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第24話 カツアゲ野郎をぶっ飛ばせ!

 カノッサさんはラルフさんよりも更に小柄の男の子で、いかにも気弱そうな顔つきをしている。

 いつもあたしに対してもビクビクしていたりと自分に自信がなさそうな人だった。


 あたしがいつも「おはようございます!」って挨拶をしても目も合わさずに頭を下げるような人だ。


 まあ他人とコミュニケーションを取るのが嫌いな人もいるのはあたしも理解している。だからカノッサさんには極力、話しかけないようにしていた。


 そんな彼は今、どう見てもカツアゲされているようであった。


「す、すみません。でも今月は本当に……」


「じゃあ仕方ねえ。不足分の20ジルド銀貨は身体で支払ってもらうとするか」


 ガバネロという大男はニヤニヤしながら拳の指をゴキゴキと鳴らし始めた。


「ひ、ひぃいい。や、やめ、やめてくださ……」


「おら、ミランダ。こいつ押さえとけ」


「えー、私がそういうことやんのぉ?」


「こいつ貧弱だからミランダでも余裕で拘束できるからよ。俺ぁ久々に人間殴りてえからちょうどいいわ」


 ……はあ。


 溜め息しかでないわ。


 ラルフさんを虐めてたあのマデューラって男といい、この王宮にいる騎士は騎士としての心得みたいなものはないのかしら。


「さあ、まずはボディをサンドバッグにさせてもらうぜ!」


 ガバネロという男が今にも殴りかかろうとしたタイミングで、あたしはその場へと飛び出ることにした。


「やめなよ、あんたら。そこまでにしな」


「「だ、誰だ!?」」


「あんたらねぇ、クソよりもつまんねぇことしてんじゃないわよ。仮にも騎士団なんでしょ?」


 あたしは呆れつつ尋ねる。

 カノッサさんはあたしを見て驚いたような顔をしているが、恐怖心で青ざめていて震えているだけだった。


「お、俺たちは別に何も……なあミランダ?」


「そ、そうそう。私たちはカノッサのダチなんだよ」


「ふーん。カノッサさん、本当にこいつらは友達なの?」


 ヘラヘラとそう答える二人を無視してあたしはカノッサさんに尋ねる。


「あ……い、いや……」


「なあカノッサ!? 俺たちマブダチだよなあ!?」


「そ、そうです……」


 そんなやりとりを見て、あたしはまた深く深く溜め息を吐いた。


「ほらな? だから関係ない女はすっこんでな。俺たちはカノッサと仲良く遊んでんだからよ」


 ……っち、めんどくせぇな。


「おい、てめぇ。それじゃあその遊びにあたしも混ぜろや」


 あたしはドスを効かせた声でそう言い、ガバネロへと近づいた。


「は? 女、てめぇは何を……」


 あたしはガバネロの油断の隙をついて、一気に懐へと踏み込み、みぞおちに一発思い切りパンチをくれてやった。


「うぐッ!? て、てめぇ、いきなり何しやがる!?」


 ヨロヨロと少しよろめいたが、流石にこんな細腕のワンパンじゃ大したダメージにはなってないか。


「よお、そんなヒョロガリを虐めても楽しくねぇだろ? あたしが二人まとめて相手してやんぜ」


「な、な、何よあんた!?」


 ミランダという女は、あたしがまさかの行動をしてきたことに驚きを隠せずにいる。


「そこのバカ女。カノッサさんを離せや」


「ひっ!」


 あたしが凄みながらミランダの方へ近寄ると、慌ててカノッサさん手離してガバネロの背中に隠れた。


「タイマンでも二人相手でもあたしは一向に構わねえよ。カノッサさんの代わりにあたしが身体で払ってやるぜ」


「な、なんなんだこの女……!? 頭がイカれてんのか!?」


「こんな凶暴な女、見たことないわ! 絶対頭がおかしいわよ!」


「ビビってんじゃねーよ。やんのか? やんねーのか?」


「ば、馬鹿にしやがって……。俺が女相手なら手を出さねえとでも思ってんのか!? 俺ぁ女子供でも容赦しねぇ暴れん坊の騎士、暴君のガバネロで通ってんだよ!」


「なんだそのクソダセー通り名は。死んだ方がマシだぞ?」


「ふざけんな! 舐めんじゃねえ!」


 御託を並べるのにいい加減飽きたのか、ようやくガバネロという男はあたしに向かって殴りかかろうとしてきた。


 ――とろいな。


 前世では相当な数の喧嘩を繰り返してきたあたしは、ガバネロの無駄な動きが遅く見えた。

 力ではおそらく敵わないだろうが、捕まりさえしなければこんな馬鹿男の攻撃など喰らわないだろう。


 適当に攻撃をいなしながら、反撃してやるかなどと考えていた時である。


「ガバネロッ! 上!」


 ミランダが突然大きな声を出した。


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