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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第五章:いつものわたしじゃいられない
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第14話:偶像と実像


私は屋上への階段を上がっている。


その先には、本庄さんが待っているから。



分かり合えないと言われた。

関係無いことだとも言われた。

だけど、これは本庄さんから持ちかけられた、お悩み相談。


これは、生徒会として、

そして、六依由依として、

やらなければならない事だ。







「本庄さん・・・」

「六依・・・」


屋上で、二人向かい合う。

あの時とは違う。

周りには誰もいない。二人きりだ。



「・・・やっぱりあの時は、あたし疲れてたんだと思う。人前であんなにキレて、本性出して、今まで演出してきたアイドルとしてのあたしが台無しだよ」

その声色は、本来の本庄さんの強い口調でもなく、アイドルのようなきらびやかな口調でも無かった。


「本庄さん・・・」


「でもさ、多分、それはあんたも一緒でしょ?あんただって、今まで作ってきた、お悩み相談のブランドに傷がついたんじゃない?」


「それは・・・」

それは、間違いではない。

信用は、こうも簡単に崩れてしまうのかと、身をもって実感した。



「それに関しては、あたしも悪かったって、そう、思ってる」


「それは、お互い様だよ・・・」



「・・・そう、じゃあ、その話はこれで終わり。後は・・・・・・あんたじゃなくて、生徒会として、話を聞いて欲しい」


「わかった」



「・・・あたしはさ、やっぱり人気者になって、ちやほやされて、皆の中心に居るのが好きなんだよ。それは今も変わらない」

今まで聞いたこともない、真剣な本庄さんの心の中。

私は、私という個を殺し、生徒会として、話を聞く。


「その為に、いろんな事を考えて入学してきた。目立つ自己紹介、男子ウケの良い態度、本当にいろんな事を考えてた、だけど・・・」


「・・・」


「それらは全部、たった一人のクラスメートにかっさらわれたの」


私の事だ。イブの日に聞いた。

あえて私の名前を出さなかったのは、本庄さんの気遣いだろう。



「悔しかったよ。だけど、あいつもわざとやってる訳じゃないから、その怒りもぶつける先は無かった」

私の前で、私の話をしている。あくまで、どこかの誰かと言う体で。



「だから、あたしはあいつを越えようってそう思った。あれを越えるには、もうアイドルしか無いなってね。で、セモプロがPeacE.の新規メンバーを探してるって情報を調べて、アイドルウケしそうな見た目を研究して、セモプロの事務所の近くを訳もなくブラブラして、それでスカウトされて・・・」


本庄さん、そんなことしてたんだ。


「それで、あたしはアイドルになった。アイドルになったこと自体は後悔してないよ。目立つのは好きだからね。初ライブだって、超楽しかった」


あれは、私も楽しかったよ。


「だけど、そんなことしてるうちに、あいつはもっと、もっと学校で目立ち始めた。全生徒の注目を集めるくらいに」


「・・・」


「逆にあたしは、色々失ってた。偶像アイドルである事に拘りすぎて、友達の存在を失ってた。目立つ事も、楽しめなくなってた。それを今、ファンを失って気がついた」


本庄さん・・・


「ファンを失って、楽しむ事も忘れて、メンバーに迷惑かけて、挙げ句の果てに、気に入らなかったあいつにまで迷惑かけて・・・」

本庄さんは軽く震えている。



「あたしは・・・どうすればいい・・・?」

震えた声は、涙を浮かべているようだ。



「ファンは・・・失って無いんじゃない?」

私は、六依由依としてではなく、生徒会の一人として答える。


「本庄さんには、まだ、日本中に、ファンがいるんじゃない?」


「それは・・・そうだけど・・・」


「学校でって、話なら、まだ一年生なんだし、やり直せると思う」


「・・・やり直すには・・・もう、私には何も・・・」



「・・・ごめん。もう、生徒会として、話を聞いていられない」


「えっ・・・」


「ここからは、私として、六依由依として、言わせてほしい」

もう、私も我慢の限界だった。こんな本庄さんは、見たくは無かった。


「私は、本庄さんがデビューした時のライブ。凄い楽しかったよ」


「え?」


「あんな軽快なダンス踊れるのも凄いし、歌もうまいし、あの、サイリ・・・えっと」


「サイリウム?」


「そう、サイリウムの嵐の中で平然と歌って踊れるのも羨ましいし・・・」

だめだ、要領を得て無い。


「と、とにかくっ!私は本庄さん、凄いと思うし・・・その、本庄さんのあのアイドルしてる姿、私はもう一回見たいし、私は、本庄さんの味方でいたいから・・・」


「・・・」


「お友達として、一人のファンとして・・・やり直したり・・・できないかな・・・?」

私の、本心からのお願い。


「あたしは、六依さんのお悩み相談を壊しちゃったのに?」


「だからこそ、だよ・・・」

お互い、学生としてのアイデンティティを失った者同士、手を取り合ってやり直していこうって。





「・・・わかった・・・由依ちゃん」

本庄さんが右手を出してくる。


「・・・未来ちゃん」

私も右手を出して、固い握手を交わす。






「「これから、よろしくね」」


思い出は、作り直せるから。

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