第122話 協力し合ってください
こちらはカクヨムに掲載された修正版です。
原文ともによろしくおねがいします(*^^*)
彭侯がヨドにしたこと。
その一。
怨怒霊主要人はこれ以上弥生様に無礼を働かないこと。
もしあれば、どんな理由があろうとも統治者であるヨドの責任とする。
その二。
下級亜人の奴隷解放。
彼らに市民権を与え生活の保障をすること。
できなければ、同じく統治者であるヨドの責任とする。
その三。
孝ノ村との交易について。
弥生様同様、村民に被害を加えることも固く禁ずる。
あれば、やはり統治者であるヨドの責任とする。
「彼女の身体にケマンソウの種を植え付けてきました。これら三つのうち、どれか一つでも違反した場合、ただちに発芽させます」
「…………なんかあたし……あの子が可哀想になってきたんですけど……」
淡々と報告する彭侯。
シンプルだが問答無用。
予想してはいたがやっぱりエゲつなかった。
「ど、ど、ど、ど、奴隷解放とは!!? わ、わ、わ、我々、下級亜人のことでございましょうか???」
信じられないといった様子のゴロスケ。
ピョン吉も自分の頬をつねっている。
「はい。これも弥生様の要望です。基本的に内政干渉するつもりはありませんが、今回の騒動、その原因となったのが上級による下級の差別でしょう。それがなければウチの者が無用に傷つくこともなかったわけですから。ならばそこの改善を求めるのは当然のことです」
「……弥生様」「ピョン」「ワフ」「にゃあ」「ミー」
うるうると、目をうるませ感謝してくる下級亜人たち。
そのうちの一人が恐る恐る聞いてきた。
「あ……あの……私、城壁内の仲間から聞いてきたんだガーけど、弥生様に村に来るよう誘われたって……それは本当なのですガー?」
「ああ、あれ? うんそうね。辛そうにしている子には声かけてきたわ。なに? あなたたちも村に来たいの?」
優しく微笑んでくれる弥生に、大半の亜人たちは食い気味に返事した。
「ぜひっ!!!!」「ピョン!!」「ワフ!!」「にゃあ!!」「ミー!!」
「いいわよ。ウチも出来たばっかりの村だから、まだまだ人手も欲しいしね。ね、レレ」
「耕す土地はまだまだいっぱいあるワフ!!」
また新たな仲間を迎えられそうで、嬉しさいっぱい尻尾を振るレレ。
しかしゴロスケは少し寂しそうな顔をしていた。
「……ワシは……い、いいえ……お申し出には大変感謝しておりますが、その……」
「生まれ育った土地は簡単に離れられないっていうのね? もちろん良いわよそれも。土を愛してくれてありがとう」
「おおおぉ……弥生様……もったいないお言葉ですじゃ……」
「長老様が残られるなら僕も……ブ~」「わたしも……コケ~」
「いや、俺は出ていきたいカァ。新しい場所でやり直したいカァ」
「……ここには辛い思い出が多すぎるし……コンコン」
「でもこれから楽になるかもしれないんだバフ。だったら僕はここでもう一度頑張りたいたいバフ!!」
突然明るくなった未来に興奮して、様々な意見を言い合う亜人たち。
それを彭侯が手を叩き、いったん鎮めた。
「はいはい、あなたたち。なにもいま決めろなんて弥生様は一言も言っておられませんよ? 辛くなったら逃げてきても良いと申されているのです。それから長老、あなたには私から一つ頼みたいことがあるのです」
「案内人……でございますか?」
「ええ当面の間、怨怒霊との交流はレレに担当してもらおうと思っております。しかしそれには安全を確保できる拠点があったほうが良いですし、その管理をあなた方にお願いしたいと思っているのです」
その話を聞いてポカンと口を開けるレレと弥生。
「ま、待ってほしいワフ彭侯先生。交流の拠点って……僕ここに残らなきゃいけないのワフか?」
泣きそうな顔のレレ。
まさかこのまま捨てて行かれるんじゃないかと青くなっている。
「ああ、いえいえ……普段は孝ノ村に居てもらいますよ? しかしこれから買い付けをはじめ色々と頼むことも増えてくるでしょうし、そうなったらあなたに行ってもらうのが一番でしょう? 私は弥生様から離れると役立たずになってしまいますしね」
「そ、そんなことはないワフが……。で、でもでも……僕なんかにそんな大役務まるのでしょうかワフ……」
「ヨドにはきつく言っておきましたし、あなたがモコウと同等以上に戦ったというのはすでに兵士の間では語り草になっているようです。よほどの馬鹿か無鉄砲でもない限り、絡んでくる相手はいないでしょう。いたとしても問題ありません、蹴散らせば良いのです。あなたならできるでしょう?」
「そ、そ、そ、そうワフ? じゃ、じゃあわかったワフ……」
彭侯先生にそう言われたら断れないレレ。
しかし表情とは裏腹に尻尾がプルプル震えている。
強いと認められたのがとても嬉しかったようだ。
「あ~~~~、つまりここに孝ノ村の大使館的なものを作ろうって話し?」
それまで黙って聞いていた弥生が手をポンと叩く。
聞き慣れない言葉に首を傾げる亜人たちだが、
「大げさに言えばそうですね。しかしそんな難しく考える必要はありません。レレたちの案内役になってもらうだけで良いのです。我々の村も下級ばかりですので、その方がなにかとやりやすいでしょう?」
「ワフ!! 喧嘩じゃ負けないワフが、やっぱり上級と喋るのは緊張するから嫌ワフ。長老やピョン吉たちが一緒だと心強いワフ!!」
「そ……そういうことならば、もちろん協力させてもらいますじゃ」
それだけでいいのならと快諾してくれるゴロスケたち。
本当なら買い付けや輸送など、面倒くさいことはすべてヨドらに命令してやらせてもいいのだが、それだとレレたちの成長にならない。
いつか自分たちが眠りについても、亜人たちだけで村を維持していけるよう、いまのうちに経験を積ませる必要があるのだ。
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