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エゴイズム ~それをいったら戦争です!~  作者: パラサイト
【第4章】それぞれの真実
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【第36話】 向かう先は天国か地獄か

 リーダーの声を合図に各々が部屋の出口へと足を向ける。


 ただ一人を残して。


「響夜! 桃華! みんなも必ず、無事に……生きて帰ってきてね!」


 クローディアが心配で心配でたまらないといわんばかりのうれわしげな表情で振り返ったみんなを見る。


「当たり前だ! みんなを、おまえを残して死ねるかっての!」


 クローディアの懸念を吹き飛ばすように、快活な声でリーダーが応える。


「……その返事すごくうれしいんだけど、なんか死亡フラグっぽくない?」


 クローディアが疑惑の目でリーダーに訴えかける。


「死亡フラグなんて、今まで何回立ててきたか分からないくらいに立てたジャン。けどその度に、みんなでボッキし折ってきたし、これからもボッキボキにへし折ってやンよ! ……だから、その、心配すんな」


「うん!」


 クローディアの表情が先程とは一転して、穏やかな表情に変わっていた。


「呼び止めてごめんね。時間ないのに……みんな、特に桃華は自分の身を優先して考えてね。……それじゃ、いってらっしゃい」


「いってきます」


 各人が返事を返し、部屋の外へ出て行く。


 私の前を歩くリーダーが部屋を出る直前にクルリと振り返る。


「あ、そうだ! クローディアたん」


「なに?」


「参謀モードのクローディアさんじゃなく、素のクローディアたんになってんぞ。俺はそっちの方が好きだけどな」


「ッッ!?!?」


 突然のリーダーからの指摘が予想外だったのか、真っ白い肌がみるみる赤みを帯びていく。

 追い打ちではないけど私も。


「私も今のクローディアの方が親しみやすくて好きだよ」


「と、桃華!? ……そ、その、ありがとう。ぜ、善処してみます」


 照れるクローディアを残し、私もリーダーの後を追って部屋を出た。


 廊下を出ると既に何人かは先を歩いていた。

 私を待っていたのかリーダーが「こっちだ」と私の横を歩きながらナビゲートする。


「桃華、ありがとうな」


「なんのこと?」


 リーダーの突然の謝礼の言葉に私は思い当たることがない。


「クローディアのことだ。あいつ、『理想郷アルカディア・ベル』のみんなの前では肩肘つっぱてること多いから気を休めること少ないんだわ。その、なんていうかこれからもあいつのええっと……よき理解者っていうかなんていうか」


「友達よ。私たち」


「そう! 友達! フレンドでいてやってクレメンス。いやあ、こんなこと人に頼んだことねえから、ちゃけばテンぱるわ。つまり、その友達になってくれたお礼がいいたかったわけ」


 慣れないことをしたと、恥ずかしそうに笑う。


「別にお礼を言われることじゃないわ。私が友達になりたかったからなんだし」


「……そうだな。それでも言いたかったんだよ。よし! 作戦と一緒にクローディアたんのこと。それにまつわるこの世界の天使のこともはなしちまうか! ダチ公なら知っていた方がいいやろ」


 クローディアのこと。

 クローディアがアルくんたち天使をなぜ毛嫌いするのか。

 それはとても気になることだ。


「この世界のことをもっと知らなきゃ温室育ちから始まった桃華には刺激しかないしな」


「それってどういう……」


「あそこが出口だぜ」


 私の質問はリーダーの声にき消えたが、私はそれを気にすることなくリーダーが指差す方向へ視線を向ける。


 そこには先に向かっていた三人が待機していて、新たに知らない顔が一人いる。

 それ以外に出入り口らしき扉はどこにも見当たらない。


「うぇーい! ジョブス、見張りご苦労さん。今から例の場所に向かうから開けてくれる?」


 リーダーに声を掛けられた小柄な少年がうなづく。


「分かりました、リーダー。その前にお預かりしていたこれを」


 ジョブスと呼ばれた少年が剣をリーダーに渡す。

 その剣は黄金色の豪華なさやに納まっている――はずなのに、剣が内側から発光しているのか赤く青く交互に時折、同時に遮蔽物であるさやの存在を無視するように光っているように見える。

 柄には青い絹がグルグルと包帯のように巻かれており、巻ききれずに余ったのか、結び目からはみ出した絹は一メートル近くあり先端がひらひらと地面すれすれを滑空していた。


「サンキュ! 相棒がなきゃはじまんね! おふー! 魔力もギュンギュンと充電されてるみてーだし、こりゃイケるな」


 リーダーは剣を受け取ると上機嫌に、帯剣した。

 そのときになり、ふとリーダーのマントと剣の柄に巻かれた絹が同じ物に見えた。


「リーダー。その剣に巻き付けてる絹ってマントと一緒?」


「お! 気付いちゃう? がーさす、木刀のポテを見抜いた桃華バイセン。お察しの通り、マントと同じ材質というか、俺がマントを破いてこの愛剣『レーヴァテイン』に巻きつけたってわけ」


「なんでそんなことを?」


魔法マジックアイテムの説明は受けたんだろ?」


「ええ、聞いたわ」


「このマントは魔力増幅の効果を持ってんだけど、レーヴァテインからの魔力の消費もパネエからそれを補助するために付けてみたら大当たり! 魔法マジックアイテム同士の兼ね合いってとこだな」


「へえ! 思ったより頭使ってるんだ」


「だろう? マントを破ったときはみんなが叫んでたけどな。このマントもガチャでいうならSSRの価値みたいなもんなんで、超レアアイテムを思いつきで破くな! と、クローディアたんからはめっさ激おこされたけどな」


「はは……思いつきか」


 クローディアの苦労が目に浮かぶわ。


「そこ! いつまで無駄口たたいてるのよ! 時間は押しているの! 早く隊列作りなさいよ! 状況が読めてないなんて、あなたもそこのチンパンジーと同じように脳ミソ筋肉なんじゃないの?」


 ソフィアちゃんが気が苛立つ様相で早口でまくくし立ててくる。

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