第69話 キライな歌?
童謡の故郷を聴くとなんだか涙目になってしまうのは、年のせいでしょうか?
お盆ですね。
故郷に思いを致したいと思います。
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
今日は鼻歌なんか歌っちゃってご機嫌だね」
ネズミ「この歌、大好きなんだよね」
ウサギ「ちゃんと歌って聞かせて」
ネズミ「改まって聞かせるとなると、ちょっと引けるな~」
ウサギ「恥ずかしいの?」
ネズミ「ウサギくん相手に恥ずかしいことなんて何もないよ」
ウサギ「じゃあ、どうして?」
ネズミ「この歌、ウサギくんには難しいと思うんだよね」
ウサギ「難しいって、どんな風に難しいの?」
ネズミ「日本語じゃないんだよ」
ウサギ「それはそれで別にいいんじゃない」
ネズミ「聞いたって、歌の意味が分かんないじゃん」
ウサギ「そんなことはないと思うんだけど」
ネズミ「英語だよ。理解できる?」
ウサギ「太郎くんなんかも英語は話せないみたいだけど、時々英語の歌を歌ってるよ」
ネズミ「なんだ、太郎くんも俺と同じか!」
ウサギ「ええ~! 何それ!
そんな言い方するからネズミくんは英語が喋れるんかと思ったよ」
ネズミ「俺の場合はフィーリングで歌の意味を感じ取っているからね。
でもさ、これノー天気なウサギくんには無理だろ」
ウサギ「・・・・(何アホなこと言ってんだか!)」
ネズミ「ウサギくんが分かりそうな好きな歌を歌ってあげようか」
ウサギ「そう言われても、好きな歌は一杯あるからね~」
ネズミ「じゃあ、キライな歌は?」
ウサギ「そんなの聞いて、どうするのさ!?」
ネズミ「俺が歌えば結構面白いと感じるかもよ」
ウサギ「そんなことあるかな~?」
ネズミ「試しに歌ってみようか」
ウサギ「やだな~」
ネズミ「ねえねえ、キライな歌って何?」
ウサギ「う~ん!」
ネズミ「言ってみなよ!」
ウサギ「本当は、いい歌なんだろうと思うんだど・・」
ネズミ「いい歌だと思うなら、何でキライなのさ?」
ウサギ「ネズミくんは『ふるさと』って歌を知ってる?」
ネズミ「勿論知ってるよ。
何、その歌がキライな訳?
最高の童謡だと思うけどね」
ウサギ「だって・・・」
ネズミ「だって、何?」
ウサギ「だって『ウサギ美味しい』って歌うじゃない」
ネズミ「はひ~~~!」
ウサギ「何、その変な笑い方!」
ネズミ「だってだって、これを笑わずにはいられないだろ!」
ウサギ「そんなに馬鹿にしなくても・・・」
ネズミ「ごめん
あのさ、あれは『美味しい』じゃなくて『追いし』だからね」
ウサギ「ええ~~~! そうだったの?
今の今まで『美味しい』だとばっかり思ってた」
ネズミ「そうか、それで『ふるさと』がキライだったんだ」
ウサギ「うん。僕を食べちゃうのかな~って思って」
ネズミ「やっぱりウサギくんだね」
ウサギ「それどういう意味?」
ネズミ「ウサギくんは英語どころか日本語の歌もちゃんと理解していなかったんだ~ってさ」
ウサギ「そんないい方しなくても・・・」
ネズミ「一杯笑ったところでウサギが出て来る『待ちぼうけ』でも歌いながら帰ろうかな。
じゃあね、バイバイ」
ウサギ「あ! それもキライな歌。
ウサギが木の根っこにぶつかって捕まっちゃうって歌でしょ。
だから歌わなくてもいいよ~!
あ~あ、ネズミくん、楽しそうに歌いながら帰っちゃった。
『美味しい』じゃなくて良かったけど、でもどうしてウサギって追われたり木の根っこにぶつかったり、そんなイメージばっかりになっちゃうんだろ?
ちょっと複雑な気分!」
帰郷できる方は楽しんできてください。
帰れない方は、ネズミくんと一緒に童謡「故郷」でも歌って偲んでください。
やまのでん




