第6話:ハプニングは唐突に
ショッピングを終えた私たちは、帰路に付くところだった。
「結構買ったよね」
「うん」
「慎二がんばれー」
「せめて一袋くらいは持ってくれねぇかな・・・」
そんな中で私は、ショッピングの時に見た、
朱音さんに合うちょっと攻めた服を着た私の想像をして、ちょっと悶々としているのだった。
・・・あんなの、私に似合うのかなぁ・・・
そもそも、牧原さんはああいうの好きなのかな・・・?
でも、朱音さんの幼馴染だし・・・
・・・勇気を出してちょっと攻めていく必要があるのかな?
でも・・・
そうこうしているうちに一行は駅へと到着していた。
なんだかんだあった方が便利と、作っておいた電子マネーカードを通し、改札を通り抜けたところで、
鈴がいきなり叫ぶ、
「あっ!電車もう来てんじゃん!」
「マジ?」
「あれ乗り遅れたら、次わたし達降りる駅止まる電車30分無いよ?」
「ヤバっ!走んなきゃ」
「え?」
走るの?
まって、私走れないよ?
もう散々歩いて、この足で走るのは無理だ。
「待って!私・・・その・・・」
ダッシュしていきそうな一行を引き留める。
「あ、お姉ちゃん」
鈴が止まる。
「よしっ、慎二!」
朱音さんも止まる。
「おう」
牧原さんも止まる。
「荷物よこして!由依担いで走って!」
?
「わかった」
え?
「ちょっと動かないでくれよ」
そう言って牧原さんは、
私の膝裏と背中を持って私をスッと持ち上げる。
私は、牧原さんに抱きかかえられる体勢になった。
あ、あれ?これって・・・その・・・
「「えっ」」
鈴と朱音さんが声を上げる。
だよね!?こ、これ、、いわゆる、お姫様抱っこって奴だよね!?
ななな、何で!?
何で牧原さんに!?
うぇぇぇぇ
「あーもうそれでいいや!、急いで!電車出ちゃうよ!」
「おう」
「えっ・・・あ、そのぅ・・・うぅ」
しどろもどろになって何も言えない。
目の前には真面目な顔して真っ直ぐ正面を見ている牧原さんの顔がある。
高鳴る心音と体温を感じながら、ただただこの状態を維持するしか選択肢は無かった。
「はぁ・・・な、なんとか間に合ったね・・・」
「買い物袋抱えながら走るの疲れるー」
「慎二もありがとうね」
何とか電車に乗る事が出来た私たちは、
わたしだけ理由は違うけれど、
皆息を切らせながら向かい合える4人掛けのエリアに腰を下ろす。
牧原さん・・・どうして・・・?
突然お姫様抱っことか・・・
「ねぇ由依」
ビックリを通り越して、ショック死するかと思ったし、
実際まだ心臓が見たこと無いペースで動いてるし、
・・・はぁ・・・
身体が熱い。
「お姉ちゃんー?」
間違いなく顔は赤くなってるんだろう。
このままずっと俯いていたい。
「ねぇ、お姉ちゃんーーー?」
でも何時から赤かったんだろう。
牧原さんに見られてたら嫌だなぁ・・・
見られてるだろうなぁ・・・
あああああ
「由依っ!!!」
「は、はいっっっ!!」
急に二人同時に叫ばれて跳ね起きる。
「やっと反応した」
「・・・え?」
「四回くらい呼んでたよ?」
そうなの・・・?
「・・・ホントに?」
「うん。お姉ちゃんずっと下向いたまんま無反応だったよ」
「だって・・・だって!」
あんなことされたら、そうなるでしょ!
すると、朱音さんが、
「まぁねー。好きな人にお姫様抱っことか、そうなるよねー」
・・・
・・・?
・・・え?
・・・・・・ちょっと!?
朱音さん!?
「え?」
と牧原さん
「あっ」
やってしまったとばかりに口を覆う朱音さん。
もう遅いよ!
なんで?
「なんで言っちゃったの!?」
朱音さんをポコポコと叩く。
照れやら怒りやら緊張やら、
もう私は今どんな状態にあるのか全く分かってない。
「ご、ごめん・・・つい・・・」
朱音さんは謝るけど、私は叩くを止めない。
しかし、
「なぁ」
そんなやり取りは、牧原さんの一言で、一瞬で終息する。
「それ・・・本当なのか・・・?」
牧原さんも戸惑いを隠せていないようだ。
私もそうだ。
牧原さんの問いに、二人は何も答えない。
私が・・・言うしかないの・・・?
顔を見据えては言えないので視線を下に逸らして、足元を見ながら話す。
「えっとその・・・なんていうか・・・まだそうと決まった訳じゃないっていうか・・・」
言う?言える?
・・・言えないかも。
「で、でも・・・予兆はあるっていうか、その・・・」
チラチラと視線を上に向けて様子を伺おうとするが、顔までは持っていけず、胸元辺りで止まる。
二人は何も言わない。
せめて助け船くらい出して!?
「えぇっと・・・あの・・・嫌いじゃ無くて・・・むしろその・・・好き・・・、かも・・・って、かもだよ!かも。確定してるわけじゃなくて・・・ね? わ、わかった!?」
自分でもなんて言ってたのか覚えてない。
「あ、も、もっと仲良くなりたいかなー・・・ってのは本当だよ!・・・うん」
「あ、ああ、わかった」
その日はこれ以上この件で話すことは無かった。
けど、
明日からどんな顔して会えばいいの!?
何を言えばいいの!?
どうすればいいの?
私の悩みは膨らむばかりだ。




