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第71話 抜け道

抜け道を塞ぐと、とんでもないしっぺ返しを喰らうことがあるんですよね。

ネズミ「やぁ、ウサギくん」


ウサギ「やぁ、ネズミくん。

 何キョロキョロしてるの?」


ネズミ「何だか追われているような気がしてね」


ウサギ「それは大変だ!

 ネコ?」


ネズミ「違う。

 ネコだったら全力疾走しないと・・・」


ウサギ「じゃあ、誰に?」


ネズミ「それが分かれば苦労はしないよ」


ウサギ「カラス、かな~?」


ネズミ「いや、それも違うと思う」


ウサギ「感知力の高いネズミくんが珍しく鈍感だね」


ネズミ「お! 俺に対してきつい物言いするじゃん」


ウサギ「だって、そんなに緊迫感が伝わってこないんだもん」


ネズミ「そお?」


ウサギ「寧《むし》ろ、余裕がある感じ」


ネズミ「そうか~

 やっぱり演技してるのがバレたか」


ウサギ「えっ! 演技してたの?」


ネズミ「ん、バレたんかと思ったけど・・」


ウサギ「ちょっと変だな~くらいは思ったけど、流石に演技してるとまでは思わなかったよ」


ネズミ「ウサギくんならこんなもんで完璧に騙《だま》せると思ったんだけどな~」


ウサギ「・・・・(全く軽く見られてる)」


ネズミ「ウサギくんはいざっていう時の抜け道は用意してるかい?」


ウサギ「抜け道? いきなり何?」


ネズミ「今みたいに計画がバレちゃったときに言い逃れしなきゃなんないだろ」


ウサギ「僕はそんな言い逃れをしなくちゃならないような悪いことを企《たくら》んだりしないから」


ネズミ「あのさ、ウサギくんは危機感なさすぎだよ」


ウサギ「??」


ネズミ「『窮鼠《きゅうそ》猫を噛《か》む』って知ってる?」


ウサギ「ネズミくんが猫を噛んだってこと?」


ネズミ「俺が、じゃないよ。

 そういう諺《ことわざ》があるってことだよ」


ウサギ「窮鼠ね~

 よく意味が分かんない」


ネズミ「天敵のネコに追い詰められて逃げ場がなくなったネズミが牙をむいて猫に逆襲するって意味だよ」


ウサギ「逆襲して勝てるの?」


ネズミ「そういう問題じゃない」


ウサギ「どういう問題なの?」


ネズミ「相手を追い詰めすぎると思いがけずに反逆されるって意味さ」


ウサギ「それで抜け道まで塞《ふさ》がないようにするってことなんだね」


ネズミ「理解できたじゃん」


ウサギ「・・・・(また上から目線)」


ネズミ「まぁウサギくんはおめでたいから理論詰めなんかできないだろうけどね」


ウサギ「ありがとう」


ネズミ「何でそこでお礼を言うのさ」


ウサギ「おめでたいって・・」


ネズミ「それ褒めてるんじゃなくて、馬鹿にしているんだからね」


ウサギ「そのくらい、分かってるよ」


ネズミ「分かってて何で?」


ウサギ「そう言えば角が立たないと思ってね」


ネズミ「おぉ、成長したね」


ウサギ「僕は、喧嘩《けんか》は好きじゃないから」


ネズミ「俺も好きじゃないよ」


ウサギ「でもよく仕掛けてくるよね」


ネズミ「たまにさ」


ウサギ「年中だよ」


ネズミ「そうかな~?」


ウサギ「そうだよ」


ネズミ「ウサギくん、その物言いは窮鼠猫になっちゃうよ」


ウサギ「だって僕にはそれはできないんでしょ」


ネズミ「今日の会話はこれ迄。

 帰る。

 バイバイ」


ウサギ「機嫌悪そうに帰った。

 僕、ネズミくんを追い込んじゃったのかな~?」

ウサギくんのように知らず知らずのうちに相手を追い込んでしまっていることもあるんですね。

気をつけたいと思います。

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