさんや使用人たちもが揃いも揃って屋敷の庭に集まった。


「それで殿下、あたしは何をするんです?」


「うむ、簡単なことだ。漆黒の飛竜をここに呼んでくれれば良い」


「え? ゼファーを?」


「ああ、そうだ」


「呼ぶって言ったって、一体何をどうすれば……」


「もうリアナくんたちは()()が済んでいる。その名を呼べば、どこにいようと声が届くのだ」


「名を呼べば……来るんですね?」


「うむ。ただしきちんと心からあの飛竜を呼び出したいと願うのだ」


「わかりました……」


 それにしても契約って一体なんのことだろう?

 と、あたしはいまだ殿下の言葉を深く理解できずにいたが、ひとまず言われた通りゼファーを呼んでみることにした。


「ゼファー! あたしのもとに来て!」


 ありきたりだが、空に向かってそう叫んでみた。


 周囲はシンっと静まり返って皆、あたしの様子を窺っている。


 ……何も起きないじゃない。


「殿下、別に何も起こらないですよ?」


「まあ慌てるなリアナくん。さすがに距離のある王宮からだからな。転移に多少時間かかる」


「転移? それって……」


 と、あたしが言いかけた時。


 ズズズ、という地鳴りのような音が地面ではなく、空から鳴り響いた。


 直後、空に黒い巨大な魔法陣がバァッ! と広がった。

 そしてその魔法陣から現れたのは。


「ゼファー!?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ