第百話
「どうする?もう奴ら旧大陸についてしまうぞ」
「人質が居る以上、下手に手を出せません」
「クラウ、お前があいつの所に行ってミリーを連れて戻ってくるというのは出来ないのか?」
「たとえそれが成功しても、爆弾が起爆すればミリーさんの命が無い」
「もう身内の犠牲者は御免被るわい」
「それと奴らはなぜ旧大陸に行くんだ?」
「旧大陸、つまりは蛮族達が居た国には帝国にいい感情を抱いていません。現地にいる反帝国組織と合流する気でしょう」
エイルバーの乗る船を後方から追いかける飛行船。
そこではキマイラ達がミリーの救出方法などを話し合っていた。
だが答えは出ないまま時間だけが過ぎていく。
「キマイラさん。いざとなればミリーさんの安全は」
「それは…」
ミリーを犠牲にする。
キマイラからしてみれば究極の選択になる。
「爆弾の解除は?」
「あれの構造がそもそも分かりません。下手にいじって爆発すれば終わりです」
結局の所、キマイラ達が取れる策は…
「このまま見ているしかない」
「まあ、そうなるわな」
「糞ッ!!」
「さて、もうすぐだ。もうすぐ俺の願いが叶う」
相反する表情を浮べながら甲板に出たエイルバーとミリー。
だんだん近づいて来る新大陸を見て、ミリーは不安に駆られていた。
「仮にあなたの言う作戦が成功したとしても、多くの人間が死に絶える。それも無関係の人間が。貴方はそれでいいんですか?」
「いいとも。人間の事なんて知ったことか」
「…貴方が居た孤児院の子供も皆殺す気ですか?」
ミリーはキマイラからエイルバーの経営している孤児院の話を聞いていた。
彼が世話している子供たちについても…
「そんなことを気にすると思っているのか?あそこはただの隠れ家として使ってただけだ」
「そう…」
「大陸にいるであろうギースを炙り出す。ベルガー家が残した大量の三号兵器の群れ…それらが大挙して襲い掛かれば逃げ場もなくなる。出てきた奴をなぶり殺しにしてやれるんだ」
「そもそもギースが生きているかどうかすら分からないんじゃなかったんですか?」
「生きている」
「何か証拠でも?」
断言するエイルバー。
「生きている」
「だから証拠…」
「生きている!!間違いなくだ!!」
急に凄まじい形相となったエイルバー。
その瞳に狂気が宿る。
「エルフリーナさんの事は私は良く知りません。けど、貴方が無差別攻撃をするのを見てどんな感想を抱くかは…大体想像ができます」
「黙ってろ」
「本当にこんな道しかないんですか?他に手立ては?」
「エルが死んで五百年以上…俺達は幾千幾万と策は講じてきた。だがそれでも奴の影さえつかめない。もうこれしかないんだ」
「何を言っても、貴方はこの蛮行を止める気は無いんですね」
「ああそうだ。おれは必ず成し遂げる」
頑として譲らない彼に対し、ミリーはそれ以上なにも言えなかった。
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