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第百六話

 「邪魔だ退け!!ギース!!」


 怒り狂ったキマイラが敵の攻撃を受けながら、ギース目掛けて突撃していく。

 何故かギースには、周りにいる敵から攻撃を受けていない。

 彼が使っている魔術のせいだろうかそもそも目に入っていないようにも感じる。

 

 「やれやれ、俺はお前達を助けに来ただけなんだがな…」


 「何!?」


 ギースは懐から一冊の本を取り出すと頁をめくりながら呪文のようなものを唱えはじめた。


 (何をする気だ?)


 呪文を唱えるに従って、彼の持つ本から黒い閃光が放たれる。

 そして…


 「その命、もらい受ける」


 ギースの持つ本が、周囲にいる敵を片端から吸い込んでいく。

 いや、正しくは生き物が持つ水分を吸い込んでいるのだ。

 身体から抜かれた水がまるで靄のように立ち上り、彼の持つ本へと吸収されていく。

 敵であるキマイラがサマラス兵達が、その身体をまるで干物のように乾かせ次々と動きを止めていく。

 

 「ガッ…アア…」


 「流石にお前は時間がかかるか」


 だがギースの使う魔術の影響はキマイラ自身にも当然及ぶ。

 徐々に体から水分を抜かれ、舌が乾いてきた。


 「さてと…殺してしまってはいかんな。そら」


 「…ぐ、うう」


 持っていた本を閉じると、魔術は止まった。


 「さてと、お前に聞きたいことがある。ベッファは何処だ?」


 「知ってても貴様になんて言ってやるものか…エルを殺させた糞野郎が」


 「…ああ、そういえばそうだったな。俺はあの女を殺していた。ずいぶん昔の事だったから忘れていたよ」


 (忘れていただと?)


 キマイラの心にどす黒い感情が芽生える。

 干からびた体が自然と動いた。

 狙うはあの憎い敵、一撃さえ加えることが出来たならそれで終わる。


 「お待ちを!キマイラさん!」


 「退けぇッ!!」


 叫びながら間に割って入ってきたのはテュポーン。

 人間の姿に戻り、両手を広げてギースの前に立ち、キマイラを止めようとしている。


 「どうか待ってください!私が話しをします!」


 キマイラを止め、彼はギースに向き直る。


 「テュポーンか。久々だが…相変わらずお前は好かん」


 「…ギース様。貴方にはいくつかお伺いしたいことがあります。我が主、エルフリーナ・ベルガー様を殺害したのは、殺害するよう指示したのは貴方か?」


 「…ああそうだ」


 「貴方はお嬢様を愛してはいなかったのですか?」


 質問を繰り返す彼を見て、キマイラは感じたことがある。

 徐々に言葉の節々に怒気を孕んでいるのだ。

 

 「ふ、ふふふふふふふふふふ。馬鹿だな、お前は」


 「何?」


 「愛?そんなものは無いさ。俺が欲したのは、ベルガー家の技術だ。あんな女一人どうでもいい」


 「…そうですか」


 ゆらりと倒れるようにギース目掛けて走り出すテュポーン。


 「おお?」


 「ラァッ!!」


 声と共に拳の届く距離までテュポーンは潜り込み、顔面目掛けて肘を叩き込んだ。


 「ほう?その技は見たことあるな」


 難なく躱し、怒りに燃えるテュポーンを見て嘲笑うギース。


 「エルフリーナお嬢様の使っていた武術… ギース、貴方はこれで死ぬ」


 「やれるものなら、やってみろ」


 

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