第2話:先輩としての私
今日は部活動見学会の日。
去年はいろんな部活を巡ったけれど、
今年は逆に新生徒を迎える立場にある。
私は生徒会役員なので、生徒会室待機だ。
隣には新、生徒会長の須藤 千華先輩。
黙々と事務作業をしている。
「誰か来たら、どう対応すればいいですか?」
私が聞いてみると、先輩はスッと顔を上げ、
「基本的には業務内容の説明が基本です」
先輩は立ち上がり、かつかつと棚の方へと向かって行く。
そして、そこからファイルを一つ取り出し、
「実はマニュアルがあります」
と、私にファイルを手渡した。
そこには、説明するべき項目が丁寧に書かれていた。
「これは誰が・・・?」
「えーっと・・・確か三代前の生徒会長だったと思うわ」
三代前・・・えーっと・・・?
あっ、確か一条先輩が尊敬してたっていう会長だったかな?
「へー・・・わかりやすいですね」
「前会長は完全に暗記してたわね・・・これ」
やっぱり尊敬してたんだなあ。
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・・・・・・来ないなぁ・・・
生徒会室には、一向に人が来る気配がない。
・・・そういえば、この学校は委員会不足で、三人来たのは珍しいって、言ってたなぁ・・・
「・・・ふぅ」
気疲れが溜まって、一息ついたところ、
コンコン、とドアを叩く音が聞こえる。
「はい」
私が返事をすると、ドアが開いて、1人の生徒が入って来た。
「ここ・・・生徒会室であってますか?」
入って来たのは、そこそこ真面目そうな男子生徒だった。
身長は私より大きい。
「はい。って言うことは、生徒会に興味があって来たんですよね?」
私は丁寧に応える。
私にとって初めての後輩。適切な対応の仕方に困る。
「はい」
「よかった・・・だれも興味を持ってくれなかったらどうなるかと思った・・・」
「人気ないんですか?」
「この学校の生徒って、みんな部活動入っちゃうでしょ?」
「ですね・・・」
こんな会話は去年もしたなぁ・・・なんて思いながら会話を続ける。
「だから、折角来てもらったんだし、もっと興味を持ってもらうように頑張らなきゃね」
私は貰ったファイルを開いて、生徒会の仕事の説明を始める。
なんとか興味を持ってもらえるように、あまり固くなり過ぎないように気を付けながら。
「・・・これで、わかってくれた?」
もしよかったら、これから一緒に見回りを・・・と、言おうとしたとき、
「ありがとうございます・・・あの・・・もし間違ってたら悪いんですけど・・・」
と、男子生徒は何か不安げに聞いてくる。
「何?」
「先輩って、去年の文化祭の時に、コスプレ・・・とか、してました?」
うっ!
「え、えっと・・・なんでそれを・・・?」
「去年の文化祭に行った時に目立ってたので・・・」
やっぱあれ学外の人にも話題になってたんだーーー!!!
「あの・・・あれ、恥ずかしかったから・・・忘れてくれる・・・?」
あれ、ほんっとうに恥ずかしかったから・・・
「は、はい・・・」
「お願いね、あと、誰にも言わないでね?」
「六依さん」
ふと須藤先輩が口を挟む。
「多分、生徒一人の口止めした程度じゃ無駄だと思うわよ」
「や、やらないよりは・・・」
「まぁ、別にいいけれど、話が脱線してるから、控えめにね」
「はい・・・」
その後は見学生を連れて、部活の見回りに向かった。
場所は剣道部。
私にとっては、親しい先輩が居るところだ。
「楓先輩ー?」
「うん?あぁ、六依か」
「調子はどうですか?」
「万全だよ。あれ以来吹っ切れてガンガン攻め込めるようになって、気が楽だよ」
「良かったですね」
「あれも六依のお陰だな・・・しかし、そうか・・・生徒会の仕事紹介か・・・お前もそっち側の立場になったか」
「はい・・・まだ、慣れてないですけどね」
「何、同学年の中ではトップクラスに沢山の上級生と話してきただろう?もっと自信持ってもいいんじゃないか?」
「そうですかね・・・」
「お悩み相談の経験は伊達じゃないだろうに・・・さて、無駄話もここまでにしとこうか、後輩が暇そうに見てるぞ」
「あっ!」
見ると、楓さんが言う通り、暇そうにしている生徒の姿が・・・
「ごめんね、話してたらつい・・・」
「仲いいんですね」
「ん?あー、そうだね。前にいろいろあったからね・・・」
って、そんな話してる場合じゃない。
「というわけで、お仕事紹介に戻るけど、見回りでいつもやってる事はね・・・」
お仕事紹介を終え、生徒会室に戻って来た私たち。
「会長、戻りました」
「お帰りなさい。そちらの方も、仕事内容はわかった?」
「はい。よくわかりました」
「そう?良かったぁ・・・」
これに関しては、私の責任になるからね。
「じゃあ、もし生徒会に入りたい!ってなったら、これからよろしくね」
「はい。ありがとうございました」
そう言って、男子生徒は出て行った。
「お疲れ様。初めての紹介はどうでした?」
「凄い緊張しました・・・」
「彼、入ってくれるといいわね」
私に出来た初めての後輩。
に、彼はなってくれるだろうか。




