表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第六章:私、先輩になります
89/280

第5話:再起の契約


先週のPeacE.のライブ以降、本条さんの印象が回復してきているようだ。


どうやら、この学校内以外でも、PeacE.のファンサイト等では、

「ミライちゃんの顔に疲れが見えてて、無理してる疑惑」はやっぱりあったらしい。


それが、先のライブで払拭されて、

一部では何か転機になる出来事があったのだろうと語られていたようだ。


私にはまだ理解し切れてない世界ではあるけれど、本条さんを心配していた人は他にもいたんだと思うと、私も少し嬉しくなる。


そのライブのお陰か、新江先輩の噂のお陰か、

そんな、出来事の真相と本条さんの本性が学校に広まると、この学校を本条さんが素の本条さんでいられる、癒しの場として存在させようとしている生徒が増えてきた。


そしてだんだんと、本条さんの元に、少しずつ人が増えて来るようになった。

もちろん、今までのアイドル顔ではなく、飾らない素の本条さんのままで。



それは私もとても嬉しく思う。



だから私も負けられない。

私の活動圏は学内だけだけど、お悩み相談を復活させないと。


元々は本庄さんとの喧嘩が原因なので、仲直りして、本庄さんが復活すれば私の方も元に戻ってくるだろうと思っている。





つまり、そろそろ私の方も相談者が・・・

と、思いながら投書箱を開けた。





・・・うーん。今回も無しかぁ。





お悩み相談なんて、同じ人が何人も来るはずは無いので、時期と共に人は減っていくことは覚悟してた。

だけど、新しく一年生が入ってくる新学期からは、増えてもいいのに・・・





「来ないなあ・・・はぁ・・・」

思わずため息を漏らす。


そんなアンニュイな私を見ていた東原さんが、ふと思い立ったように話しかけてきた。


「六依さん」


「うん?」


「新しい一年生ってさ、六依さんのこと、知ってるのかな?」


「え?」

そういえばそうだ。私がこれを続けられてきた原因は、私の特異な体質と来歴に依るものだ。

それを全校生徒に伝えたのは、去年の夏休み明けの校内新聞。

今の一年生が知らないのも無理はない。


なので、今の生徒会の一年生に聞いてみた。


「ねえ、木田さん、上谷さん」


「「はい」」


「私がどんな人かってさ、どっかで聞いたことある?」

言ってから気がついたけど、これかなり自意識過剰な質問だ。

それに、上谷さんは首を傾げながら、


「いえ・・・特に・・・生徒会で初めて知りました」

と、やっぱりそうだよね。


一方の木田さんは、

「自分が知ってるのは、文化祭の時にコスプ「待って!それは言わないで!」

危ない。また私の痴態が広がってしまう所だった。



だけど、これで確信した。皆私の事を知らない。

下手すると、私が生徒会副会長であることすら。

それじゃあ、謎の人物が謎のお悩み相談を開設してるくらいにしか思わないよね。



「やっぱり一年生の知名度が無いのかぁ・・・」


「そうみたいだね」


また新江先輩の所に行って私の記事作ってもらうように頼まないとなぁ・・・











「昨年の記事の再掲?」

翌日、新聞部へと赴いた私は、新江先輩に、例の件を打診してみた。


「はい。お悩み相談をするに当たって、一年生には、私の知名度が全然無いことが分かったので、もう一度あの記事を載せて貰えないでしょうか」


すると新江先輩は、

「まぁー、別にいいけど、いくつか条件はあるよ?」


「む、無理なものでなければ・・・」

初めから無条件でやってくれるとは思ってなかった。

恋愛相談の時の貸しもそろそろ返され終わってるだろうしね。


「うん。その条件だけどね・・・」

一瞬の溜めの後、


「六依クンが撮影に協力してくれる事!」


「撮影?」

何の撮影だろう。新しい記事のかな?



「いやね、去年の文化祭でコスプレしてたでしょ?」

うん?


「あれ、かなり好評だったんだよねー」

何か嫌な予感がする。


「だからさ、文化祭とかの広報紙にさ、コーナー作りたいんだよね」


「いやいやいやいやいやいやいや・・・嫌ですよ私!」

必死の否定をするが、新江先輩はまるで聞いていないように喋り続ける。


「ホントは妹の鈴ちゃんとか、現役アイドルのミライちゃんとかとの合わせも撮りたいんだけどねー」


「嫌ですよ!あんなの!あれだって死ぬほど恥ずかしかったし、その後お悩み相談で何度も話振られまくったんですからね!」


「まあまあ、そんな過激なやつ着せるつもりじゃないしさ」


「そういう問題じゃ無いです!」


「そ、れ、が、私からの"条件"」


「うっ・・・」

流し目でこちらを見ながら笑う新江先輩。

その手には、去年の文化祭の私の写真が握られている。


「私はさ、真実を追求する報道者になりたいわけだけど、別に、露骨な数字稼ぎが嫌いなわけじゃないんだよねー」

ヒラヒラと写真を仰ぎながら私を見てくる。

その笑顔は愉悦に満たされている。



やるしかないの!?


でも、条件全部聞くのも嫌だし・・・


前に鈴が言ってた、

一回難しいのを見せてから、妥協点を見せる事でいい塩梅で妥協させる交渉術。

やってみようか。

「・・・その・・・衣装をこっちで決めるんなら・・・」


「それじゃー意味ないじゃんよー。ある程度アンケート形式にするつもりなんだから」

そうなの!?


「じゃ、じゃあ、用意された衣装がダメな時はダメって言いますから、その時はNGでお願いしますよ?」


「まー、被写体の意見は尊重するよ。NGなものはしない。まぁ、なんでもかんでもノーだといつまでたっても撮影終わらないから、ある程度の妥協は視野に入れてるけどね。それでいい?」


「・・・は、はいっ」


「まいどありー」


「なんですかまいどありって!」






後後考えてみれば、交渉でもなんでもなかったし、

結局私がコスプレ撮影に参加することになってるし、


妥協案でもなんでもなくただ私が恥ずかしい目に合う事が確約されただけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ