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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第五章:いつものわたしじゃいられない
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第8話:アイドルの矜持


色々な意味で私の精神を壮絶に揺れ動かした休日が終わり、


いつもの平日が始まる。


「おはよー」

「お、おはよう」


「あ、おはよ」


彩音さんと挨拶を交わし、席につく。


今日も本庄さんの席には何人かの男子生徒が集まっている。


イブの日にアイドルとしてデビューした本庄さんは、それ以来すっかり学校の人気者だ。


本庄さんは、私をライバル視して、より人気者になれるように努力しているらしい。

もう十分私なんて比較にならないほど人気者だと思うけどなあ。




だけど、端から見る分には、昨日ルリさんから聞いたように無理してるようには見えない。

むしろ、皆に囲まれて輝いているようにさえ見える。



「やっぱアイドルは違うよねー」

彩音さんがすぐ横まで来ていた。


「そうだね。大人気だよね」


「由依にあんなこと言った事知ってる私としては、ちょっと複雑だけどね」


「私はあんまり気にしてないよ?」

軽く嘘をついた。

実際のところ、私のせいで彼女が無理をしているかもしれない。

と思うと気になって仕方ない。

我ながらお人好しだと思うけど、どうしようもない。



まぁ、本庄さんが私をライバル視してるって方向では別に気にしてないから、間違いではないかな。


「ふーん、ならいいけどね」





クラスのアイドルとして笑う本庄さん


の、裏を知る私と朱音さんと鈴。


の、さらに裏を知る私。



事情は、とても複雑だ。




昼休み。

いつもの三人で昼食を取っている。


「あの時はごめんね」

朱音さんが謝ってくる。

あの時とは、もちろん一昨日の映画を観に行った帰りの電車の中の話の事だ。

私が牧原さんを好きだって事が、牧原さんに知られてしまった件。


「もう・・・あれからどうしていいか分かんなくなっちゃったじゃん・・・」


「いっそ全部言っちゃえば?」


「出来ると思う!?」


「無理そうだね・・・」


「でしょ?・・・はあぁぁ・・・」

ホント、どうしよう。


「まぁ慎二なら、傷つけるような返事はしないとは思ってるけどね」


「牧原さん、私の事どう思ってるんだろ・・・」


「少なくとも、悪い印象は無いとは思うけどね」


「・・・そうかもしれないけど・・・」


「まぁこればっかりは聞いてみないとね」


「うぅ・・・」

あんなことがあった後に、牧原さんに私の事どう思ってるとか聞くの?

無理だよ・・・


「そうだよ、朱音さんが聞いてよ。幼馴染みでしょ?」


「私!?」


「だって私聞けないもん」


「うーん・・・聞く手伝いくらいはしてもいいけど・・・」


「なんで聞いてくれないの!?」

ちょっとくらいいいじゃん。


「私だって初恋の相手に自分で聞いたし、由依も自分で聞けるくらいしないと」


「うぇー・・・」


「やっぱ全部私に頼るってのもマズイじゃん。由依の将来的に」


「何急にお母さんみたいなこと言ってんの?」

まぁ、確かにそうかもしれないけど?

でも元々の原因は朱音さんだよ!?





「・・・ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」


席を外し、女子トイレへと向かう。


はぁー・・・

聞くのかあ・・・

聞かなきゃダメかー・・・



音にならない呟きをしながらトイレへと入ると、鏡の前に、本庄さんが立っていた。


「・・・ふぅ・・・」

その顔はとても疲れきった表情で、教室に居たときの輝きは消え失せていた。


あの時は見えなかった目の隈も浮いている気がする。


やっぱり本当に疲れてるんだ・・・



「っ!、誰!?」

いきなり本庄さんが振り向く。


「あっ、えっと・・・」

急な反応に対応出来ず、言葉が詰まってしまう。


「ああ、あんたか。あんたならまぁ、いっか」

やっぱりこの顔は他の生徒には見せないようにしているんだろう。

私は本庄さんの裏を知ってるから対象から除外されてるんだろうか。


「えっと、その顔・・・」

だけど、どうしても我慢できず、聞いてしまった。


「あんたには関係無いことって、あの時言ったでしょ?」


「でも・・・」


「もう一回言っておくけど、あたしはあんたの事、気に入らないって、言ったよね?」


「でも私は、今の本庄さんが・・・」


「気に入らない相手からお節介受けるのがどんだけ悔しいと思ってんの」

その声には、怒りの感情が混じっていたと思う。

顔は伏せられてて表情はよくわからなかったけど、間違いなくアイドル然とした表情ではないだろう。


「・・・」

そんな本音に、何も言い返すことは出来なかった。


「それに、まだあたしは大丈夫。本当にダメな限界は知ってる」

本庄さんは俯いた顔をガバッと上げる。


そこにはさっきまでの疲れた顔は無かった。

クラスで見た輝きが復活している。



そんな急激なスイッチはルリさんもしてたし、

そこまでビックリはしない。

全くしない訳じゃなかったけど。


ルリさんの時は、これがプロか・・・と思った。

でも今回はそんな事は思わなかった。

思えなかった。




「休むとこでは休んでるから、心配は要らないよ☆」

バリバリのアイドルボイスで本庄さんは外へ出ていった。







・・・休むとこでは休めてたら、


あんな顔になるわけないでしょ。

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