第百二話
「おいベッファ!!一体どういうことだ!?本が石ころになってるじゃないか!!」
激昂しながら唖然として座り込んでいるベッファにエイルバーは掴みかかった。
だが彼はぱくぱくと魚のように口を動かすだけ…
「え…あの…」
「…お前、まさか」
何かに気が付いたような様子のエイルバー。
彼の顔面を全力で殴るとそれまでベッファだった彼は全く違う男の姿に変わった。
恐らくはベッファ自身が魔術を使って偽装したのだろう。
「そいつは誰だエイルバー。それとお前が運んでいた本は一体どこに行った?」
キマイラが残った木箱を片っ端から破壊して探すが、例の本は何処にも無かった。
「分からない。こんな予定じゃなかった。本物のベッファは何処にいる?何をしている!!」
馬乗りになりつつ、エイルバーは男の顔を殴り続ける。
そして顔がはれ上がると、男は必死に言葉を。
「し、しらねぇんだ!俺はただ金を渡されて、船でこっちまで行ってこいって言われただけだ!!」
「くそッ!奴は何処だ!!」
「エイルバー様。もはや貴方の計画は崩壊したも同じ。ミリーさんの爆弾を解除してください」
「駄目だ。まだ終わっちゃいない。キマイラの嫁は連れて行く」
頑として譲らないエイルバー。
キマイラ達を真っすぐに見据えつつ、彼はクラウと同じように空間を歪ませミリーを連れてその場から脱出を図る。
だが…
「エイルバーッ!!」
「がッ!?」
突如として彼の後ろからクラウが出現。
大声で彼の名を叫びながら突進し何処からか持ってきた彼女の身長程の長さの銃で彼を殴り倒し、銃口を後頭部に突き付ける。
「やめろクラウ!ミリーの首輪を外せなくなる!」
「…ッ!!」
怒りに燃えるクラウに駆け寄るが、彼女は今にも引き金を引きそうな勢い。
「ミリーさんの爆弾を解除しろ。でなければ頭を撃ち抜く。こんな場所で頭の中身をぶちまけたくはないだろう?」
「解除?そんなものは必要ない」
「やれ。早く」
「必要ない」
耐えかねたクラウがもう一度エイルバーの頭を殴る。
「…最後だ、外せ。早く」
「ったく…意味を理解してないのか?必要ないって言ったんだ」
「何?」
「その首についてるのはただの首輪だ。爆弾なんざついちゃいない」
その言葉にミリー…というよりその場に居る全員が唖然とした。
「ルチルス…」
キマイラ達が新大陸にエイルバーを追いかけている最中…
ヴィクトリアは寝室で瞳を閉じたままの皇帝の隣で彼の手を握っていた。
枯れ木のようにやせ細り、もうほとんど寝たきりになっている皇帝。
沈んだ表情で彼を見つめるヴィクトリアの瞳にはうっすら涙すら浮かんでいる。
「だれです?」
不意に扉を叩く音が聞こえ、彼女は目尻に残った涙を拭い扉の所に行く。
「ヴィクトリア様、少々お耳に入れたいことが…」
「どうしたのですか?」
「サマラスで内乱が起きました」
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