第百ニ話
「クソッ。奴は何処にいる!?」
「あそこだ!!」
敵味方が入り乱れる中、キマイラ達が駆ける。
ギースのいる場所目指して。
「おやおや、随分早かったな」
予想に反してあっさりとギースは見つかった。
傍らには息絶えたベッファの死体が砂と化している最中だ。
「これで終わりにしてやる」
「…そうか」
ギースはキマイラを前にして、懐から何かを取り出し投げた。
「………短剣?」
「お前の女、エルフリーナ・ベルガーの忘れ形見だ。愛しい女の形見と一緒に死ぬがいい」
「そうか…なら俺はこれで復讐を果たす。エルの形見で死ね」
握りしめた短剣を片手にキマイラは突進する。
憎い敵の心臓目掛けてこれを振り下ろせば、その時こそ復讐を遂げられる。
「来い」
「うおああああああああああああああああああああッ!!」
「!?」
突撃するキマイラに対して彼がとった行動、それは…
棒立ちだった。
「がッ……」
「貴様、何のつもりだ?」
予想外の行動にキマイラは思わず目を丸くした。
棒立ちのギースに、キマイラの持っていた短剣は深々と彼の心臓を抉った。
彼は何の抵抗もしなかったのだ。
「…何のつもり、ね」
鮮血を滴らせながら後退するギース。
「これでいい。これでようやく俺の悲願は達成された」
「何言ってる?」
「ベッファ、貴様を殺せて。本当に良かったぞ。この五百年ずっと待っていたんだからな」
「………」
「さらばだ……キマイラ」
口角を釣り上げて不気味に笑うギース。
キマイラは何か言葉をかけるつもりであったが、何も口から出てこない。
結局彼はキマイラ達が見守る中で砂と消えた。
「一体奴は何がしたかったんだ?」
「分かりかねますが、これで終わった。間違いなく」
テュポーンはそう言っている。
「ようやく終わりましたね。けど、感傷に浸ってる場合じゃないですよ」
クラウが顎で差す先には……
「Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!」
兵士を伴って現れる大量のキマイラ達。
「そうか、お前たちも居たか……」
「ああ……」
「きっちり終わらせましょう。過去と完全に決別する時です」
「さあ、行こうか」
キマイラ達は笑顔で敵に向かって突撃。
圧倒的な力で敵を蹂躙した。




