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第26話 メヴィウス家に帰るッ!

 拝啓、リアナちゃん。


 お元気にしてますか? キャスティ母様(かあさま)です。

 こちらはディセイヤさんもルキアちゃんもレイラちゃんも、屋敷の皆も元気に過ごしています。


 ところで先日、リンドバーグ家のルドルフ様が家にお見えになり、あなたたちの関係について色々とお話しをお聞きました。


 なんでもリアナちゃんが暴行を働いた為にリンドバーグ家とは絶縁になったそうですね。

 それで今はジルドワール王宮に幽閉され、極刑されるかどうかの裁判中だとか。


 それがもし本当なのだとしたら私たちはとても心配でたまりません。


 しかしルドルフ様が、リンドバーグ家へ1000ジルド金貨を現金で支払えば、エルドラド国王陛下に直接示談交渉をしてあなたを極刑から救ってくださるのだとお聞きしています。


 ですが1000ジルド金貨などという大金は、メヴィウス家にはとてもすぐに用意はできません。


 そこで私たちは相談し、現金の代わりにこのメヴィウス領の財産と領地のほとんどをリンドバーグ家に譲り渡すことに決めました。


 そのことをルドルフ様に伝えると、ひとまずはそれで話を通してくださると恩赦をかけていただいたのです。


 私たちは今、家財の整理中です。


 もし、このお手紙がリアナちゃんのもとに届いたのなら、どうか陛下たちへの態度には十分気をつけてください。

 大人しくさえしていれば、きっと軽い刑罰で済ませてもらえるはずですから。


 そしてもし、リアナちゃんが王宮から解放されたらまた家族みんなで会いましょう。

 私たちはメヴィウスのお屋敷からは出て行くことにはなりますが、この生まれ育った土地で住んでも良いとはルドルフ様から言われているので、小さなあばら屋にでも移り住みます。


 そこで元気な姿のリアナちゃんと再会できるのを楽しみに待っていますね。


 キャスティ・メヴィウス。


「……なぁーんてことが書いてあって、黙ってられるわけないでしょぉーがぁッ!」


「な、なるほど。それでもの凄い剣幕でアヴィン副団長に馬車を用意してって叫んだんですね」


 ラルフさんがあたしの手紙を見ながらそう答えた。


 あたしは手紙を読み終えるやいなや、アヴィン副団長に実家へ帰るから馬車を用意して、と頼んだ。

 アヴィン副団長はすぐにそんな真似はできないと言っていたが、あたしはこの手紙に頭にきていたからつい、


「いいからさっさと用意しろ! てめぇが用意できねーんなら、あたしが直接殿下んところに行ってやっからよぉ!? ぁあ!?」


 と、またまたキレ口調で怒鳴ってしまったらアヴィン副団長は慌てて「わ、わかった、殿下にも確認してくる!」と、慌てて走って行ったのである。


「そ、それにしても1000ジルド金貨なんて大金を要求するなんて……」


「ありえないわよ! ルドルフのやつは嘘ばっかり並べてあたしの家族を騙してる! 絶対に許さない!」


「そうですね……。僕の貯金を全部出しても焼石に水でしょうし……」


「ラルフさん、気持ちだけで十分です! っていうかリンドバーグ家に払うお金なんてビタ一文ありはしないわ!」


「それでリアナさんは一体これからどうするんですか?」


「みんなに説明するわ! そんなのは嘘っぱちだって!」


 と、あたしが憤慨しながら言っていると。


「ああ、その通りだ」


 背後から唐突な声。


「「アルファリオ殿下!?」」


 あたしとラルフさんは声を揃えて驚く。

 殿下は急務が立て込んでいて多忙だったはずなのに、なぜここに?


「リアナくんの言う通り、その手紙の内容は実に悪質だ。だから今すぐにメヴィウス領へ向かうべきだ。馬車も今用意させている」


「殿下、ありがとうございます!」


 アヴィン副団長から状況を聞いたのね。助かったわ。


「メヴィウス領までは結構な距離がある。リアナくん()すぐに出発の準備をするんだ」


「はい! ……ん?」


 リアナくん、も?


「私はすでに準備を整えてきた。先に馬車で待っているからな」


「え、ええ!? で、殿下も来るの!?」


「無論だ」


「な、なんで?」


「私が直接言って状況を話す方が確実だろう? それにどのみちルドルフ・リンドバーグにも直接会いに行かなくてはならないしな」 


 それもそうよね。

 誤解を解くには殿下がいる方が間違いはない。


 だけど、殿下とまたしばらく一緒にいるだなんて……それに馬車の中で二人きり……。


 なんてあたしが変に緊張していると、更に予想外のことが起こった。


「大丈夫だ。メヴィウス領までの数日間、寝泊まりする為の路銀も多めに用意してある。キミの分も当然私が持つ」


「い、いやいや、そういうことじゃなくて……」


「なんだ? 旅の護衛の心配なら無用だ。こいつも同行させることにしたからな」


 殿下はそう言って、厩舎小屋の人用出入り口の方に向かって手招きをすると、まさかの人物がバツの悪そうな顔をしながらこちらへ歩み寄ってきた。


「マ、マデューラ・フェスタロッサ!?」




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