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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第六章:私、先輩になります
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第13話:突然の後輩


休日は日課の散歩の日。


多分、私の唯一の趣味と言える行動だろう。

でも、趣味が散歩って、なんか高校生らしくなくてやだなぁ。


だからといって、止めるわけにはいかないのだけれど。



と、そんなことを思いながらのんびりと町を歩く。


町を歩けば、沢山の人とすれ違う。

男も、女も、子供も、大人も。


今も正面から、大学生くらいの女性が向かって来てる。


しかしその女性は、私の姿を見るや否や、足を止め、



「・・・あれー・・・?」

と、首をかしげて考え込んでいる。


何か変な感じなので、私も足を止める。


「私タイムスリップしたのかなー?」

その女性はさっきから変なことを呟いている、


「あの・・・私に何か・・・?」

なので、私から話しかけた。



少し前に誘拐事件があったって前に聞いたし、

怪しい人物には要注意だ。

うん。周りには他の人が居る。何かあれば目撃者が居る。

すぐに一歩引き下がれる警戒態勢をとりつつ話す。



「えっ、あ、いや、知り合いに似てたのでつい・・・」


「そ、そうですか・・・」

もしかしてこの人も私の知り合いだったんだろうか。


「あの、もし間違ってたら悪いんですけど・・・六依さんですか?」


「あ、はい、そうです。六依由依です」

やっぱり知り合いだったんだ、昔の知人はもう覚えてないから、私との関係は分からないけど。


「やっぱり!先輩でしたか!」


「先輩!?」

待って、この人私とどんな関係なの!?


「そ、そうですね!私も名乗らないとダメですよね!私、葛城かつらぎ 紫音しおんですよ!演劇部の!」


「演劇部?」

って事は、中学時代の知り合いかな。

先輩って呼んでたし。


「はい。覚えてませんか?」


「えっと・・・中学時代の?」


「はい!六依先輩の演技を見て入部を決めた、紫音です!・・・でも、先輩あの時と全然見た目変わってないですね・・・やっぱりタイムスリップしてる?」


「あ、いや、その・・・これには色々深いわけがあってですね・・・」

私はこの人の事全然知らないので、誤解される前に正直に全て話してしまおう。









「記憶喪失って・・・本当に私の事、覚えて無いんですか?」


「ごめんなさい」

事実を聞いた葛城さんはとてもショックを受けている。


「そうでしたか・・・いきなりハイテンションで絡んじゃって、困らせてしまってすいませんでした・・・」


「あ、いえ、大丈夫ですから・・・」


「お礼に何か奢らせてください。話の続きはそこでしましょう」


「え?」

そしてそのまま私は、駅前の喫茶店に連れ込まれてしまった。













「なるほど・・・だから6年経った今も私が知ってる先輩の姿そのままだったんですね」

葛城さんは、私が中学を卒業した直後に事故に遭って、四年半意識不明だったことも、

その時に体の成長が止まってしまったことも、疑うことなく聞いてくれた。


「そうですね・・・」


「先輩って、今何してるんですか?」


「今は・・・高校生です」


「高校生!?へー・・・そんな事故に巻き込まれても・・・やっぱり先輩は粘り強いんですね」


「そ、そうですか?」


「そりゃーもう!中学時代の先輩も凄い根気強くて、演技の練習も完璧にこなせるまで頑張ってましたからねー」


「へぇ・・・あ、そうだ葛城さん」


「何でしょう?」


「せっかくなんで、葛城さんの事も知りたいです。私」


「私?そうですね、先輩、私の記憶、無くなっちゃってるんですよね」


「すいません・・・」


「いえ、記憶喪失なんて、どうしようもないですしね・・・そうですねー・・・私が先輩と出会った所から話しますか」


「はい」


葛城さんは、私の馴れ初めを語り始める。私の方が年上らしいが、どうしてもそんな気になれない。

「私が先輩を知った瞬間は、中学の部活動紹介の時ですね。あの時の先輩の演技に惚れ込んで、演劇部に入ったんです」


「それって、私が何年生の時ですか?」


「二年ですね。私と先輩は一個違いなので。そこからはずっと先輩リスペクトで演劇の日々でしたよ」

私にもそんな後輩が居たんだね


「で、部長だった先輩が卒業した後、その部長の座を継いだワケです」

自慢げに腕を組んでいるけど、気になるのは葛城さんが部長になった事よりも、


「私部長だったの!?」

知らなかった・・・


「はい。当然です!」


「へ、へぇ・・・」


「で、先輩の後を追って、同じ高校に行ったハズだったんですけど、居なかったんですよね」


「その時にはもう、私事故に遭ってましたからね・・・」

葛城さんもあの高校に通ってたんだ。


「先輩の居ない演劇部に価値はない!なんて、当時豪語してて、勢いで生徒会に入っちゃたりして、あの時の私はちょっとおかしくなってましたね」


「生徒会に?」


「ええ、しかも有り余ってた力持て余してて、その分全力で頑張ってたらいつの間にか生徒会長ですよ?笑っちゃいますよねぇ」

と葛城さんは笑い飛ばす。


「で、今は大学生ですね」


・・・あれ?私の一個下って事は、今の三つ前の生徒会長って事だよね。

一つ前が一条先輩で、その二つ前が、その一条先輩が尊敬してた生徒会長で・・・え?


「あ、あの・・・」


「なんですか?」


「一条和也さんって、知ってます?」


「・・・あぁ!和也君ですね。知ってますよ?私を慕ってくれてた後輩ですね・・・でも、なんで先輩がその人の名前を?」

ほ、本当にこの人だったんだ・・・会長が尊敬してた人って・・・まぁ確かに一条先輩の事ばっちり覚えてたし。


「えっと、実は私も今生徒会に入ってるんですけど・・・」


「マジっすか!」


「はい。で、ですね、去年生徒会長だったのが一条先輩だったんです」


「へー・・・そうだったんすか。ホントに宣言通り会長になったんですね・・・」


「会長、葛城さんのお陰で、人生やり直せたって言ってましたよ」


「私、そんな事した自覚は無いんですけどね・・・」


「いつか会って、感謝の言葉を伝えたいとも言ってましたね」


「そのくらいなら全然いいっすよ?大学はもうすぐ休みになりますしね」











その後もいくつか、過去の私の話を聞いたり、今の私の話をしたりしていたが・・・


「先輩」

葛城さんはちょっと困っているような様子だ。


「はい」


「なんていうか・・・六依先輩に敬語で話されると、違和感が凄いんですよ。なんとかこう、タメで話してもらえませんかね・・・」


「え、えぇ・・・なんか悪いですよ・・・」

私からしても、先輩呼びされることに違和感しか感じない。


「私にとっては先輩は今も尊敬できる先輩なんですよ・・・だから、せめて私に対しては、先輩然としてて欲しいっていうか・・・」


「そ、そこまで言うなら・・・うん。葛城さんよろしくね・・・これでいい?」

なんとか敬語を止めて話してみたら、葛城さんはぱぁっっと、表情を明るくして、


「はい!そうです!それでお願いします!よろしくお願いします!」


「そう?よかった・・・じゃ、じゃあさ・・・私の方も先輩呼び止めるってのは・・・」


「ダメです。先輩は先輩ですから!」


「だ、だよね・・・」




そこはどうしても譲ってはくれない葛城さんだった。

年下とはいえ、立場上これ以上強くは出れない私は、引き下がるしかなかった。

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