第68話 おさぼり
暑い日が続きますね。
適当に生活の中にさぼりを入れていかないと、もう体がもたないかも…
ネズミ「やぁ、ウサギくん」
ウサギ「やぁ、ネズミくん。
今日も暑いね~」
ネズミ「梅雨が明けたと思ったらいきなり猛暑が続いて、もうヘトヘトだ~」
ウサギ「僕も毛皮を脱ぎたいよ」
ネズミ「だよね~
ところで水分はしっかり摂ってる?」
ウサギ「それは太郎くんが今日もちゃんと用意してくれたから、大丈夫」
ネズミ「流石に太郎くんはいい子だね~
俺だったら今日あたりは絶対にさぼっちゃうと思うけど・・」
ウサギ「そこが太郎くんとネズミくんの大きな違いなんだよね」
ネズミ「おいおい、せっかく俺が太郎くんを褒めているんだからさ、そこは素直に頷くだけでいいんじゃない」
ウサギ「ついね」
ネズミ「つい、って何だい!」
ウサギ「普段が普段だからさ」
ネズミ「俺はそんなにさぼり屋じゃないぜ」
ウサギ「僕はそのことを言ったんじゃないよ」
ネズミ「じゃあ何を言ったんだい」
ウサギ「これを言ったらきっとネズミくんは・・・」
ネズミ「俺が・・・きっと何?」
ウサギ「言わない」
ネズミ「言いなさいよ」
ウサギ「言わない」
ネズミ「ちゃんと答えないと俺がさぼる魔になっちゃうじゃないか」
ウサギ「だからそのことじゃないって言ってるでしょ」
ネズミ「何も説明しないからさ、そう思っちゃうだろ!」
ウサギ「だってそれを言ったらネズミくんはきっと怒るから・・」
ネズミ「エエッ!俺が起こるようなことを考えていたんかい」
ウサギ「だって・・・」
ネズミ「俺はいつもそんなに簡単に怒ったりしてないだろうが・・!」
ウサギ「・・・・(ほら、もう怒り始めてるじゃん)」
ネズミ「今日はこんな暑さだからさ、サッカーの練習を途中で抜け出してウサギくんがダウンしていないか様子を見に来たんだけど・・」
ウサギ「ええ~! そうだったの!?」
ネズミ「もしダウンしてたら大変だと思ってさ」
ウサギ「僕を心配してくれて・・、それで大好きな練習をおさぼりして来てくれたんだ」
ネズミ「今日は飛んだ言掛りをされちゃったな」
ウサギ「ネズミくんの気持ちを知らずに、本当にごめんなさい」
ネズミ「もういいよ。
でもおさぼりってさ、何だか引け目も感じるけどちょっとワクワクするよね」
ウサギ「そうなの?
僕はおさぼりしたことがないから、よく分かんない」
ネズミ「ウサギくんはお利口さんだからね」
ウサギ「そうじゃなくて、ここに居たら何をさぼったらいいのか分かんないし・・・」
ネズミ「可哀そうだけど、そりゃそうだ!」
ウサギ「さぼろうって考えた時って、どんな感じなの?」
ネズミ「そうね~、そんな時って俺の中の悪い心がこうムズムズと疼くんだよね」
ウサギ「へ~ そうなの。
何だか面白そうに思えちゃう!
そう思っちゃう僕も本当は悪い子なんかな?」
ネズミ「ウサギくんはそんなことないさ」
ウサギ「そう!?」
ネズミ「でもおさぼりってさ、いけないことだと知りつつ、だからね」
ウサギ「今日のおさぼりも疼いたの?」
ネズミ「それがさ、今日はそういう感覚がなかったんだ」
ウサギ「ふ~ん
ということは、ネズミくんは何やかや言ってもやっぱり優しいんだね」
ネズミ「俺の普段が普段だから『何やかや』なんだ~」
ウサギ「そんなひがんだような言い方しなくても・・」
ネズミ「別にひがんでなんかいないよ」
ウサギ「サッカーの練習は楽しかったんでしょ?
なのにそれをさぼって迄・・・」
ネズミ「あのさ、今日はこの暑さだからさ、ウサギくんの様子見はさぼるための口実だったんだ!」
ウサギ「かっこつけてる?」
ネズミ「そんなんじゃないよ」
ウサギ「とにかく今日は心配してくれてありがとう」
ネズミ「そんなに何回もお礼を言わなくていいさ。
今日は俺の好きでここに来たんだから。
さあ取り敢えず安心したし、ちょっとくたびれたから家に帰って美味いもんでも喰って、明日の練習に備えるとするか。
じゃあね、バイバイ」
ウサギ「ネズミくんの後ろ姿が何だか頼もしく見える。
そういえば、今日の僕はネズミくんの気持ちを無下にして失礼しちゃったな。
素直に反省しよう。
それにしても、おさぼりにはいいおさぼりもあるんだってことが初めて分かったよ」
おさぼりは全て悪ではありません。
と、ウサギくんは認識したようです。




