第百十話
「砲撃開始!!」
「待ってください!それじゃキマイラさん達が巻き添えに…」
「奴らなら大丈夫だ。やれ!!」
ヴィクトリアの命令で一斉に砲撃を始める砲兵たち。
辺り一面が砲煙で白く染まりミリーは盛大にむせこんだ。
「よし行け!!」
「ご武運を!!」
砲撃が終わるのを待たず、ヴィクトリアはミリー達を突撃させた。
「キリがないですね。一体どれだけ来るのやら」
「変化しろ!テュポーン!!」
一方のキマイラ達。
圧倒的な数のキマイラに囲まれ、苦戦を強いられているテュポーンとキマイラ。
憎々しそうに呟くテュポーンを尻目にギースへと視線を向けるが…
「どうした?早く来い」
(何を考えているんだ…こいつ)
ギースは拳以外の攻撃を一切してこない。
その拳もキマイラの頑丈な外皮によって阻まれ、手傷を負わせられていない。
「キマイラか…エルフリーナは大分貴様を好いていたようだが訳が分からんな。なぜそうも入れ込むのか。ただの兵器如きを」
「黙れ。お前がエルを語るな」
「生憎だが俺の方がエルフリーナとの交流は長いぞ?人柄から何もかもよく知っている」
「その交流のある人間を、貴方は裏切ったのですよ」
「用がなくなれば捨てる。どれも同じことだろう?」
キマイラの攻撃をかわしながら飄々とした口調を崩さない彼。
時間が経つにつれ、キマイラの怒りは増すばかりである。
「攻撃が単調で面白くないな。目をつぶっていても避けられる」
「いや、それはやめとけよお前」
「何ッ!?」
挑発のつもりだったのだろう、ギースが一瞬目を閉じた瞬間、何処かから放たれた火球が彼の肩を焼いた。
「貴様…」
「ようギース。久しぶりだ。早速だがお前には死んでもらう」
「エイルバー!!」
ギースの背後から本を携えて現れたのは、無表情のエイルバーだった。
「何だ…居たのか。お前」
「私も居るぞ」
「私もです」
「エイラとクラウ…貴様等もか」
エイルバーと共に転移魔術を使って現れたエイラとクラウ、それに加えて…
「…ッ!上か!?」
「惜しかった」
腕を巨大な顎に変化させギースの頭上から落ちてきたミリー。
「さてギース。五百年越しの再会だ。勿論楽しませてくれるな?」
声に怒りをにじませながらギースを睨みつけるエイルバー。
「お断りだ」
苦笑いをしながら背を向けて逃げようとしたギースの前に火柱が上がる。
「…拒否権は無いんだよ。お前はここで死ね。エルの仇だ」




