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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第四章:お悩み相談生徒会
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第10話:決意の弓矢



「私は、弓を捨てようと思う」



後日、私は二人にミテンに誘われた。

そこで、楓さんから、そう、聞かされた。



「弓を・・・ですか」


「ああ、六依もあそこにいたから聞いてるとは思うけど、御堂双天流は、剣の達人と、弓の達人の二人で創始された武道だ」


「あの時ビックリしたのよ。私そんなの聞いてなかったもの」


「で、私は考えたんだけど、姉さんが剣を捨て、弓を極めるのなら」

楓さんは注文していたコーヒーを一口飲むと、


「私は弓を捨て、剣を極めるべきじゃあないかと」


「つまり、せっかく二人いるんだから、二人で源流に至ろうって、思ったのよね」


「な、なるほど・・・でも、なんでそれを私に?」


「由依ちゃん。この一連の出来事の当事者だもの。話さないわけにはいかないわ」


そ、そうか・・・たしかにそうだよね・・・






「さて、ここからは姉さんにも言ってない事なんだけど・・・」

楓さんはそう切り出した。

桜さんも、え?という表情をしている。


「私が弓を捨てるに至って」

楓さんは一拍置いてから、


「私の弓を、姉さんに射抜いて欲しい」

と、



弓を・・・射抜く・・・?


「どういうことかしら?」


「姉さんの矢で、私の弓を射抜いて、折ってほしい」











翌日、

弓道場には、桜さん、楓さんその両方が揃っていた。

二人とも弓道着を纏っている。


桜さんは、身の丈の大きさ程の大きな弓を持ち、

楓さんは、その近くで正座して、じっと動かない。


そして、楓さんの弓は、

弓道場の遥か向こう。的のすぐ近くに立てかけてある。



「・・・ふーー・・・・」

桜さんが長い息を吐く、精神を集中させるための動作らしい。


だが、

「御堂」

遠くから、声をかける人が居る


「「はい」」

桜さんと楓さん二人が返事をする。


「・・・桜」

その人が呼びなおす。


それは、弓道部部長、神木豪先輩だった。


「部長・・・」


「その射、俺と対決にしないか?」

神木先輩はそう提案してきた。


「え?」

困惑する桜さんに対し、楓さんが反論する。


「これは御堂の、私達の問題です」


しかし、

「桜、お前、俺をコンプレックスにしてたよな」


「!!」

桜さんがピクっと反応する。


「少し調べたが、その御堂双天流っていうのは、武を極め、頂に立つことを主眼にした武道らしいじゃないか」


「そうですね・・・」


「だったら、この弓道部において、頂点に立つこと、つまり、俺に勝ってこその、頂ってやつじゃないのか?」


「・・・」

桜さんの視線はいつになく真剣だ。


「俺はもうすぐ受験の為に、部にはあまり来れなくなる。ちょうどいいチャンスじゃないか?」


「・・・わかりました」

桜さんは低い声音で告げる。


「姉さん・・・」


「大丈夫よ・・・それに、いつかはやらなきゃいけない事だったから・・・」


まさかの急展開。

桜先輩は、神木先輩と、弓道対決をすることになった。





「御堂桜先輩。神木豪先輩の順で、一射ずつ行い、先に弓に当てた方を勝者とします。それで大丈夫ですか?」

「ああ」

「ええ」


弓道部のエース二人の対決に、全部員、活動を中止し、観戦体勢に入る。

私と楓さんは、一番近くの特等席だ。


「では、御堂先輩。お願いします」



桜さんが前に立つ。


「ふぅーーー・・・」

深い息と共に、流れるようなきれいな動きで矢を番える。


そして、一時の静寂の後に、矢が放たれる。



その矢は、弓の少し横を通り的に刺さる。


「あっ・・・」

それは私の漏れる声だったか、楓さんのものだったか、

小さく声が響く。


桜さんの表情は変わっては居ないけれど、

気のせいかいつもの雰囲気が揺らいでいるように見える。




「次は、神木先輩ですね」


さっきまで桜さんが立っていた場所に神木先輩が立つ。


先輩の弓の構え方は、桜さんのものよりも力強く安定している。

・・・男子生徒と女子生徒だから当然ではあるのだけれど。


スっと、構え、スっと放つ。

動作がとてもスムーズだ。



その矢は、桜さんの矢よりも、弓に近い位置に刺さる。

でも、命中はしていない。


「やっぱり、難しいのかな」

私がふとつぶやくと、

「対象が細いし、見にくいからな」

と横の楓さんが言う。


ってことは、長期戦になるのかな・・・?



「では、御堂先輩」


二巡目。

桜さんが位置に着く。


すると、神木先輩が、

「桜」


「はい」


「先に言っておく。俺は、"次、当てる"」


「っ!」


先輩の無慈悲な宣言。


・・・プレッシャーをかけさせる為?


「あれは、本気だな」

だけど、楓さんは真剣な目つきで言う。


「そうなんですか?」


「先輩は普段"当てる"なんて言わない」


「そうよ」

私達の会話に、桜さんが入って来る。


「先輩が当てる、と言ったときは、必ず当てる。絶対の自信があるときしか言わないもの」


「え・・・って事は・・・」






「ええ、私に残されたチャンスは、この一射だけ」





それだけ言って、桜さんは弓へと視線を向ける。


空気が変わったのを察して、私もそれ以上何も言わない。


弓道場は、静寂に包まれる。

聞こえてくる音は、私の心音と、遠くからわずかに聞こえる他の部の音だけ。




次の一射で、全てが決まる。

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