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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第六章:私、先輩になります
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第12話:愛憎の傀儡


「というわけで、今年の文化祭のテーマは"ハロウィン"に決定します。よろしいですね?」


「「「はい」」」


今年の文化祭のテーマ決めも終わり、今日の生徒会活動は、これで終了だ。


だけど、私は個人的にまだやる事があったので、生徒会室に残って作業していた。

やる事とは言っても、生徒会活動ではなく、ただの宿題だけれど。


解散後の生徒会室は、役員限定の自習室のようなものだ。



次々と役員が帰って行く中、私は、鈴が部活を終えるまで宿題を続ける。

別にもう一人で帰れるのだけれど、特に用事が無い時は、二人で帰るのが習慣になっている。



そして、とうとう三島先輩と二人っきりになってしまった。


私も先輩も、帰る気配は一向にない。

先輩に至っては、イヤホンで何か音楽を聴いている。


「先輩、何聴いてるんですか?」

私が聞くと、先輩はイヤホンを外し、


「プリーモっていうバンドの曲だよ。知ってる?」

あ、知らないやつだ。


「いえ・・・」

聞いといて知らないってのは、結構失礼かもしれない。


「まぁ、六依さんは、知らなくても無理はないか、話題になったのは三年前だし」


「好きなんですか?」


「うん。大好きだよ、話題になる前からね」


「へぇ、推しとか居るんですか?」

バンドに推しってあるのかな・・・ついアイドルのノリで聞いちゃった。


「推し?やっぱり個人的にはギターのマサキが好きかな・・・って言っても六依さん知らないよね」


「そ、そうですね・・・」


「ま、興味を持ったら聞いてよ。おすすめとか一杯あるよ?」


そういってまた音楽を聴く体勢に入りそうだったので、



「・・・先輩は帰らなくていいんですか?」

と、再度質問をしてみる。



「うん?いやぁ特に予定とかないし、もうちょっとゆっくりしていこうかなって」


「先輩、彼女とか居ないんですか?」

先輩かっこいいのに、そういう人と一緒に居るところを見たこと無い。

会いに行ったりとかしなくてもいいのかな?


「いや?居ないよ?」

先輩はあっけらかんとした態度で言う。


「意外ですね。先輩モテそうなのに」


「モテるよ?今日も一年の子から一人告白されたし」

平然とそんなこと言ってのける人はそうそう居ないと思う。


「やっぱりそうなんですね・・・でも彼女作ったりはしないんですね」


「・・・そうだね・・・」


「?」

先輩の笑顔が一瞬陰った気がした。



「何か・・・あったんですか?」


「聞きたい?」


「・・・言うのが辛いなら・・・別に・・・」


「俺は別に辛くは無いよ・・・でも、六依さん。君の方が辛いかもしれないね」

いつものお気楽な先輩でもない。あの時の、真剣な先輩でもない。

今まで見たこと無い、憂いを帯びた先輩。


「今までいろんな事を聞いてきましたし、ちょっとやそっとじゃ動じないつもりです」

お悩み相談は結構いろんな事を聞かされる。


中には一年生の身では、中々精神に来るものもあった。

嫌な事聞いた生徒ランキングなら、結構いいところまで行けるだろう。


「そう?じゃあ話しちゃおっか」

と、先輩は書いていた何かを鞄にしまい、話し始める。



「実は中学の頃は二回くらい、彼女が居たことがあるんだよね」


「へぇ・・・」


「二回とも上手くいかなかったんだけど。それがトラウマになっちゃってね・・・」


「そうだったんですか・・・」

人は見かけによらないなぁ


「一回目はさ、告白してくる女の子が二人いて、どっちかを切り捨てて片方と付き合うって事が出来なかったんだ」


「・・・二股したって事ですか?」


「まぁ、結果的にはね。片方と付き合った時、残されたもう片方がかわいそうに思っちゃってね」

う、ううん・・・二股はダメだと思うけど、そういわれると何が正解なんだろう・・・


「結果は大失敗だったよ。そのまま関係をずるずる引きずってたら、結局どっちの事が好きなのかって話になっちゃって」


「うわ・・・」

もう聞いてるだけで嫌な予感しかしない。


「で、女の子同士の殺し合いに近い所まで行っちゃって・・・大問題になったよ」


「・・・」

うわー・・・聞いておいてなんだけど、それは辛いなぁ・・・

特に善意でやったことが裏目に出てる事が特に辛い。


私にも思い当たる事がある分さらに辛い。本庄さんと仲直り出来て無かったら危なかった。


「で、その反省を踏まえて、次はちゃんと何があっても一人の女の子と付き合おうって事にしたんだよね」


「はい」


「・・・それでうまくいけば良かったんだけどさ・・・」

二回とも上手くいかなかったって言ってたよね・・・


「今度は、告白してきた一人の女の子と付き合って、それ以外の子には、もう付き合ってる子がいるからって、断るようにしたんだ」


「普通はそうなりますよね」


「うん。そうすれば喧嘩することはないだろうし」

口調こそ戻りつつあるけど全体的な雰囲気はまだ重いままだ。


「だけどねー・・・今度は、フラれた女の子達が、付き合ってる子をいじめ始めちゃってね・・・」


「え・・・」


「俺の知らない所で行われてたらしくてね、それを知ったのは、その子が耐えられなくなって、転校する前日だったよ」


「・・・」

これ、先輩は辛くないって言ってたけど、嘘だよね・・・

話す方も、聞く方も、絶対辛いに決まってる。


「その時渡された手紙の内容、言う?」


「だ、大丈夫です・・・もう・・・大丈夫です」

ちょっとやそっとじゃ動じないつもりとは言ったけど、それは流石にヤバそう・・・


「わかった。・・・と、まぁ、こんな事があったから、高校からは、広く浅く、恋人のような関係には持って行かないっていう選択をするようになりましたっと。こんな感じかな?」


「そんなことが・・・」

何時もお気楽な先輩が、過去にそんな壮絶な事があったなんて、想像もつかなかった。


「結構、心に来たでしょ?」


「えっ・・・ええまぁ・・・はい・・・」

重すぎて下手な事言えないよ!


「ま、別に六依さんが気にすることはないよ」


「でも・・・」


「この問題、俺や六依さんがどうこう出来るものじゃないしね」

確かにそうだ。

この先また何かあったとしても、私が介入したらもっと面倒な事になるに決まっている。


「恋愛って、難しいよね・・・」

遠くを見つめるような目で先輩は呟く。




そんな先輩を、私は黙って見ているしか無かった。


「じゃ、そろそろ俺は帰ろうかな、さっきの話、別に忘れちゃっても構わないよ。俺はもう気にしてないから」


「・・・本当ですか?」


「・・・六依さん、人の感情読むのだいぶ上手くなったよね。正確には、気にしたってどうしようもないから極力考えないようにしてる。ってのが正解かな。じゃ、鍵、よろしくね」


「お疲れ様です」

そう言って先輩は出て行った。



生徒会室には私一人。

静かな部屋で一人思う。




モテることは得ばかりではないんだなぁ・・・と。

人気者には、人気者ならではの苦悩があるのだと。


これって、男子の間でもあるんだろうか。


例えば、本庄さんを巡って、喧嘩になるとか・・・



本庄さんは、恋愛、どうするんだろう。

あれ?アイドルって恋愛禁止だっけ?



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